世界のゴミ問題の現状は?世界各国の対策を比較解説!私たちができる解決策も紹介


現在におけるごみ問題は、環境に深刻な影響を与えるグローバルな課題です。
廃棄物の増加は、資源の浪費や環境汚染、気候変動を引き起こし、持続可能な社会の実現において、大きな障害となっています。
この記事では、先進国と発展途上国別にごみ問題に対するアプローチを比較し、さらに日本のごみ問題の対策や私たちができる解決策を詳しく掘り下げていきます。
ごみ問題の解決に向けた一歩を共に考えましょう。ぜひ最後までお読みください。
世界のごみ問題の現状は?
ごみは、世界中で毎年大量に排出されています。
国連環境計画(UNEP)は、2023年は世界全体で約23億トンのごみを排出したと発表しました。
リサイクル率については、世界平均でのリサイクル率は約17%で、特にプラスチックのリサイクル率は低く、世界で発生したプラスチックごみのうち、リサイクルされるのはわずか9%でした。
日本の現状は世界と比較すると低い数値を出していますが、依然として解決すべき問題が多く残っています。
ゴミの排出量としては2023年には約4600万トンと、前年度と比較すると減少傾向にありますが、依然として多くのごみが発生しています。
また、2023年の日本のごみリサイクル率は約20%に達しており、世界平均のリサイクル率よりも高い値を出していますが、ヨーロッパ諸国や他の先進国のリサイクル率と比べると低くなっています。
この現状を踏まえ、日本や世界でごみ問題に対してどのような対策が行われているか、確認していきましょう。
先進国と発展途上国のごみ問題の対策を比較!
ごみ問題は国によって深刻度が大きく異なっており、中でも先進国と発展途上国の間には大きな差が生まれています。
先進国では、リサイクル技術や廃棄物処理インフラが整備されている一方で、発展途上国ではごみ処理技術が未整備である場合が多く、処理が追いつかないことがしばしばです。
しかし、近年では発展途上国でも環境への意識が高まりつつあり、ごみ問題解決のためのアプローチが高まっています。
ここからは、国ごとにごみ問題に対する対策を解説し、先進国と発展途上国を比較していきます。
先進国の対策
先進国の対策としては、ごみを焼却処理する方法や埋立て処分を行う一方で、ごみの再資源化に向けた取り組みも進んでいます。
アメリカ
アメリカのごみ問題対策は、国、州、地方自治体が連携して進めています。
特に、海洋プラスチックごみに対する取り組みが強化されており、「海洋ごみ抑制・回収法」や「NOAAの海洋ごみプログラム」などの政策が実施されています。
これらの政策は、海洋ごみによる経済的、環境的、安全的な悪影響に対応するため、海洋ごみの抑制・除去を目的としています。
また、リサイクルの推進にも力を入れており、2030年までにリサイクル率50%を目標とした国家リサイクル戦略案を策定しています。
ワシントン州シアトルではレジ袋の配布を禁止しており、違反した場合には罰金が科せられます。
引用元:米国の施策概要


