フェアトレードは児童労働の解決に効果ある?問題点や事例をもとに丁寧に解説
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フェアトレードという言葉を耳にする機会は増えましたが、それが具体的に児童労働の問題解決にどのように寄与しているのか、疑問に思われる方も少なくないでしょう。
フェアトレードの現状とその問題点を交えながら、なぜフェアトレードが児童労働を減少させる可能性を秘めているのかを解説します。また、日常生活でフェアトレード商品を見極める方法についてもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
そもそもフェアトレードとは
フェアトレードとは、途上国の生産者が公正な取引を通じて適正な報酬を得られるよう支援し、彼らの経済的自立を促進する国際的な運動です。
具体的には、コーヒーやカカオ、バナナなどの商品を、市場価格が生産コストを下回ることなく、安定した価格で買い取ることを保証するなどが挙げられます。
消費者はフェアトレード製品を選ぶことで、遠く離れた地域の生産者を支援し、持続可能な社会の実現に貢献できるのです。
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国際フェアトレード認証ラベル
国際フェアトレード認証ラベルとは、公正な取引を推進するための国際的な認証マークです。
このラベルが付けられた商品は、生産者に公正な報酬が支払われ、適切な労働条件が保障されていることを示しています。
国際フェアトレード認証ラベルは、その原料が生産されてから、輸出入、加工、製造工程を経て「国際フェアトレード認証製品」として完成品となるまでの各工程で、国際フェアトレードラベル機構(Fairtrade International)が定めた国際フェアトレード基準が守られていることを証明するラベルです。
引用元:フェアトレードジャパン公式HP
特に、途上国の農家や労働者が直面する経済的な不平等や社会的な問題を解決する目的で設けられた制度であり、消費者はこのラベルを目印にフェアトレード製品を選ぶことが可能になります。
認証を受けるためには、厳しい基準をクリアする必要があり、持続可能な農業方法の採用や環境保護にも配慮されています。
フェアトレード認証ラベルは、単に商品の品質を示すだけでなく、製品が持つ社会的・倫理的価値を伝える重要なシンボルともなっているといえるでしょう。
フェアトレード団体(FTO)マーク
フェアトレード団体(FTO)マークは、公正な取引を推進することを目的とした認証マークです。
フェアトレード団体であることを保証するマーク。WFTOに加盟し、生産者の労働条件、賃金、児童労働、環境などに関して基準を満たしていることを認められた団体が取得するマークです。取得後も、自己評価と相互評価、外部検証を通じて確認が行われています。このマークは、団体の貿易活動が持続可能であり、改善に向けて継続的に努力していることを示しているのです。
引用元:People Tree
このマークは、生産者と消費者の双方に公平な利益がもたらされるよう、倫理的な生産条件と貿易関係を保証することを目指しています。
FTOマークが付された商品を購入することで、生産者が適正な賃金を得て、労働環境が改善されるのを支援できます。
また、環境への配慮も重視されており、持続可能な農業や製造プロセスが奨励されています。このマークを持つ団体は、厳しい基準をクリアし、定期的な監査を受ける必要があります。そのため、消費者は信頼して商品を選べます。
なぜフェアトレードが児童労働問題解決につながるの?
フェアトレードが生産者への公正な取引を保証していることはご存知の方も多いでしょう。しかし、それがどうして児童労働問題の解決に役立つのか、理解していない方もいらっしゃるかもしれません。
ここでは、フェアトレードがどのようにして児童労働の問題に取り組んでいるのかをご説明します。
フェアトレード商品に児童労働が使われないことを目指しているから
「World Fair Trade Organization(世界フェアトレード機構)」の定める基準の一つに「児童労働および強制労働を排除する」という項目があります。
フェアトレードの認証を受けた農園や工場では、児童労働をしないことを条件にしており、監査を通じてその遵守を徹底させているのです。
適正な価格と労働の対価が児童にも支払われるから
フェアトレード取引では、製品を作る農家や働く人たちが適切な給料と働く環境を得られることを大切にしています。
給料や労働環境がしっかりしていれば、農家などの生産地の方々が貧困を脱出し、子どもたちが学校教育を受け続けられるようになるという二次的効果も期待できます。
市場が拡大することによって間接的に児童労働問題も解決を目指せるから
フェアトレード市場の拡大は、生産者や地域社会に経済的利益をもたらすことで間接的に児童労働問題の解決に寄与します。
より高い配当を受け取ることができる生産者は、子供たちに教育を受けさせる余裕が生まれます。
例えば、フェアトレード認証を受けたカカオ農園では農家の収入増により児童労働の減少につながると同時に子どもたちが学校に通う割合が高まるでしょう。
世界における児童労働問題の現状
国連の国際労働機関と児童基金は、2021年6月10日に「児童労働:2020年の世界推計〜傾向と今後の課題〜」という報告書を公開しました。
4年ごとに更新されるこの報告書によると、世界中で働く子どもの数は1億6000万人に上ります。
新型コロナウイルスの流行が子どもたちの労働にどのような影響を与えているのか心配されていた中、児童労働者の数は前回の調査時から840万人も増加したということ。
これまで減少傾向にあった児童労働者の数が、残念ながら増加に転じたのです。
つまり、5歳から17歳の子ども10人に1人が労働しているという事実があるのです。
さらに報告されているデータは、新型コロナウイルスが広がる前の2020年初頭のものです。貧困がさらに深刻化し、適切な対応が行われなければ、来年の終わりには児童労働者がさらに890万人増えると予想されています。
そして、もし経済の緊縮政策によって社会保障が十分に提供されない場合、児童労働者の数は4,620万人増加し、合計で2億620万人に達する可能性があると警鐘を鳴らしています。
フェアトレード商品の選び方
私たち消費者がフェアトレード商品を選ぶ際には、商品パッケージでマークの有無を確認し、信頼できるブランドの製品を選ぶことで、児童労働のない倫理的な消費を実践する手助けになります。フェアトレード商品の選択は、地球規模での正義への一歩となるでしょう。
ラベルを確認する
フェアトレード商品を選ぶ際には、ラベルの確認が重要です。
消費者として児童労働を支援しない姿勢を示すため、先述したようにフェアトレード認証ラベルが付いた製品を選びましょう。
児童労働の問題を抱える国々で作られた製品でも、フェアトレードの基準を満たしていれば、ラベルが付与されます。
つまり、ラベルを確認することで、児童労働のない公正な取引を支持することにつながるのです。
信頼できるブランドであるか確認する
フェアトレード商品を選ぶ際、消費者の選択は信頼できるブランドかどうかを確認することも重要です。信頼性の高いフェアトレードブランドを識別するためには、一般社団法人フェアトレードジャパンが提供する情報を参考にするのが良いでしょう。
消費者として倫理的な選択を行うためにも、信頼性の確保が不可欠です。
まとめ
フェアトレードは、農業や製品の生産者に公正な取引を保証するだけでなく、児童漏問題を減らすことを目指しています。
しかし、フェアトレードの認証を受けていない地域では、まだ多くの問題が残っています。私たち消費者には、買い物をする時にフェアトレードのマークが付いた商品を選ぶことで、子どもたちが労働に従事することを支援しないような選択をする責任があるのではないでしょうか。
この記事を読むことで、子どもたちが直面している労働問題の実態と、フェアトレード商品を選ぶことの大切さを改めて認識していただけたらと思います。