エコカトラリーとは?選び方とおすすめ素材・商品4選を丁寧に解説


Contents
私たちの暮らしの中で、最も身近にありながら環境負荷が大きいのがプラスチック製品です。1950年以降に世界で生産されたプラスチックは累計83億トンを超え、そのうち約63億トンが廃棄物となりました。さらに今も毎年約800万トンものプラスチックごみが海に流出しており、日本はその廃棄量で世界第2位という不名誉な現実を抱えています。
こうした状況を受け、日本では2022年4月に「プラスチック資源循環促進法」が施行されました。この法律は単にプラスチックを規制するのではなく、設計から使用、処理までの流れ全体で 3R+Renewable(Reduce・Reuse・Recycle・Renewable) を推進し、循環型経済=サーキュラーエコノミーへの移行を目指しています。
その一歩として、私たちの日常で手軽に取り入れられるのが「エコカトラリー」。身近なスプーンやフォークを変えるだけで、プラスチックごみ削減につながる小さなアクションです。今回はエコカトラリーとは何か、どんな種類があり、どのように選べばよいのかを詳しく解説します。
エコカトラリーとは
エコカトラリーとは、プラスチックではない、または環境に配慮された素材で作られたカトラリー(スプーン・フォーク・ナイフなど)のことを指します。持ち運べる「マイカトラリー」としても注目され、使うたびにプラスチックごみを減らし、SDGs(持続可能な開発目標)に貢献できる手軽な行動なのです。
たとえば竹素材のエコカトラリーは、植物の中でも成長が早い循環資源として優れており、布ケース付きで持ち歩きやすく、使いやすさも備えています。
プラスチック製との違いとは|なぜエコカトラリーが選ばれるのか?
比較項目 | プラスチック製 | エコカトラリー |
---|---|---|
分解されるまでの期間 | 数百年以上かかることも | 数ヶ月~数年で分解されるものが多い |
製造時のエネルギー負荷 | 多い場合が多い | 素材によってはエネルギーや二酸化炭素排出が少ない(例:CPLAは65%削減) |
認証・安心の目安 | 特になし | BPI、TÜV Austria、ASTM D6400などの認証がある製品は信頼性が高い |
たとえば、CPLA素材のエコカトラリーは工業堆肥施設で2~4ヶ月で分解され、製造時も従来プラスチックに比べてエネルギー使用量が65%、温室効果ガス排出が68%少なかったというデータもあります。
エコカトラリーのメリットとデメリット
エコカトラリーは環境にやさしい選択肢として注目されていますが、実際に使ううえでは良い点もあれば注意したい点もあります。ここでは、導入前に知っておきたいメリットとデメリットを整理してみましょう。
エコカトラリーのメリット
まず一番のメリットは、環境負荷を減らせることです。プラスチックに比べて分解が早く、土に還る素材も多いため、長期的にごみ問題の改善につながります。
また、マイカトラリーとして布ケースに入れて持ち歩ける商品もあり、外出先やお弁当でも使えるのが便利です。さらに、竹や木材を使った製品は見た目にもナチュラルで温かみがあり、家庭の食卓やアウトドアシーンにもよく馴染みます。環境への配慮と実用性、そしてデザイン性を兼ね備えている点が魅力です。
エコカトラリーのデメリット
一方で、いくつかのデメリットも存在します。素材によっては耐久性に差があり、割れやすいものもあることは注意点です。繰り返し使う前提の商品でも、熱や水に弱い場合があり、長く使うにはお手入れに気を遣う必要があります。
また、プラスチック製に比べて価格が高めに設定されていることもあります。イベントや飲食店で大量導入する場合、コストとのバランスを考えることが重要です。
こうしたデメリットを理解したうえで、自分の生活スタイルや利用シーンに合う素材を選ぶことが、エコカトラリーを長く安心して使うコツといえるでしょう。
おすすめのエコカトラリー4選
以下では、おすすめのエコカトラリーを4つ、ブランド別で紹介します。
環境に優しいバンブーカトラリー/econawa
引用元:econawa公式サイト
econawaのバンブーカトラリーは、竹の軽やかな質感と丈夫さを両立させたアイテム。竹特有のさらりとした手触りで、長時間使ってもベタつきがなく清潔感があります。スプーンやフォークの厚みが程よく、硬い食材もすくいやすい設計。持ち運び用のケースも付いているので、お弁当や旅行に気軽に携帯でき、実際に「マイカトラリー」として日常に取り入れやすいのが魅力です。
バンブーカトラリーセット/BALIISM
引用元:BALIISMオンラインショップ
BALIISMのバンブーカトラリーは、デザイン性に優れたセットアイテム。シンプルながらもアジアンテイストを感じさせる雰囲気で、テーブルに並べると自然な温もりを演出できます。表面は丁寧に研磨されているため口当たりが滑らかで、木製特有の「ざらつき感」がほとんどありません。ナイフの切れ味も実用的で、サラダや軽食だけでなく、肉料理にも使える安心感があります。自宅用にもギフト用にも喜ばれる仕上がりです。
BIO KIDS DISH カトラリー/tak.
引用元:koncent
tak.のBIO KIDS DISHシリーズは、子ども向けに特化したカトラリー。軽量で持ちやすく、角が丸く加工されているため、小さな手でも安心して使えます。素材にはバイオマスプラスチックが使われており、環境に配慮しつつも割れにくく耐久性が高いのが特徴。カラー展開も豊富で、食卓に彩りを添えてくれるのも嬉しいポイントです。実際に「子どもが自分から使いたがる」という声も多く、親子で安心してエコを楽しめます。
麦ファイバーカトラリーセット/peach&life
引用元:Lineショッピング
peach&lifeの麦ファイバーカトラリーは、麦の繊維を再利用したサステナブル素材を活用。見た目はナチュラルで柔らかな色合いが特徴的で、手触りはプラスチックよりもしっとりしており、使うほどに馴染んでいきます。軽いのに丈夫で、実際に使用するとスープやカレーなど汁物でも安心して使える強度を感じられます。スタッキング(重ね収納)ができるので、家庭用はもちろんアウトドアやオフィスにも便利です。
業務用でも使える!おすすめエコ使い捨てカトラリー3選
以下はテイクアウト店や飲食店での使用にぴったりな、使い捨てできるエコカトラリーの具体例です。素材や機能性、衛生面にもこだわりがあります。
バイオマスカトラリー(アプカ)
バイオマス素材「アプカ」から作られるこのカトラリーは、植物由来の紙パウダーを使用し、再利用可能な設計。食洗機にも対応しており、業務利用でも安心して使えます。テイクアウトショップでは使い捨てだけでなく、店内でのリユース利用にもおすすめです。
森にやさしい木のスプーン(FSC認証材)
FSC認証の木材を使用し、フォークとのセットも揃った木製カトラリー。個包装されており、衛生面でも安心感が高いです。おしゃれなパッケージデザインは、テイクアウトショップのブランドイメージ向上にも一役買います。欧州でも木製ディスポカトラリーは広く採用されています。
コーヒーバイオフォーク(コーヒー殻配合)
コーヒーかすを10%配合したバイオマス素材でつくられており、ブラウンカラーが温かみある雰囲気を演出。使用後は個包装で処理しやすく衛生的。素材のユニークさがPRポイントにもなります。
エコカトラリーのおすすめな選び方
エコカトラリーは「環境にやさしい」というイメージだけで選んでしまうと、実際の使い勝手やコスト面で後悔することもあります。ここでは、日常使いから飲食店での導入まで、選ぶ際に意識しておきたいポイントを整理しました。
利用シーンに合わせて選ぶ
まず大切なのは「どこで、どのように使うか」を明確にすることです。
-
持ち歩き用(マイカトラリー) :軽量で洗いやすい竹製や木製がおすすめ。布ケース付きで衛生面も安心です。
-
家庭用 :耐久性があり食洗機対応のものを選ぶと長く使えます。
-
飲食店・イベント用 :大量導入が可能で衛生的な個包装タイプのバガスやCPLA製が適しています。
利用シーンを考えることで、失敗しない選び方ができます。
素材の特徴を理解して選ぶ
エコカトラリーには竹・木材・バガス・CPLAなどさまざまな素材があり、それぞれ特性があります。
-
-
竹・木材:自然に還りやすく、ナチュラルな見た目。軽くて使いやすいが熱や水に弱い場合も。
-
バガス:軽量で耐熱・耐油性に優れ、テイクアウトに便利。
-
-
CPLA:植物由来で強度が高く、プラスチックに近い感覚で使える。
素材の違いを理解して、自分のニーズに合ったものを選びましょう。


