ふるさと納税で応援したい!2025年人気自治体ランキングとエシカルな選び方

ふるさと納税で応援したい!2025年人気自治体ランキングとエシカルな選び方
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年末が近づくと気になる「ふるさと納税」。節税のメリットや返礼品の魅力で注目されていますが、最近は、地域や地球の未来を支える寄付としても関心が高まっています。

「サステナブル」や「エシカル」がキーワードとなりつつあるふるさと納税の今は、どうなっているのでしょうか。「安く美味しいお肉・お魚が買えるから」といった理由で寄付先を選ぶ方も多いかもしれませんが、今年はその選択を少しエシカルにしてみませんか。

2025年最新版の人気自治体をいくつか紹介しつつ、「サステナブル」「エシカル」な観点から選ぶふるさと納税について考えてます。確定申告の準備が始まるこの時期、社会にも地球にもやさしい寄付のあり方を見直してみましょう。

2025年版ふるさと納税のトレンド

2025年版ふるさと納税のトレンド

「お得なネットショッピング」というとらえ方もされてきたふるさと納税ですが、地域に貢献するという本来の意義、さらに未来を見据えたシステムと考える流れも起こりつつあります。

返礼品よりも「地域貢献」で選ぶ人が増えている

総務省の統計によると、ふるさと納税の受け入れ額は約1兆2728億円、受け入れ件数は約5879万件。寄付件数は右肩上がりに伸びています。

自治体の選び方は大きく分けて2パターンあります。

  • 返礼品を目当てに選ぶパターン
  • 応援したい自治体であることを理由に選ぶパターン

自治体を応援する理由は、「自分の故郷である」「思い出の旅先だ」などさまざまですが、約4割が応援したい自治体を選んでいます。現在も、返礼品の内容が注目されがちかもしれませんが、その地域への貢献を意識して、いわば「社会投資」の寄付としてふるさと納税を行う人が着実に増えています。

SDGs・脱酸素を掲げる自治体の増加

それに対応するように自治体の意識も変化してきています。

ふるさと納税サイトの「さとふる」によると、SDGsに関するキーワードを含む返礼品は、登録数が前年比で10倍に増加しているとのこと。「地球にいい寄付」を明確に掲げる自治体が急増しているのです。

その内容は、プラスチック削減、フードロス対策、廃棄食材活用、再エネ活用など多彩。さまざまな地域の課題に取り組むとともに、ふるさと納税を行う人が高い関心を抱くものとなっています。

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ESGの視点からも、ふるさと納税は見直されています。ESGとは「環境(Environment)、社会(Social)、統治(Governance)」の頭文字を取ったもので、これらの要素を考慮した企業経営や投資活動を指します。

国が認定した地方創生プロジェクトに対して企業が寄付を行った場合、法人税などから税額控除する「企業版ふるさと納税」がありますが、ESGの視点から企業が活用する例が増えています。

なお、SDGsとの関係がわかりにくいかもしれませんが、SDGsが「何を目指すのか」を示す指針なのに対し、ESGは「どう評価するか」の視点を提供します。企業がESGに配慮しながら経営することで、結果的にSDGsの目標に近づくことができます。

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サステナブル観点で魅力!応援したい自治体3選(2025年版)

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では、実際に自治体のSDGsの取り組みについて見ていきましょう。サステナブルの観点から魅力のある3つの自治体を紹介します。

北海道下川町

下川町では、20年ほど前からSDGsに取り組んでいます。住民が主体となって、独自に「2030年における下川町のありたい姿(下川版SDGs)」を策定、7つのゴールを設定しています。

寄付金の使い道として、「SDGs未来都市しもかわ推進事業」を選ぶことができ、下川版SDGsの達成を目指す町民の活動などに活用されています。

また、下川町では豊かな森林資源をあますところなく活用しており、「森林(もり)づくり事業」を選ぶと、森林の整備に寄付金が活用されます。

岩手県宮古市

宮古市には、SDGs14「海の豊かさを守ろう」に通じる取り組みのひとつとして宮古湾の清掃活動を実施する「いわてマリンフィールド」があります。

「いわてマリンフィールド」は、海洋スポーツの普及のため発足した団体で、子どもたちが海に触れ合う活動を展開。「不登校児のシーカヤック体験」や「障がい者マリンスポーツ体験」などを実施していて、SDGs3「すべての人に健康と福祉を」、10「人や国の不平等を無くそう」に通じる活動も行っています。

返礼品としては、東日本大震災の津波で廃棄処分になったクルーザーヨットの帆を再利用した「Re帆バック(リホバック)」の人気が高いとのことです。

山梨県山梨市

山梨市の「甲斐国物語」は、山梨のギフト用フルーツやオリジナル加工品などを販売。傷モノや房から落ちてしまったブドウの粒など、高品質な「ハネモノ」を使用して、ケーキ、ジャムなどの商品をそろえています。

最近では、単にもったいないから加工品にするということではなく、生産者や製造工程を見える化して、消費者と生産者の橋渡しを行い、付加価値をつけた返礼品を提供しています。

