【2025年最新】ESG投資とは?時事性を見ながらメリット・デメリットなどを解説

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持続可能な成長が企業価値の鍵を握る時代。いま、世界の投資家たちが注目しているのが「ESG投資」です。

環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の視点から企業の持続可能性を評価し、長期的なリターンと社会的インパクトの両立を図るこの投資手法は、単なるトレンドを超え、今後の資本市場における重要な指針となりつつあります。

この記事では、2025年の最新動向を踏まえながら、ESG投資の基本構造、期待されるメリットとリスク、そして投資先選定の具体的なポイントまで、実務に活かせる視点でわかりやすく解説します。

ESG投資とは

ESG投資とは

ESG投資とは「環境(Environment)」「社会(Social)」「ガバナンス(Governance)」の3つの観点を重視して行う投資のことを指します。従来の投資では、企業の財務状況や成長性が主な評価基準でしたが、ESG投資では、企業がどれだけ持続可能な経営を実践しているか、社会的責任を果たしているかといった非財務的な要素も重視されます。

環境

企業が気候変動対策や資源の有効活用、再生可能エネルギーの導入など、環境に配慮した取り組みを行っているかを評価します。二酸化炭素(CO₂)の排出削減や、廃棄物管理、森林保護なども重要なポイントとなります。

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社会

労働環境の改善、多様性の推進、地域社会への貢献など、企業が社会全体にどのような影響を与えているかを考慮します。特に、従業員の働きやすさや人権の尊重、サプライチェーンの倫理性などが投資判断の基準となります。

ガバナンス

経営の透明性や企業統治の健全性を評価します。取締役会の独立性、コンプライアンスの強化、適切なリスク管理などが求められます。不正会計や汚職のリスクが低い企業は、投資家からの信頼を得やすくなります。

ESG投資が注目されている背景

ESG投資が注目されている背景

ESG(環境・社会・ガバナンス)を軸にした投資は、単なる一時的なブームではなく、世界的な潮流として定着しつつあります。背景には、環境問題から社会意識の変化、政策的な支援まで、複数の要因が複雑に絡み合っています。

気候変動への危機感と脱炭素社会の加速

地球温暖化や異常気象の頻発など、気候変動問題の深刻化を受けて、各国政府や企業は脱炭素社会の実現に向けた行動を急速に進めています。

企業にとっては温室効果ガスの削減や再生可能エネルギーの導入といった「環境対応力」が、企業評価の大きな指標となってきました。

こうした中で、投資家もリスクマネジメントと将来性の両面から、環境意識の高い企業への投資を重視するようになっています。

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社会的責任への意識変化と「選ばれる企業」へのシフト

近年、企業の社会的責任(CSR)や人権・労働環境への配慮など、いわゆる「S=Social」の視点が投資判断においてより重要視されています。消費者や若い世代の投資家は、「何を提供しているか」だけでなく「どういう姿勢で企業活動を行っているか」を基準に企業を選ぶようになりました。

この流れが、利益だけでなく社会価値も生み出す経営への転換を後押ししています。

政府・国際機関による制度整備とESG推進の後押し

ESG投資の拡大には、各国政府や国際機関の制度的な支援も大きな役割を果たしています。たとえばEUではタクソノミー(持続可能な経済活動の分類基準)導入、日本でも金融庁や環境省によるガイドライン整備が進み、ESG開示の透明性と比較可能性が向上しました。

こうした制度的な後押しにより、企業も投資家もESG対応を“当たり前の基準”として意識する時代へと移行しています。

ESG投資の仕組み

ESG投資には、投資先企業を選定する際に用いられるいくつかの手法があり、大きく分けて「ポジティブ・スクリーニング」「ネガティブ・スクリーニング」「エンゲージメント型投資」の3つのアプローチが主流となっています。

以下の表で、それぞれの特徴を詳しく説明します。

投資手法 概要 特徴
ポジティブ・スクリーニング ESGに積極的に取り組んでいる企業を選定する手法 環境対策、社会貢献、ガバナンスの透明性などが優れた企業が対象となる
ネガティブ・スクリーニング 環境破壊や人権侵害など、社会的責任を果たしていない企業を投資対象から除外する手法 化石燃料産業、武器製造、児童労働に関与する企業などが対象外となる
エンゲージメント型投資 投資家が企業と対話し、ESG課題への対応を促す手法 投資家が株主提案や議決権行使を通じて、企業のESG方針に影響を与える

これらの手法を組み合わせることで、投資家はESGの観点から持続可能な企業を選び、社会的責任を果たしながら長期的なリターンを得ることが可能となります。近年は特に、企業のESG対応状況を評価するスコアリングが普及し、より多角的な視点で投資判断が行われるようになっています。

ESG投資のメリット

ESG投資のメリット

ESG投資には、経済的な利益だけでなく、社会的な意義も兼ね備えた多くのメリットがあります。以下で詳しく解説します。

長期の資産形成につながる

ESGを重視する企業は、環境や社会への配慮、適切なガバナンスのもとで事業を展開しているため、社会的信用が高く、安定した成長が期待されます。

短期的な利益の追求ではなく、持続可能な経営を意識しているため、経済的なリスクが低減し、長期的に安定したリターンを見込める点が魅力です。また、投資家の間でESGへの関心が高まることで、こうした企業の株価が市場で高く評価されやすくなり、結果的に資産形成につながる可能性も高まります。

