山火事の発生件数が増加!その背景には地球温暖化の影響がある?

年明けにアメリカから大変なニュースが飛び込んできました。
ロサンゼルス周辺で山火事が複数発生し、乾燥と強風によって多くの家屋が燃えたのです。影響は、ハリウッドスターなどが住む高級住宅街や、ハリウッドサインで有名なハリウッドヒルズにも及び、亡くなられた方もおり、ニュースで大々的に取り上げられました。
この記事ではロサンゼルスでの山火事から、そもそもなぜ山火事が起こるのかや対策の必要性にまで触れて解説します。
2024年1月7日のロサンゼルスにおける山火事
山火事の被害は、17,000棟の建物が燃え、被害総額になると、過去アメリカを襲った山火事のなかでも、史上最悪クラスになると見られています。ただし、今回の山火事の原因は調査中となっています。
さらにアメリカでは、2022年8月にハワイのマウイ島でも大規模山火事が発生しているのが記憶に新しいです。死者が97人となり、米国での過去100年の山火事で最大の災害となりました。この時は、マウイ島では2700ヘクタールが焼け、損害額が60億ドルにもなりました。この時の原因は、強風で送電線が複数箇所切れたことによるものとされています。
また、アメリカ以外でも山火事は頻発しています。2023年にはカナダで山火事が頻発し、その焼失面積1850万ヘクタールと言われ、これは日本の国土の約半分に当たるものです。これによる二酸化炭素などの炭素排出量は約6億4700万トンで、日本の化石燃料などによる1年間の炭素排出量を上回る数値となっています。
この他にも、ギリシャ、チリ、スペインなどでも大規模な山火事が発生しています。
地球温暖化が山火事を進めている
このように海外では、大規模な山火事が頻発しています。
その原因の一つと言われているのが、地球温暖化です。実際、気象庁のWebサイトを確認すると、2024年の世界の平均気温は、基準値(1991〜2020年の30年平均値)からの偏差が+0.62℃で、1891年の統計開始以降、2023年を上回り最も高い値となりました。
世界の年平均気温は、様々な変動を繰り返しながら上昇しており、長期的には100年あたり0.77℃の割合で上昇しています。特に1990年代半ば以降、高温となる年が多くなっています。
このような地球温暖化により、局地的に雨が降らなくなり、気温が高くなることでその地域の土壌に含まれている水分を蒸発させます。そして、乾燥が進み、自然発火などの山火事が発生しやすくなる状況となります。そこに強風という要素が加わることで、山火事の被害が大きくなります。
今回のロサンゼルスの山火事も、極端な少雨が要因とみられています。もともと、山火事が起きた米西海岸の南部は年間降水量が400ミリメートル程度しかありません。
例年、降水量は夏に少なく、秋から冬にかけて増えいきます。 しかし、24年の7〜12月の降水量は、例年に比べて1%ほどしかなく、25年に入っても雨がほぼありませんでした。非常な乾燥状態となっていました。
また、山火事が広がる要因として森の植生も影響しているという研究もあります。多様な木だけでなく、動物、苔、藻、小川などのある森では、山火事が起きても広がりにくいといわれています。

山火事が起こりやすい・広がりやすい環境要因
一方で、プランテーションなど一種類の木が一定の間隔で並んでいるような森では、山火事が広がりやすいとされています。木の根が深く張られておらず、苔なども増えにくく、森全体の水分量が少ないためです。最初に起こった火がとても小さくても、急速に燃え広がり大規模な火災へとつながってしまいます。
このように、自然発火の山火事でも、大規模な山火事へと変貌する原因をたどっていくと人の環境破壊に端を発していることが分かります。
なお、今回のロサンゼルスの山火事の原因はChatGPTという噂も流れています。これは、ChatGPTが回答するためにAIが演算をする際にサーバーに負荷がかかり発熱をするのですが、その冷却に大量の水が必要となっているからというものです。一見、突拍子もないような噂ですが、人間による環境負荷が、まわりまわって人類に被害を及ぼすという風刺ともとらえられます。
日本の山火事は減少傾向にあり、大半は人為的な原因
山火事は日本でも発生しています。発生しやすい時期は冬から春(1〜5月)です。落ち葉などの堆積物が多く、火がつきやすい状況に加え、乾燥していて、風が強いために、一度火がついてしまうと火の回りが早くなってしまうためです。
山火事の原因は人為的なものが多く、林野庁によると、原因の1位は「焚き火」となっています。その次が焼畑などによる「火入れ」で、この二つで5割を超えます。落雷などによる山火事もありますが、日本では割合としては少ないです。
直近では、令和3年の栃木県足利市の山火事が大々的に報道され、記憶にも新しいかと思います。原因はたばこの火とみられており、近くの北関東自動車道が通行止めになるなどの影響が出ました。鎮火まで10日間を要し、167ヘクタールを焼き、305世帯610人に避難勧告が出されました。
そのほか、群馬県や長野県、山形県でも近年、山火事が発生しています。日本では件数が減ってきているとはいえ、乾燥した時期に住宅地近くの山で山火事が発生すると、被害が大きくなる可能性があるので、油断は禁物です。

