海洋温度差発電の仕組みとは?メリット・デメリットも解説します
海洋温度差発電という言葉はなかなか聞きなれませんが、日々環境問題に高い意識を持っている方にとっては気になるトピックではないでしょうか。
海洋温度差発電とは、表層の温かい海水と下層の冷たい海水の温度差を利用する発電方法です。本記事では海洋温度差発電について、その特徴からメリット・デメリット、また実用化に向けた取り組みなど、海洋温度差発電のイロハが分かる内容をお届けします。
ぜひ最後までお読みください。
海洋温度差発電の仕組み
海洋温度差発電の仕組みは比較的シンプルです。まず、温度差発電機を設置します。一般的には海底に設置されることによって、表層水と深層水の間の温度差を利用してエネルギーを生成します。
温度差発電機は、温度差によって生じる熱エネルギーを電力に変換します。アンモニアなど特定の物質を使用して温度差によって蒸発させたあと、タービンに送ります。蒸発した物質はタービンを回して発電機を駆動し、電力を生成します。その後、冷却されて再び液体に戻り、サイクルが繰り返されます。
海洋温度差発電は海洋の自然なリソースである温度差を利用してエネルギーを得るものであるため再生可能なエネルギー源であり、地球環境にも配慮された仕組みであるといえるでしょう。
海洋温度差発電のメリット
本章では海洋温度差発電のメリットを簡単に紹介します。海洋温度差発電の最も大きなメリットは、安定して電力を供給することが可能である点です。
海の表面と深海の温度差は年間を通じてほぼ一定です。風力発電や電力発電などとは異なり気候にも左右されないことが特徴といえます。また、汲み上げた深層海水はさまざまな用途で活用できます。例えば、海洋深層水にはプランクトンが多く含まれていることから、サンゴや養殖などに活用できるのです。
このようにリサイクルが可能であることも、環境に配慮された発電方法の強みといえるでしょう。
日本をはじめ、米国、フランス、中国などでさかんに開発がされています。日本では沖縄周辺・小笠原諸島・黒潮流域などといった、海面の温度が高く、また深海との温度差が大きい地域で開発が進められています。
海洋温度差発電のデメリット
次に、海洋温度差発電のデメリットを紹介します。デメリットは主に以下の3つです。
- 海の近くにしか設置できない
- 発電プラントのコストがかかる
- 生態系への影響が出る可能性がある
日本は島国ではあるものの、海の近くにしか発電機を設置できません。そのため設置できるエリアが限られてしまうこと、また生態系に対して悪影響を及ぼす可能性があるため、地域社会と話し合うことも必要になります。発電プラントのコストもかかるため、導入には慎重なプロセスが求められます。
海洋温度差発電実用化に向けた取り組み
海洋温度差発電実用化に向けた取り組みとしては、沖縄県海洋深層水研究所で2013年から試験運転されている発電プラントの例があります。研究所の電源に使うやり方ですが、島全体の電力系統にもつなげられています。
海洋温度差発電実用化に向けては、小笠原諸島や黒潮流域が実用化の条件として当てはまります。今後も多くの地域で導入がなされていくでしょう。
また、日本だけではなく海外でも海洋温度差発電が実用化される動きが見られています。例えば2018年にはマレーシアで実用化支援プロジェクトが立ち上がっています。モーリシャスやインドネシア、ハワイなどの地域においても発電設備を設置する場所の候補地になっています。
まとめ
海洋温度差発電とは、表層の温かい海水と下層の冷たい海水の温度差を利用することによって発電することです。
安定したエネルギー供給ができることによって環境負荷の低い生産ができる一方で、コストがかかりやすい、生態系に影響を与えやすいなどといったデメリットも挙げられます。
これらの知識を踏まえたうえで、これからも環境問題に対して目を向けていきましょう。