ゼロウェイスト生活とは?エシカルに過ごすための暮らしの生活術を紹介

ゼロウェイスト生活とは?エシカルに過ごすための暮らしの生活術を紹介
LIFESTYLE

環境問題への関心から、ゴミの発生をできるだけなくす生活や考え方「ゼロウェイスト」が注目されるようになりました。

しかし、ゼロウェイストが実際どのようなもので、どのような取り組みをするのか疑問に思う方もいるでしょう。

この記事では、ゼロウェイストな生活について詳しく解説します。エシカルに過ごすための暮らしの生活術も紹介するので、ゼロウェイストな暮らしがしたい方はぜひこの記事を読んでみてください。

ゼロウェイスト生活とは?

ゼロウェイスト生活とは?

ゼロウェイスト生活とは、普段の生活のなかでゴミの発生をできる限り抑え、可能な限りゴミをゼロにしていくライフスタイルのことです。

廃棄物をどう処理するのかではなく、そもそも日常生活でゴミを出さないようにしていく考え方です。

無駄なゴミを出さないようにするためには、使い捨てではなく繰り返し使用できる製品を使ったり、ゴミを再生可能エネルギーに活用したりしていくことが必要になります。

ゼロウェイストが広まった背景

ゼロウェイストが広まった背景

ゼロウェイストが広まった背景には、深刻なゴミ問題が大きく影響しています。

イギリスのリスク分析会社Verisk Maplecroftの調査によれば、世界の年間ゴミ排出量は約21億トン以上にのぼり、今後さらに増え続けると予測されています。そして大量のゴミは、深刻な環境汚染を引き起こしているのです。

特にプラスチックゴミは深刻な問題とされており、大量のプラスチックが海や川に流れ込んでいます。その結果、魚や海洋生物が誤って食べ、生態系に深刻な影響を及ぼしています。こうした深刻なゴミ問題に関心を持つ人や自治体が増えたことが、ゼロウェイストの普及を後押ししました

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また、ゼロウェイストという考えは、ダニエル・ナップ氏が提唱した「トータル・リサイクル」という概念が元であるとされています。

そして、オーストラリアの首都キャンベラが1996年に「ゼロ・ウェイスト宣言」を出したことがきっかけで、ゼロ・ウェイストの取り組みがアメリカやオーストラリアの自治体を中心とし世界で広がっていきました。

日本では、2003年に徳島県上勝町で日本初のゼロ・ウェイスト宣言をしています。

ゼロウェイストの基本原則と目指すべきゴール

ゼロウェイストの基本原則と目指すべきゴール

ゼロウェイストを実現するためには「5R」の法則という基本原則を、日常生活で意識し行動していくことが大切です。

「5R」の法則の内容は、以下のとおりです。

  1. Refuse(リフューズ)
  2. Reduce(リデュース)
  3. Reuse(リユース)
  4. Repair(リペア)
  5. Recycle(リサイクル)

5Rそれぞれの取り組みについて紹介します。

Refuse(リフューズ)

「Refuse」は、断ることです。ゴミになる可能性があるものは、貰わずに断るようにします。

例えば、お買い物をする際にサービスでプラスティックのスプーンやフォークなどが貰えることもあるかもしれません。しかし、自分でマイスプーンやフォークなどのカトラリーを持参しておけば、使い捨てアイテムを貰わずに済みます

また、オンラインショッピングでは、過剰包装で無駄なゴミが生じるケースもあります。もし簡易包装を選択できる場合は、できるだけ簡易包装をお願いしてみましょう。

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Reduce(リデュース)

「Reduce」は減らすことです。ゴミを減らすためには、使い捨ての物はできるだけ購入しないことが大切です。

例えば、マイボトルやマイタンブラーを持ち歩くことは、使い捨てのペットボトルの削減に貢献します。また、食材は必要以上に買いすぎると、使いきれず腐らせてしまい、ゴミになってしまいます。そのため、自分が使いきれる量だけを購入するよう心がけましょう。

Reuse(リユース)

「Reuse」は、再使用することです。不要になった物でも、誰かに譲ったり別の用途で利用したりしながら、できるだけゴミとして捨てないようにする取り組みです。

いらなくなった服のReuse方法例は、以下のとおりです。

  • リサイクルショップやフリマアプリで売る
  • 知り合いに譲る
  • 服の生地を使用して別のアイテムにリメイク
  • 掃除の雑巾として活用

不要品も、工夫次第で「Reuse」することが可能です。また、物を購入する際に、新品で買うのではなく中古で購入することもReuseの取り組みの一環です。

Repair(リペア)

「Repair」は修理することです。長く使用していると、物が壊れてしまうことはあるでしょう。しかし、修理すれば長く使い続けられる物もあるため、ゴミとして捨てる前に、一度修理して使えるかを検討してみてください。