認証マークをチェックする
信頼できるエコ製品を選ぶ基準のひとつが認証マークです。
-
FSC認証:木材が持続可能な森林から供給されている証明
-
BPI認証(米国)/TÜV Austria(欧州):堆肥化可能であることを示す国際認証
-
ASTM D6400:米国で定められた生分解性の基準
こうした認証があると、環境への効果や安全性が保証されているため、安心して選べます。


デザインや価格帯も大事
環境にやさしいだけでなく、食卓に映えるデザインかどうかも選ぶ楽しみのひとつです。木目やナチュラルカラーのものは料理を引き立て、カフェ風の雰囲気を演出してくれます。
また、毎日使うものだからこそコスト面も無視できません。安価なものは耐久性が低いこともあるため、長期的に見れば少し高くても丈夫で繰り返し使えるものを選んだ方がコスパが良いケースも多いです。
まとめ
2022年に施行された「プラスチック資源循環促進法」をきっかけに、社会全体でプラスチック削減が加速しています。事業者だけでなく、消費者である私たち一人ひとりが協力し合うことが欠かせません。
その中でできるのは、日常の中の小さな選択です。エコカトラリーを持ち歩く、テイクアウトの際にプラスチックカトラリーを断る、環境にやさしい素材を採用しているお店を選ぶ──これらはほんの小さなアクションですが、積み重なることで社会を変える大きな力になります。
エコカトラリーは、環境へのやさしさだけでなく、使いやすさやデザイン性でも日常を豊かにしてくれるアイテムです。まずは「今日のランチ」や「週に一度のテイクアウト」からマイカトラリーを試してみませんか?
小さな一歩が、未来の地球を守る確かな一歩につながります。