エシカル視点で見る「ふるさと納税」

エシカル視点で見る「ふるさと納税」

これまで現在のふるさと納税のトレンドを見てきました。改めて「エシカル」な視点からふるさと納税をとらえてみましょう。

返礼品を「地球へのギフト」として考える

返礼品は国が定めた「地場産品基準」に従う必要があります。「地場産品」とは、「地域内で生産された商品や提供されるサービス」のこと。つまり、返礼品はその地方や自治体ならではの商品やサービスでならなければなりません。

返礼品=地場産品が提供されることにより、その地域固有であったり、伝統的な地域資源が守られることになります。

これは単純に返礼品という「モノ」を受け取るということではなく、地域資源を「未来に残す寄付」であることを意味します。

より大きく捉えれば、返礼品を「地球へのギフト」として考えることができるわけです。

寄付金の使い道をチェックするポイント

ふるさと納税の寄付金は、ある程度、寄付者が使い道を決めることができます。特にない場合は「お任せ」を選ぶこともできますが、「まちづくり」や「復興支援」「教育」など自治体によって用途指定はさまざまなので、先方の自治体のことを考え、使い道を選びましょう。

相手の自治体のことをできる限り知り、寄付金の使い道を考えるだけでも、ふるさと納税に対する姿勢は違ってくるはずです。

各自治体のホームページでは、SDGsレポートなどが掲載されているケースが多いので、その自治体がどのような理念を持っているのか、どのような活動を行っているのかなどは確認することができます。自分の価値観に合った自治体を探し「パートナー」として付き合うのもいいのではないでしょうか。

確定申告シーズンに知っておきたい手続きのポイント

確定申告シーズンに知っておきたい手続きのポイント

ところで、実際にふるさと納税の手続きはどのように行うのでしょうか。簡単にまとめてみましょう。

ワンストップ特例制度の対象確認

ふるさと納税では、寄付額から2000円を引いた金額がすべて控除の対象となり、返礼品がもらえます。例えば4万円を寄付した場合、自己負担額が2000円で3万8000円が控除の対象。3割分(1万2000円)の返礼品がもらえます。

手続きは難しそうに思えるかもしれません。そこで利用したいのが、ワンストップ特例制度です。

「確定申告や住民税申告をする必要のない給与所得者」「ふるさと納税以外に確定申告または住民税の申告を行う必要がない人」「年間の寄付先が5自治体以内の人」の3つの条件を満たしていれば、ワンストップ特例制度が利用可能です。

ただし、医療費控除や住宅ローン控除など別途申告がある場合は、確定申告が必要になるなど注意が必要。各ふるさと納税サイトに詳細が説明してありますのでチェックしておきましょう。

寄付金控除の時期など

ふるさと納税の控除額の上限は、本人の所得や家族構成で変わります。例えば、目安は以下のとおりです。

寄付者本人の給与収入  独身または共働き  夫婦    共働き+子1人(中学生以下)

300万円          25000円     16000円  25000円

400万円          39000円     30000円  39000円

500万円          57000円     45000円  57000円

 

出典:さとふる

各ふるさと納税サイトには、早見表やシミュレーションなどがあるため、活用するのがおすすめです。前述のワンストップ特例制度の場合、各寄付先自治体に申請書と本人確認書を提出。時期は寄付をした翌年の1月10日までとなっています。

年間の寄付先が6自治体以上、またふるさと納税以外の確定申告が必要な人は、ワンストップ特例制度が使えず、確定申告を行う必要があります。

確定申告書類と「寄付金控除に関する証明書」または「寄付金受領証明書」を税務署に提出。時期は寄付をした翌年の確定申告期間です。

以前は、書類を税務署に持ち込むか郵送が申告方法でしたが、現在はe-Taxを利用すればオンラインで完結します。その場合、マイナンバーカードなど事前の準備が必要なので、e-Taxのホームページなどで早めに確認しておきましょう。

まとめ|“ふるさとを支える”という、もうひとつのエシカル消費

まとめ|“ふるさとを支える”という、もうひとつのエシカル消費

ふるさと納税は、メディアにおいては返礼品の豪華さや人気自治体ランキングなどが注目を集めていますが、本来ふるさと納税は地方自治体を支えるための制度です。

そこに最近は、「サステナブル」や「エシカル」という視点が加わり、ふるさと納税は単に返礼品の豪華さや制度の“お得感”を強調するものではなくなっています。

ふるさと納税は、自治体のSDGsへの取り組みを見定めるひとつの指針となっています。同時に、寄付する側のSDGsに対する考え方を問う機会となっているともいえるでしょう。

このように解説すると、ふるさと納税が堅苦しいものに思えるかもしれません。しかし、その根底にあるのは、さまざまな面から「ふるさとを支える」という本来の目的です。小さな行動ではありますが、これまで解説してきたとおり、「地球を救う」ことにも直結しているといえるでしょう。

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