Recycle(リサイクル)

「Recycle」は、資源として再利用することです。リサイクルできるものをきちんと分別しリサイクル品として出すようにしていくことが大切です。

また、リサイクル原料を使用した製品の商品を購入することも、リサイクルの取り組みを支えていきます。

ゼロウェイスト生活のメリット

ゼロウェイスト生活のメリット

ゼロウェイスト生活をおこなうことで、さまざまなメリットがあります。

ここからは、ゼロウェイスト生活の主なメリットを3つ紹介します。

環境負荷の軽減と持続可能な未来への貢献になる

ゼロウェイスト生活を実践することで、ゴミ出しの回数や排出量を減らし、環境負荷を軽減できます。また、こうした取り組みは、持続可能な未来への貢献にもつながります。

特に、プラスチックゴミや食品廃棄物の削減は、持続可能な未来を実現に向けて日々意識して取り組んでいきたいことです。特に日本は食品廃棄率が高い国として知られています。詳しく現状を知りたい方は下記の記事をご覧ください。

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お金の節約や健康的なライフスタイルになる

ゼロウェイスト生活は、長い目で見ると経済的にも健康的にもメリットがあります。

例えば、少し高価でも長く使える物を購入して大切に使うことで、使い捨て製品の頻繁な買い替えを減らし、結果的に節約につながります。

また、必要なものだけを選ぶ習慣が身につけば、自然と物欲も抑えられるようになるでしょう。

さらに、使い捨て製品に多く含まれるプラスチック容器や化学物質を避けることで、有害物質との接触も減らせるという、健康面でもよいメリットがあります。

シンプルで満足感のある生活を実現できる

不要な物を持たない生活をすれば、家の中が片付き、シンプルで満足感のある生活を実現できます。

すっきりと片付いた空間は、心にもゆとりを与え、日々の生活をより満足感のあるものにしてくれるでしょう。また、長く使えるお気に入りの製品を選ぶことで、インテリアも洗練されて、生活の質が向上します。

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日本におけるゼロウェイストの取り組み

日本におけるゼロウェイストの取り組み

日本では、2003年に徳島県上勝町がゼロウェイスト宣言を初めて行い、それ以降全国各地に取り組みが広がっていきました。

ここからは、日本におけるゼロウェイストの取り組みについて紹介します。

徳島県上勝町

徳島県上勝町公式サイト

徳島市から車で1時間ほどの自然豊かな町で、日本で初めてゼロ・ウェイスト宣言を行った自治体です。上勝町には、ゴミ収集車がありません。家庭ゴミを町民が持ち込むシステムを取り入れ、生ゴミはコンポスト、それ以外のゴミは45分別しています。

2020年には「上勝町ゼロ・ウェイストセンター(WHY)」という、廃棄物分別回収施設・コインランドリー・コミュニティ施設、さらには宿泊大変施設が一体となった施設がオープンしました。

京都市上京区

ゼロ・ウェイスト・スーパー「斗々屋(ととや)」

京都市上京区には、日本初のゼロ・ウェイスト・スーパー「斗々屋(ととや)」があります。「斗々屋(ととや)」では、人と自然が心地よく共生できる「地球1個分の暮らし」の概念を根付かせて、サステナブルかつエシカルな生活を広めていく取り組みを行っています。

包装材などのゴミを出さないために、容器を持ち込み、量り売りですべての食品や日用品を購入できるのが特徴で、商品はすべて「オーガニック」「フェアトレード」「ゼロウェイスト」を基準に選んでいます。また、販売する食材を使い切れるようにレストランを併設し、食品ロスをなくす工夫もしているそうです。

東京有明

東京有明にある「無印良品」東京有明店

東京有明にある「無印良品」東京有明店の3階には、洗剤の量り売りコーナーがあります。香料、着色料、蛍光、漂白剤などを使用していないサステナブルな洗剤5種類を購入することができ、洗剤は、空になったペットボトルなどを持参して、詰めてもらえます。

無印良品東京有明店では、以下の洗剤を購入できます。

  • アルカリ電解水クリーナー 
  • バス用洗剤   
  • トイレ用洗剤          
  • 衣類用洗濯洗剤 
  • 食器用洗剤 

洗剤の量り売りの取り組みは、他の無印良品店でも行っているところもあるので、お近くの店舗もぜひ確認してみてください。

福岡県 みやま市

福岡県 みやま市公式サイト

ゼロ・ウェイスト宣言都市のひとつで、2020年には「みやま市資源循環のまち宣言」を発表しゴミの削減に取り組んでいる自治体です。

次世代を担う子どもたちへの環境学習を提供しながら、ゴミを発生させない仕組みづくりに注力しています。

また、バイオマスセンター「ルフラン」という資源循環施設があり、生ゴミ、し尿、汚泥をメタン発酵させて電力と液体肥料を生み出しています。

さらに、みやま市内の公共施設に太陽光パネルを設置し、発電した電気を市内で消費するエネルギーの地産地消も行っています。

また、ゼロウェイスト宣言はしていませんが、香川県三豊市と株式会社エコマスターの事例もあります。「新しいごみ焼却炉は作らない」という宣言のもと、ごみの排出量を減らすというだけにとどまらず、ごみから生産される燃料を化石燃料の代替として世に送り出すことを進めていく株式会社エコマスターの事例は下記をご覧ください。

