北海道におけるエコツーリズムの事例を紹介!人気場所や注意点も解説


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慌ただしい日々のなかで、「ちょっと自然の中で深呼吸したい」と感じたことはありませんか?
都会の喧騒を離れ、緑の中に身を置く時間は、心と体を整えるかけがえのないリセットボタン。
そんな“癒し”と同時に、“未来へのやさしさ”も叶えられる旅のスタイルが、いま注目を集めています。そんな人におすすめなのが、近年人気が高まっているエコツーリズムという観光スタイル。
この記事では、北海道の雄大な自然を舞台にしたエコツーリズムの魅力と、実際に体験できるスポットをご紹介します。
エコツーリズムとは?
エコツーリズムとは、自然環境を大切にしながら、その地域の文化や暮らしにも敬意を払う旅のこと。です。国際エコツーリズム協会(TIES)の定義をまとめると「環境を保全し、地域社会の福祉を向上させる責任ある自然旅行」と言うことができます。
簡単に言えば、自然を“消費”する旅ではなく、“寄り添いながら楽しむ”旅。
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環境保全:自然に負荷をかけない仕組み
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文化尊重:地域の暮らしや歴史を大切にする
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地域活性:観光によって地域に恩返しする
その根底には、上記の3つの柱があります。
エコツーリズムの3つの主要な要素
エコツーリズムにおける主要要素を3つ見ていきましょう。
自然環境の保護
観光客が増えると、ごみの増加や外来種の侵入といった悪影響が起こり得ます。
それらを防ぐためにも、旅行者には現地の生態系を守り環境保全の活動に貢献することが求められています。
地域文化の尊重と貢献
現地の歴史や文化を理解し尊重することも大切な要素の1つです。加えて、観光による収益が地域の活性化に繋がる形で運用されることが重要です。
地域経済の発展により、文化の保存活動や環境保全活動が活発化していくことが期待されます。
環境教育の推進
旅行者は、滞在中、大自然のなかに身を置くことになります。実際に自然に触れることで、環境保全がいかに重要かを学ぶことになるでしょう。
また、環境保護のために現地ではどのような活動がされているのかを知る機会でもあります。エコツーリズムは、人々の環境保護への意識を高める取り組みでもあるのです。


エコツーリズムのメリット
エコツーリズムは、単なる観光では終わらない“意味のある旅”です。自然にふれるだけでなく、地域の人とつながり、未来の地球を思いやる。ここではエコツーリズムのメリットを紹介します。
学びと感動のある旅
エコツーリズムでは、美しい景色を「見て終わり」ではなく、その背景にある自然の仕組みや生き物たちの営み、人々の暮らしにまで思いを巡らせることができます。
たとえば、知床のヒグマや釧路湿原のタンチョウ。その姿を観察するだけでなく「なぜここに生息しているのか」「どうやってこの自然が守られているのか」を知ることで、感動は一層深まります。
“見る”だけでなく“知る”ことで、旅は記憶から記憶へ、人生に刻まれる時間となります。
地域との“つながり”が生まれる
ガイドとの会話、地元の宿での夕食、道端で出会った人とのやりとり。エコツーリズムの魅力は、そうした「観光地の外側」にこそあります。
地域で暮らす人の話に耳を傾けることで、その土地の魅力や抱える課題にも自然と関心が向きます。旅先で「消費者」ではなく「訪問者」として迎えられるような感覚は、エコツーリズムならでは。
観光地をめぐるのではなく、その土地に“おじゃまする”気持ちを大切に。そんな姿勢が、思わぬ出会いや気づきをもたらしてくれます。
未来の地球への小さな貢献
あなたが選ぶツアーや宿泊施設、持ち物、行動一つひとつが、自然や地域を守ることにつながります。
たとえば、環境に配慮された施設に泊まること。マナーを守って山道を歩くこと。ガイドの話に耳を傾けること。次にその場所を訪れる人々や、未来の子どもたちのための行動でもあります。
エコツーリズムは、「ただの観光」とは違う、“地球にとって意味のある旅”。小さな選択が、未来を少しずつ変えていくのです。


