洋上風力発電とは│他の再生可能エネルギーとの違いや注目されている理由をご紹介

洋上風力発電とは
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今話題となっている洋上風力発電とはいったいどんな発電方法なのでしょうか。

今回は洋上風力発電とはどんな発電方法なのか、他の再生可能エネルギーとの違いや注目されている理由について紹介をいたします。

洋上風力発電とは

洋上風力発電

洋上風力発電とは、風力発電を海の上で行う仕組みです。

1990年代にデンマークで初めて実施されてから世界で導入が拡大している発電方法の一つです。

洋上風力発電には、着床式と浮体式があります。

着床式は、海底に基礎構造物を設置して、その土台の上に風車を建設します。

浮体式は、海上の浮体に風車を建設します。

浮体式はコストがかかるため、着床式の洋上風力発電が多く建設を進められています。

洋上風力発電の優れた点

洋上風力発電は陸上の風力発電と比べて、安定して発電ができる点で優れています。

陸と比べて沖合は安定した風量が見込まれるため、次世代の発電方法として注目されています。

日本は四方を海に囲まれているため、この特性を生かした洋上風力発電の活躍が期待されています。

これまでの問題

ノートとペン

上記のように洋上風力発電は現在注目されていますが、なぜ今まで開発がされていなかったのでしょうか。

理由としては、日本の海域や漁業関係者との利害調整などの問題があげられます。

日本の海域の問題

洋上風力発電はデンマークでの導入から欧州で開発が進められてきました。

しかし、日本と欧州では、気象・海象条件が異なっており、欧州での事例をそのまま適用することはできません。

また、日本海側と太平洋側では更に条件が異なります。

加えて、着床式に適した遠浅の海が少ないこともあいまって導入が滞っていました。

漁業関係者との利害調整

洋上風力発電は海上に風車を建設する都合上、周辺の海域の生態系に影響を与えます。

海上に人工物を設置することにより、構造物へ付着する生物が増加し、新たな生息場が創出される可能性があります。

洋上風力発電の漁礁効果は生物多様性を高めるという点では良い効果があるように見えますが、外来生物の分布拡大を促してしまったり、水質等の影響も考えられます。

漁業関係者としては、洋上風力発電建設の影響で漁獲物へ影響が出るのは怖いですよね。

海へ与える影響が不明瞭な点から導入が滞っていました。

洋上風力発電が注目され始めた背景

紙幣

洋上風力発電が注目されるようになったのは、2019年に「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律(以下、「再エネ海域利用法」という。)」が施行されてからです。

再エネ海域利用法では、これまで影響が危惧されていた海域への影響についてルールを設けることによって導入を進めやすくする法律です。

また、2020年に洋上風力発電を主力電源としていくために、「洋上風力の産業競争力強化に向けた官民協議会」が設置され、具体的な方向性を示す「洋上風力産業ビジョン(第1次)」が作成されました。

上記の法律や協議会の設置により、事業者が風力発電設備を設置しやすい状況となりました。

さらには、2021年に4か所の促進区域(秋田県能代市、三種町及び男鹿市沖、秋田県由利本荘市沖(北側・南側)、千葉県銚子市沖)での洋上風力発電の商業運転にむけた公募がおこなわれたことによって事業者間での競争も加速し、注目されるだけでなく、実際の導入まで活発に開発が進んでいます。

参考:経産省

洋上風力発電の今後の展開

風力

洋上風力発電を主力電源としていくために、現在洋上風力発電は導入が進められています。

洋上風力産業ビジョンでは、2030年までに洋上風力発電での発電量を10GW、2040年までに30~40GWに拡大する目標が立てられています。

2020年12月末時点では発電量は58.6MWでしたので、約170倍の発電量になります。

長崎五島(浮体式)、千葉県銚子、秋田県由利本荘(南北)、秋田県能代三種男鹿、の4サイトで事業者の公募が進められております。

上記の4サイトだけで1.5〜1.8GWの発電量が見込まれるため、2030年までに10GWの目標は現実味を帯びております。

しかし、公募制度の見直しが起こり、制度の見直しを受けて「秋田県八峰町・能代市沖」の公募が中断されるなど導入が遅れる問題が発生しているため、本当に導入が進められるのか見通しが不明瞭です。

今後は、公募によって事業者が決定し、順調に洋上風力発電が導入されていくかに注目が集まります。

まとめ

電線

カーボンニュートラル社会の実現に向けて、洋上風力発電の産業は活性化が期待されています。

洋上風力発電はこれからメインとなる発電方法の一つとなっていくでしょう。

今後の動きに注目です。

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