シンガポール
シンガポールでは、NEA(国家環境庁)が中心となってごみ問題対策を行っています。
主な対策として、「ゼロ廃棄物マスタープラン」を発表し、プラスチックを含む包装廃棄物の削減に力を入れています。
このプランでは、セマカウ島に埋め立てられた焼却ごみの処理が行われています。
セマカウ島は1999年にごみの最終処分場として建設されましたが、最近ではごみの発生量は減少しているものの、当初よりも大きく増加しており、2035年までに許容量を超えると予測されています。
そのため、「ゼロ廃棄物マスタープラン」では、2030年までに廃棄物処分場に送る廃棄物を30%削減し、2035年以降もセマカウ島を埋立地として利用できるようにすることを目標にしています。
引用元:シンガポールの施策概要
フランス
フランスは、2030年までの目標として循環経済のロードマップを策定したほか、プラスチックごみ排出の防止を目的とした政令を多く制定しました。
循環経済のロードマップでは、特に廃棄物管理政策に力を入れており、2030年までに廃棄物の埋立処分量の半減とプラスチックリサイクル率100%を目指しています。
また、プラスチックごみ対策として、海洋におけるゼロプラスチック行動計画を策定し、バイオマス素材かつ家庭で堆肥可能なプラスチック以外の使い捨てプラスチックの流通を禁止しました。
引用元:フランスの施策概要
発展途上国の対策
多くの発展途上国では、十分なごみ処理施設が整っておらず、ごみを大量に廃棄したり焼却せずに埋め立てています。
これにより地球環境や生態系に悪影響を及ぼしているため、積極的なODAやNGOの支援が求められています。
インドネシア
インドネシアでは、プラスチックごみの不法投棄や海洋汚染が深刻な問題となっています。
これに対処するため、国は「海洋プラスチックごみ行動計画」を策定し、2025年末までにプラスチックごみを2017年から70%削減することを目標に掲げています。
この計画では、海岸や川のクリーンアップ運動を実施するとともに、プラスチックの生産量や使用量の削減にも取り組んでいます。
引用元:インドネシアの施策概要
タイ
タイもインドネシアと同様、プラスチックごみが環境問題として問題視されています。
この問題に対処するため、政府は「プラスチックごみ管理に関するロードマップ 」を策定しました。
このロードマップでは、対象となるプラスチックの使用を削減または中止し、2027年までにプラスチックを100%再利用することを目標としています。
また、タイ政府は2018年から廃プラスチックの輸入を制限していましたが、2025年1月以降は全面的に輸入禁止となりました。
引用元:タイの施策概要
ケニア
ケニアでは、プラスチックや電化製品など特殊な処理技術が必要な廃棄物が増加しており、それに伴ってゴミ処理体制や法制度が追いついていないため、公衆衛生の低下や環境汚染といった問題が発生しています。
こうした状況を受けて、2017年、ビニール袋の使用、製造、輸入を禁止する法律が施行されました。
この法律は「世界で最も厳しいポリ袋禁止令」とも言われており、違反者には最大4年の禁錮刑、または4万ドル(約435万円)の罰金が科せられます。
この取り組みにより、ケニアでは年間62億枚のレジ袋削減が達成されました。
引用元:ケニアのレジ袋禁止に対する消費者の意識と行動に関する研究
日本の対策
日本では廃棄物処理の問題が深刻で、2021年度のごみ総排出量は4,095万トン(東京ドーム約110杯分)、1人あたり1日890グラムのごみを排出しています。
これに対処するため、廃棄物処理法が強化されました。
また、廃棄物発電施設の導入が進められることで、廃棄物処理問題の解決とともに温室効果ガスの削減も目指されています。
さらに、2022年には「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が施行され、プラスチック製品のライフサイクル全体で、リデュース・リユース・リサイクル(3R)や再生可能な方法(バイオマス化や再生材利用など)を活用し、資源循環の促進が進められています。
引用元:廃棄物分野について-環境省
引用元:一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和3年度)について
私たちにできること
ゴミ問題を解決するためには、政府や自治体だけでなく、個人の行動やエコ意識も重要です。
例えば、3Rを意識してリサイクルに積極的に取り組んだり、ごみの出る商品購入を控えたり(リデュース)、使用した商品を中古屋やバザーに出したり(リユース)することが挙げられます。
また、プラスチック製品を避けることも、ゴミ問題の解決に向けた一歩となるでしょう。




これらの取り組みは今日からすぐに実践できるものですので、意識的にゴミ問題について考え、行動に移すようにしましょう。
さらに、このサイトでもごみ問題に対する様々な取り組みを紹介しています。
これらを通して楽しく気軽にごみ問題対策に取り組んでみませんか?




まとめ
いかがでしたか?
ごみ問題はすぐに解決できる簡単な問題ではなく、環境汚染に大きな影響を与える深刻な問題です。日本を含む先進国と発展途上国では、アプローチが異なりますが、世界中でごみ問題の解決に向けて行動が始まっています。
政府のみならず、企業や自治体、個人がごみ問題に関心を持ち、対策を考えていくことが重要です。
地球の環境衛生を改善し、地球全体の未来をみんなで守っていきましょう。