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エシカルに暮らすためのゼロウェイスト生活術

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ここからは、エシカルに暮らすためのゼロウェイスト生活術紹介します。

今回紹介する内容を参考にし、日々の生活で取り入れてみてください。

マイボトル・マイバッグの活用

ゼロウェイストを実現するためには、使い捨てのペットボトルやビニール袋を買わないことが必要です。そのためにも、マイボトル・マイバックを活用しましょう。

マイボトル・マイバックを活用することは、環境にも経済的にもよい取り組みです。

食材のロスを減らす工夫

食材のロスを減らすためには、日頃から必要な分だけを購入したり、食べ切れる量だけを調理したりと、日々の暮らしのなかで工夫をしていくことが重要です。

可能であれば、自宅から持ち込んだ容器に、必要な分だけを入れてもらえる量り売りのスーパーを利用できるとよいでしょう。

買い物に行く前には、余分な物を買わなくて済むように冷蔵庫にある食材をチェックしておくことも大切です。冷蔵庫の中身の写真を撮影しておくと分かりやすいのでおすすめです。また、賞味期限や消費期限も把握できるよう管理しておくと、未開封で捨てることも防げます。

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リサイクルショップやフリマアプリの活用

不要なアイテムは、リサイクルショップやフリマアプリを活用して、他の方にお譲りするとよいでしょう。自分にとっては不要なアイテムでも、別の方が使用してくれれば、ゴミとして捨てなくてもよくなります。

フリマアプリは、梱包する手間はかかるものの、思わぬ値段で売れることもあります。また、無名のブランドでも売れることがあるので、一度出品してみるのがおすすめです。

地産地消の取り入れ

地産地消も食品ロス削減に貢献できます。

遠方で生産された食材を運ぶには、飛行機やトラックでの輸送が必要不可欠です。しかし、遠方から輸送することは、時間がかかるだけでなく、多くのCO2が排出されるという環境負荷も発生します。また、輸送中にかかる時間は、食材の変形や破損のリスクを高める要因にもなります。

一方で、地元で生産された食材を使用する地産地消は、輸送距離を短縮し、食材の変形や破損のリスクを軽減するため、結果として食品ロスの削減につながるのです。さらに、輸送時間を短くできれば、少ないCO2排出量の削減に貢献できます。

サステナブルなファッションへのシフト

ファッション業界も、大量生産・大量消費の問題を抱えています。そのため、ファッションのゼロウェイストを目指すためには、長く着れるサステナブルなファッションへとシフトしていく必要があります。

できるだけ受注生産のブランドで購入したり、長く着れる服を購入したりして大切に着ていきましょう。また、環境破壊の観点からも、オーガニックコットンなど環境にやさしい素材からできたファッションを購入することが大切です。

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ゼロウェイスト生活に役立つアイテム

ゼロウェイスト生活を送るにあたって、役立つアイテムをいくつか紹介します。

マイカトラリーセット

日頃からマイカトラリーセットを持ち運べば、使い捨てプラスティックのスプーンやフォークを貰う必要がなくなります。

お気に入りのカトラリーセットを使いながら、使い捨て製品の使用を避けていきましょう。

コンポスト用バケツ

生ゴミの処理では、コンポスト用バケツを活用するのがおすすめです。

コンポストとは、生ゴミや落ち葉などを微生物に分解させて堆肥にすることです。コンポストを取り入れて、生ゴミをゴミではなく堆肥にし、ゼロウェイスト生活を実現させていきましょう。

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まとめ|ゼロウェイスト生活でエシカルな未来を築こう

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ゼロウェイスト生活を取り入れることで、自然にも人にも優しい暮らしを実現させることができます。一人ひとりの小さな行動が、やがて大きな変化をもたらしていくのです。

そして、エシカルな未来を築くためには、ゼロウェイスト生活を日常に無理なく取り入れて、継続していくことが大切です。長く愛用できるお気に入りのアイテムを使用するなど、自分が楽しめる方法を取り入れることで、モチベーションを保つこともできます。

ぜひ、この記事で紹介した内容を参考に、ゼロウェイスト生活を始めてみてください。

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