飢餓の原因とは?持続可能な社会実現への一歩を踏み出そう

飢餓の原因とは?持続可能な社会実現への一歩を踏み出そう
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飢餓は、もはや日本以外の遠い国の問題ではありません。21世紀の今日、世界人口の約10人に1人が深刻な食料不足に直面しています。毎日の食事が満足に取れない人々が、地球上に8億人以上も存在するのです。この数字は、日本の人口の約6.5倍に相当します。

飢餓は単なる空腹以上の問題であり、人々の健康を蝕み、子どもたちの未来を奪い、社会の発展を妨げる深刻な課題です。

本記事では、飢餓の定義から現状、そしてその深刻な影響まで詳しく解説します。私たち一人一人が理解を深め、行動を起こせるように、ぜひ最後までお読みください。

飢餓とは?

まず、飢餓とはどのようなものかについて説明します。

飢餓の定義と現状

飢餓とは、人間が健康的で活動的な生活を送るために必要な食料を十分に得られない状態を指します。国連食糧農業機関(FAO)の定義によると、飢餓は「慢性的に食料不足の状態にあり、活動的で健康的な生活を送るために必要なエネルギーを摂取できない状態」とされています。

2022年の国連の報告によると、世界で約8億2800万人が飢餓に苦しんでいます。これは世界人口の約10%に相当し、コロナ禍以前と比べて大幅に増加しています。特にアフリカ、アジア、ラテンアメリカの一部地域で深刻な状況が続いています。

飢餓が引き起こす深刻な影響

飢餓は深刻な影響を引き起こします。例えば以下が主な要素です。

  • 栄養不良と健康被害
  • 子どもの発育への影響
  • 教育機会の喪失
  • 貧困の悪循環

飢餓は特に子どもたちに深刻な影響を与えます。十分な栄養を摂取できないことで、身体的・精神的な発達が阻害されてしまうのです。また、栄養不足により労働生産性が低下し、収入が減少することで、さらに十分な食料を得られなくなるという悪循環に陥ります。これは個人レベルだけでなく、国家レベルでの経済発展の妨げにもなってしまいます。

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飢餓の主な原因

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飢餓は複雑にさまざまな原因が絡み合った問題です。以下で詳しく見ていきましょう。

食料へのアクセス不足

世界の多くの都市部では、食料そのものは存在していても、それを購入する経済的余裕がない「経済的アクセス」の問題が深刻です。例えば、ある家庭が収入の大部分を住居費や医療費に費やさざるを得ない場合、食料購入のための予算が極端に制限されてしまいます。

世界の極度の貧困層は徐々に減少しつつありますが、依然として多くの人々が貧困に苦しんでいます。

収入不足と食料価格の高騰

世界的な食料価格の上昇は、貧困層の食料へのアクセスをさらに困難にしています。例えば、2022年にはウクライナ危機の影響で穀物価格が急騰し、多くの低所得国で深刻な影響が出ました。

このような状況下では、貧困層は食料の質や量を落とさざるを得なくなります。栄養価の高い食品よりも、安価でカロリーの高い食品を選ぶ傾向が強まり、結果として栄養不良のリスクが高まります。

紛争による農業生産の破壊

戦争や内戦などの紛争は、農地や農業インフラを直接的に破壊します。例えば、シリア内戦では多くの農地が放棄され、国内の食料生産能力が大幅に低下しました。

また、地雷の存在も深刻な問題です。紛争後も長期にわたって農地の使用を妨げ、食料生産の回復を遅らせます。カンボジアでは、内戦終結後も多くの農地が地雷の存在により使用できない状況が続いています。

気候変動

気候変動は、世界の食料生産システムに深刻な影響を与えています。異常気象の増加や気温上昇は、農業生産を不安定化させ、特に脆弱な地域での食料安全保障を脅かしています。例えば2011年のアフリカの角地域(ソマリア、エチオピア、ケニアなど)での大干ばつは、深刻な食料危機を引き起こしました

気温の上昇や降水パターンの変化は、従来の農業サイクルを狂わせ、収穫量の予測を困難にしています。気温上昇により害虫の発生が増加し、作物への被害が拡大するケースが報告されています。また、海面上昇により沿岸部の農地が塩害の影響を受け、生産性が低下する問題も発生しています。

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飢餓撲滅のために私たちができること

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飢餓は複雑な問題ですが、解決不可能ではありません。以下、具体的な解決策を詳しく見ていきましょう。

食料支援と国際協力

たとえ個人であっても、紛争地域や自然災害被災地に対しては、寄付を通じて食料支援に参加できます。例えば、WFPの「ShareTheMeal」アプリを使えば、スマートフォンを通じて簡単に寄付ができ、1回の寄付(0.80ドル)で1人の子どもに1日分の食事を提供できます。

農業支援

長期的な解決策としては、途上国の農業生産性向上のための技術支援や、小規模農家への融資支援などを行うことが望ましいでしょう。

例えば、日本の国際協力機構(JICA)は、アフリカでのコメ生産倍増計画を支援しています。この「アフリカ稲作振興のための共同体(CARD)」は、2008年から2018年の10年間でアフリカのコメ生産量を1400万トンから3000万トンに増加させることに成功しました。

持続可能な農業の推進

さらには、持続可能な農業の推進も進めていくべきです。気候変動に強い農業技術の開発と普及が現在は進められています。例えば、耐乾性品種の開発や、アグロフォレストリー(農業と林業を組み合わせた土地利用システム)の導入などが挙げられます。

また、途上国の食料生産の多くを担う小規模農家への支援も、飢餓撲滅の鍵となります。適切な農業技術の提供、市場へのアクセス改善、金融サービスの提供などが重要です。

まとめ

まとめ

飢餓は複雑で多面的な問題ですが、決して解決不可能ではありません。国際社会の協力、持続可能な農業の推進、個人レベルでの意識改革と行動変容、そして効果的な政策の実施により、飢餓のない世界を実現することができるでしょう。

私たち一人一人が、この問題に関心を持ち、できることから行動を起こすことが重要です。食料の無駄遣いを減らし、国際協力活動を支援し、関連する政策に関心を持つこと。これらの小さな一歩の積み重ねが、やがて大きな変化をもたらすのです。

飢餓のない世界の実現は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の一つでもあります。この目標達成のために、私たちにできることから始めていきませんか。

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