FSC認証とは?身の回りのものを購入するときに気にしたい環境に優しいマーク
SDGsなどの言葉が社会に受け入れられ、様々な環境に優しい製品が出て来ています。
2023年からは「日本版排出量取引」がスタートし、再生可能エネルギーなどで削減したCO2を企業間で取引できるようになる予定です。そうなると、より多くの企業で環境対策をした製品を出してくるでしょう。
疑いたくはないですが、環境対策をした製品が売れるようになれば、本当に環境対策になっている製品なのか怪しいものも出て来てしまいます。そんなときに参考になるのが認証マークです。
今回は、森林を守る製品に使われている認証マークFSC認証について説明をします。
世界の森林は減少してきている
世界の森林面積について、どのくらい知っていますか?
地球上の森林面積は2020年で40億5893万ヘクタールでした。地球の陸地面積に対する割合・森林率は31.2%。約3分の1です。
10年ごとの推移を見ていくと、2010年は41億632万ヘクタール、2000年は41億5805万ヘクタール、1990年は42億3643万ヘクタールと、減少傾向にあるのがわかります。この30年で4%減少しています。
地域別で見ると、中国が植林を進めているため、森林面積が大きく増えています。一方で、アフリカ・南米などでは森林面積が減少しています。これは人間の開発が主な原因となっています。
なお、日本の森林面積は、2494万ヘクタールで、森林率は68.4%です。森林率は世界平均の2倍以上で、OECD加盟国のなかでは3位となっています。森林大国といっても良いでしょう。
適切に森林を守りながら製品が作られているというFSC認証の考え方
FSCは、Forest Stewardship Councilの略です。
日本語では森林管理協議会で、1994年に設立した国際的な非営利団体です。FSC認証は、FSCが管理しています。
FSC認証の考え方は、「適切な森林管理」が行われている森林の木が原料になっているかというところからスタートしています。「適切な森林管理」とは、違法伐採や、大規模な天然林の伐採によるものではなく、森林の機能が持続可能なように管理して伐採していることを指します。
しかし、現在は原料の供給源となる森林だけでなく、その加工・流通過程も見ています。製品にFSC認証マークをつけるためには、全ての過程で認められていないといけません。
FSC森林管理の10原則
FSC認証には、10の原則とそれに関連する70の基準があります。10の原則を見ていきましょう。
- 法律の順守: 森林管理や取引に関する国内法や国際条約が守られているか?
- 労働者の権利と労働環境:労働者の権利や安全は守られているか?
- 先住民の権利:先住民の権利は侵害されていないか?
- 地域社会との関係:地域社会と連携し、よい関係を築いているか?
- 森林のもたらす便益:森林の多面的な機能が考慮されているか?
- 環境価値と環境への影響:環境への影響は評価され、環境が守られているか?
- 管理計画:きちんとしたデータや情報に基づく計画がされているか?
- モニタリングと評価:環境や社会への影響がモニタリングされ、負の影響が抑えられているか?
- 高い保護価値:森林の生態的、社会的に高い保護価値は守られているか?
- 管理活動の実施:管理活動は計画通りに行われているか?
これらに適応しているかどうかを、森林の管理を認証するFM(Forest Management)認証と、加工・流通過程の管理を認証するCoC(Chain of Custody)認証を得るために見られます。
先ほども言いましたが、FSC認証製品が消費者の手に届くということは、森林から最終製品になるまでの生産、加工、流通に関わるすべての組織が認証を受けなくてはなりません。
それほど厳しい認証制度となっています。
日本では紙の認証取得が多く
インターネットで「FSC認証」と検索をすると、FSC認証の紙製品が多く確認できます。
企業ではコピー用紙などで利用できるほか、名刺や封筒などで利用することができます。印刷会社が対応しているので、使用する際は相談してみると良いでしょう。
また、紙以外でも木材を使用したテーブルや椅子などもあります。木で作られた製品を購入しようとした場合、FSC認証で調べてみると見つかるかもしれません。