社会貢献につながり、持続可能な社会の実現に協力できる

ESG投資は、単なる利益追求ではなく、環境保護や社会的課題の解決を積極的に行う企業への支援にもつながります。たとえば、再生可能エネルギー事業を展開する企業や、ダイバーシティ推進に取り組む企業への投資は、持続可能な社会の実現に貢献する手段の一つとなります。

投資を通じて、環境や社会に良い影響をもたらす企業を支援できるため、投資家自身も社会的な責任を果たすことができます。こうした動きが広がることで、金融市場全体がより持続可能な方向へと進んでいくことが期待されています。

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ESG投資のデメリット

ESG投資のデメリット

ESG投資には多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットや注意すべき点も存在します。以下でそれぞれ解説します。

短期的なリターンが望めない

ESG投資は、持続可能な経営を評価し、長期的な成長を重視する投資手法であるため、短期間での大きな利益を求める投資家には向かない場合があります。

特に、ESG要素を強化するための投資や事業転換には時間がかかることが多く、その間の利益成長が緩やかになる可能性があります。また、短期的な市場の変動に左右されにくい一方で、成長スピードが穏やかであるため、短期トレードを主とする投資スタイルには適していません。

グリーンウォッシュに注意する必要がある

ESG投資の人気が高まるにつれ、企業がESGに取り組んでいると見せかける「グリーンウォッシュ」の問題が指摘されています。

企業が実際には十分な環境対策や社会貢献を行っていないにもかかわらず、ESG評価を高めるために誇張した情報を発信するケースが増えています。投資家は企業の本質的な取り組みを見極める必要があり、ESG評価の透明性や独立した評価機関のレポートを活用することが求められます。

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ビジネスの利益目的だけではない企業を慎重に選ばなければならない

ESG投資では、社会貢献や環境保護を重視する企業を選ぶことが基本となりますが、中には「環境に優しい事業」と言いつつ、表面だけしか実行していない企業も多くあります。

環境や社会の課題解決を最優先とする企業の中はビジネスとしては強くないかもしれませんが、だからこそそういった企業を応援する意味でも、バランスよく投資家視点で見ることが重要です。持続可能性と収益性のバランスを考慮し、財務状況や成長戦略を慎重に分析しましょう。

ESG投資における銘柄の選び方

ESG投資を行う際には、投資先企業が本当に持続可能な経営を実践しているかを慎重に見極めることが重要です。以下で詳しく見てみましょう。

企業のESG情報・CSR情報を確認する

まず、企業が発行するESGレポートやCSR(企業の社会的責任)活動の情報を確認し、サステナビリティへの取り組みが実態に即したものであるかを見極めましょう。企業の公式サイトや年次報告書、統合報告書には、環境対策、労働環境改善、コーポレートガバナンスの強化などに関する情報が記載されているため、投資判断の参考になります。

ESG企業ランキングやESGスコア上位から選ぶ

企業のESG評価を客観的に判断するために、各種ランキングやESGスコアを活用するのも有効です。MSCIやFTSE、Sustainalyticsなどの国際的なESG評価機関が提供するランキングやスコアは、多くの投資家が参考にしています。

これらのスコアは、環境・社会・ガバナンスの各要素を総合的に評価し、透明性のある基準で企業の持続可能性を測定しているため、ESGに優れた企業を簡単に特定する手助けになります。

ESG投資信託の保有銘柄から選ぶ

プロの運用者が選定したESG銘柄を含む投資信託を参考にするのも、一つの選択肢です。ESG投資信託は、すでにサステナブルな企業を厳選してポートフォリオを構築しているため、個人投資家が一から企業を選定する手間を省くことができます。

また、運用報告書やファンドの保有銘柄をチェックすることで、どの企業がプロの目線で高評価を受けているかを把握し、自身の投資戦略に応用することも可能です。

earth-ismでは、優良なサステナビリティ企業を紹介

earth-ismでは、優良なサステナビリティ企業を紹介

サステナビリティ情報に特化したearth-ismでは、厳選されたサステナビリティ企業を紹介しています。どの企業が本当に持続可能な経営を行っているのかを見極めるのは簡単ではありません。しかし、earth-ismではサステナビリティ関連で特に優れた企業を選定し、その取り組みを詳しく紹介しています。

earth-ismの情報を活用することで、より精度の高い投資戦略を立てることが可能になるため、ぜひ企業紹介ページから生の担当者の声を確認してみてください。

まとめ

まとめ

ESG投資は、環境・社会・ガバナンスの観点から企業を評価し、持続可能な社会の実現と長期的な資産形成を目指す投資手法です。短期的なリターンを求める投資には向かないものの、ESGの視点を取り入れることで、社会貢献と利益を両立できる可能性があります。

近年、ESGへの関心が高まる中、企業のサステナビリティへの取り組みを慎重に見極めることが重要になっています。企業のESGレポートやCSR情報を確認し、ランキングやスコアを参考にしながら、適切な銘柄選びを行うことで、より効果的なESG投資を実践できるでしょう。

また、earth-ismのようなサステナビリティ情報に特化したメディアを活用することで、信頼性の高いESG企業を見極めることも可能です。

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