北海道におけるエコツーリズムの代表的な事例
北海道におけるエコツーリズムの事例について、代表的なものをご紹介します。
1. 知床国立公園(世界自然遺産)
2005年にユネスコの世界遺産に登録された知床。日本でも有数のエコツーリズム推進地域として知られています。ヒグマやオオワシ、シャチなどの貴重な野生動物が生息しており、手つかずの自然が広がっています。
エコツアーの事例
- 知床五湖ガイドツアー: 知床五湖では、湖と森林が織りなす絶景のなかを歩くトレッキングコースが人気。観光客の増加は自然環境に影響を及ぼすため、ガイド付きツアーの導入や季節ごとに入場制限を設けるなどしている。
- ヒグマウォッチングツアー: 小型船に乗りながらヒグマを観察できるツアー。自然環境に配慮しながら、安全にヒグマを観察できる。参加する際は、動物にストレスを与えないように、特定のルールに従う。
エコツーリズムのポイント
事前予約制のツアーが多いため、管理された環境下で観光できます。また、地域住民やガイドと協力し、自然保護活動も行われていることも特徴です。
2. 釧路湿原国立公園(ラムサール条約登録地)
釧路湿原国立公園は、日本最大の釧路湿原、そこを流れる釧路川と支流、そして湿原を囲む丘陵地から成り立っていて、28,788haという広大な面積を誇ります。
湿原の中央エリアは1980年に日本初のラムサール条約に登録されました。
また、特別天然記念物であるタンチョウや絶滅危惧種のキタサンショウウオなどといった貴重な動植物が多く生息しています。
エコツアーの事例
- カヌーツアー: 釧路川をゆったりとカヌーで巡るツアーは人気が高く、自然を間近に感じられる。
- タンチョウ観察ツアー: 冬の間、タンチョウが飛来する地域でガイド付き観察ツアーが行われている。
エコツーリズムのポイント
ガイド付きツアーを利用し、湿原を荒らさないようにすることです。また動植物に影響を与えないため、音を立てずに観察することが推奨されています。
3. 大雪山国立公園
大雪山国立公園は、北海道の中心部に位置する日本最大の国立公園です。
アイヌの人々に「カムイミンタラ(神々の遊ぶ庭)」と呼ばれるほど、美しく広大な自然が広がっています。さまざまな地形や四季折々の景観が見どころで、温泉エリアもある観光地です。
自然の魅力
大雪山国立公園には、多様な高山植物や野生動物が生息しています。「北海道の屋根」とも呼ばれている山岳地帯では、登山や自然観察が楽しめます。
エコツアーの事例
旭岳や黒岳などの登山コースでは、ガイド付きのエコツアーが開催され、地元の自然について学ぶことができます。また、野生動物観察ではエゾナキウサギやクマゲラなどの希少動物が生息し、双眼鏡を使った観察ツアーも人気です。
エコツーリズムのポイント
登山道の維持に協力し、指定されたルートを歩きましょう。
4. 利尻・礼文・サロベツ国立公園
利尻・礼文・サロベツ国立公園は、利尻島、礼文島、サロベツ原野から成り立っている日本最北の国立公園です。
2024年9月には、国立公園指定から50周年を迎えました。
利尻山と自然保護
「利尻富士」とも呼ばれる美しい山を有する利尻島。利尻島固有のものを含め多種多様な高山植物が楽しめます。
一方の礼文島は、初夏に300種以上の花が育つことから日本最北の花の島として知られ、エコツーリズムの聖地として注目されています。
エコツアーの事例
礼文島では5月〜9月にかけて高山植物が咲き乱れ、ガイド付きのツアーが開催されます。これはフラワートレッキングと呼ばれています。また、エコカヌーツアーという、 海岸線をカヌーで巡り、海鳥やアザラシなどの生態を観察するものもあります。
エコツーリズムのポイント
旅行をする際には、植物を傷つけないように、トレイルを外れないこと、また島の生態系を守るため、外来種の持ち込みを避けるようにしましょう。
エコツーリズムを楽しむための注意点
エコツーリズムを楽しむための注意点を3つ見ていきましょう。
1. 自然環境への影響を最小限にする
旅行者の環境に対する配慮は、その土地の動植物が今後も変わらずに存在し続けるためにも必要不可欠です。
植物には勝手に触れない、ゴミは持ち帰るなどといった行動を心がけることは、環境負荷の軽減にも繋がります。
2. 地元のルールを尊重する
地元住民の生活や環境を保護するためにも、各地域で定められている規則は必ず守りましょう。ルールを守ることは、観光客の事故防止という観点からも重要です。
旅行者は、ただ楽しむだけでなく地元の文化を尊重し、学ぶ姿勢を持って現地を訪れるとよいですね。
3. 環境に配慮したツアーを選ぶ
現在は、現地ガイド付きなどのさまざまなツアーが企画されています。生態系を守りながら、新しい発見や心踊る体験ができるツアーを選ぶとよいでしょう。
また、サステナブルな取り組みを行っている宿泊施設もあるので、利用するのもおすすめです。


まとめ
北海道は地域それぞれに特有の魅力があり、エコツーリズムを体験するにはもってこいのスポットです。
また環境保全について学ぶことは、日常生活に戻ったあとでも環境に優しい選択をしよう!という意識や行動の変化に繋がります。
まずは一歩、小さな選択からはじめてみませんか?
あなたの旅が、次の世代へと美しい風景をつなぐ一歩になるはずです。

