増え続ける気候難民について今わたしたちが知るべきこと

増え続ける気候難民について今わたしたちが知るべきこと
SOCIETY

「気候難民」という言葉を知っていますか?最近初めて聞いたという方も、何となく知ってはいたけど初めてしっかり調べたという方も居るでしょう。この言葉に明確な定義はないものの、現代で暮らす人たちは将来のことを考えるのなら必ず知っておかなければならないことです。

そこで、この記事では、世界で増加し続ける気候難民について知っておくべき基礎知識から実態、支援団体の事例まで詳しく解説します。

気候難民とは

パキスタンのテント

気候難民とは、悪化する地球温暖化や環境汚染などによって生まれ育った地域を追われ、移住を余儀なくされた人たちのことです。移住とはいっても代わりに住む場所がなかなか見つからないので「難民」という言葉が使われています。

気候難民の実態

海岸

気候難民が置かれている実態はどのようなものなのでしょうか。結論から言えば、気候難民は増え続けているのが現状です。世界銀行が発表しているデータによれば、2050年までに世界で2億1600万人が気候変動が原因で国内移住を強いられると懸念されているようです。

また、 2021年末時点で紛争や迫害により発生した難民が8930万人であることを踏まえると、現状の闇は非常に深いであろうことが伺えます。

例えば、南スーダン北部オールド・ファンガクでは2022年の洪水で80万人超が被災し、半数が難民になってしまいました。内戦のさなかに災害も加わり、人々は二重苦に苦しんでいる状況にあります。また、南アフリカ東部の都市ダーバンやその周辺では、11日から記録的な豪雨が襲い、洪水などで1万3千世帯以上が家を失ったというデータもあります。

農業と気候難民

木と畑

この章からは気候難民と環境の関係について深掘りしていきます。まずは「農業と気候難民」。亜熱帯地域のような水資源がもともと少ない地域では、地球温暖化の影響によって雨が少なくなり、水を確保できなくなりつつあります。

そのため、亜熱帯地域では農業がしにくくなっています。また、一部の地域では砂漠化が進んでいるところもあり、農業の不作によって居場所を追われる人も多いのが現状です。

海面上昇と気候難民

モルディブの海

海面上昇も気候難民と深い関係があります。海抜が低い南太平洋に浮かぶマーシャル諸島、ツバル、キリバスやインド洋にあるモルディブでは既に国土の一部が海に沈んでいる現状にあります。特にツバルの例は有名で、海面上昇により住む場所を追われることが懸念されています。

都市化と気候難民

キプロスのゴーストタウン

日本では少子高齢化が進んでいますが、世界の一部の地域では人口の急増などが進んだ結果都市開発が進み、都市化によって居場所を奪われてしまう人たちもいます。

例えば、都市化が進んだ地域では廃棄物や下水の排出量が増えることによってごみ問題が加速したり、工業の発達によって環境汚染が発生したり、人口密集で混雑したり、といった問題が発生しているのです。

干ばつと気候難民

干潟

人口が増加することによって水資源の需要が高まって枯渇し、また地球温暖化によって気候変動が全般的に起こることで干ばつも発生してしまいます。干ばつが発生すれば、言わずもがな農業や漁業ができなくなり、自給自足の生活はもちろんのこと、資源が不足します。この結果として気候難民が生まれてしまうのです。

気候難民支援団体の紹介

国連

最後に、気候難民を救うために活動する気候難民支援団体を6つ紹介します。支援団体が存在することも知り、これから気候変動問題を解決しようと思ったときの参考にしてみてください。

UNHCR

UNHCRとは国連難民高等弁務官事務所(UNHCR:The Office of the United Nations High Commissioner for Refugees)を指します。もともとは1950年代に第二次世界大戦の影響によって家をなくしたヨーロッパの人々のために設立されました。

UNHCRは、現在では世界約135カ国で活動しており、約12,000人(他の契約形態を含むと約17,000万人)の職員が働いています。超大規模な団体になっているといえるでしょう。

IOM

IOMは国連の関連機関です。国際移住機関( International Organization for Migration )のことであり、移住の分野を専門としています。政府や他行政機関、民間団体と共に協力することによって難民問題を解決に導こうとしています。

国際赤十字赤新月連盟

国際赤十字赤新月連盟(略称:IFRC)は自然災害・緊急災害時の被災者、および国内避難民等に対する救援活動を主な活動内容としています。赤十字の関連団体なので信頼度も高く、職員数は2500人と中規模なものの、世界での活躍が期待されています。

オックスファム

オックスファムは途上国と先進国の間で対等な関係を追い求め、難民問題を解決しようとする団体です。オックスファムは20の組織から編成されており、貧困と不正を根絶するための持続的な支援・活動を90カ国以上で展開しています。

グリンピース

環境問題を根本的に解決することを目標としたNGO・グリンピース。世界55の地域で活動を行っており、活動の中立性を守るために政府や行政機関からの支援を一切受けないポリシーが特徴的です。

わたしたちにできること|気候難民を減らす・支援するために

国際協力

気候難民を減らすためには、わたしたちが直接的に働きかけることはおそらく不可能に近いです。しかし、気候難民支援団体の活動を応援したり、また気候難民という存在が居ること自体を理解して周囲に発信していったりすることによって、間接的には解決に関わることができるでしょう。

まとめ

ボランティアの人

この記事では気候難民の基礎知識を解説しました。もはや地球規模レベルで考えなければならない問題なので、ぜひこの記事から知識を獲得して、環境問題を考えるときの参考にしてみてください。

関連記事:「気候正義」が必要なわけ|気候主義に関する社会運動を紹介します。

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