サステナビリティのために年賀状を出さないべきか?環境に配慮した新しい選択肢とは
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年の終わりが近づくと、家族や友人、仕事関係者へ送る年賀状を準備する時期がやってきます。
新しい年を祝う大切な挨拶ですが、一方で、環境問題を考えると毎年大量の紙を消費し、印刷インクを使う年賀状は果たしてサステナブルなのかと考える方も増えています。
近年では、年賀状を出さないデジタルな選択肢もありますが、気持ちを込めた挨拶を大切にしたい方も多いでしょう。本記事では、サステナビリティの観点から年賀状を出すべきかどうかを考え、環境に配慮した年賀状の選択肢についてご紹介します。
紙の年賀状が環境に与える影響
年賀状の発行枚数は年々減少しているとはいえ、毎年数億枚の年賀状が日本で使用されています。そのため、印刷に必要なインクや紙の製造過程でのエネルギー消費、廃棄物の増加が環境への負荷を生んでいます。
特に森林伐採は生態系や温暖化に大きな影響を及ぼすため、毎年年賀状を出すことがどのような影響を与えているかを意識することは重要です。
紙の消費が森林伐採につながり、それが生態系の破壊や動植物の減少に影響を及ぼすことはよく知られています。世界中で自然環境が脅かされている今、年賀状の選択においても、そのような問題意識をもって紙の利用を見直すことが求められています。
また、インクには多くの化学物質が含まれており、印刷過程での排出物や廃棄後の環境負荷も懸念されています。
こうした背景から、「年賀状は出さないほうが良いのでは?」と考える方もいるかもしれません。サステナブルなライフスタイルを意識する人たちにとって、年賀状にかかる環境コストは、見逃せない問題となっています。
年賀状を「出さない」という選択肢
「出さないほうが良いのでは?」「無駄なのでは?」と考える環境保護の観点から、年賀状を出さない選択をする人も増えてきました。
SNSやメールを通じて新年の挨拶を行うデジタルな方法は、紙を使わないためエコロジカルであり、時間やコストの面でも効率的です。また、手軽に送れるため、忙しい年末に時間を節約できる利点もあります。
デジタル化が進む現代では、SNSやメールを通じた挨拶も一般的になりつつあります。特に若い世代や、ビジネスにおいて日常的にデジタルツールを活用している人たちにとって、デジタルメッセージでの挨拶はシンプルかつ手軽な手段として重宝されています。
エコロジカルであるだけでなく、デジタルメッセージはほとんどコストがかからないため、合理的な選択ともいえます。
一方で、デジタルメッセージは簡便である反面、手書きのメッセージが持つ温かみや丁寧さを伝えにくい側面もあります。特に長年お世話になっている方やご年配の方などには、デジタルよりも紙の年賀状を好む傾向があるかもしれません。
環境のために紙を減らすことは大切ですが、「相手に伝える気持ち」を考えると、どうしてもデジタルでは味わえない温かみがあることも事実です。ここで、サステナブルに配慮した紙を用いた年賀状という選択肢が注目されます。
サステナブルに配慮した年賀状の選択肢
年賀状を出すことがサステナビリティに反するわけではありません。環境に配慮した紙「バナナペーパー」やその他の紙、またインクを選ぶことで、負担を軽減しながら新年の挨拶を送ることが可能です。
バナナペーパーとは?
バナナペーパーは、バナナの茎を使った環境に優しい紙です。バナナの生産地では、収穫後の茎が廃棄されるため、これを紙の原料として再利用することで資源の無駄をなくしています。
また、バナナペーパーの製造過程では、現地の雇用創出にもつながっており、エシカルで持続可能な方法で作られています。通常の紙と比べて環境への負荷が少なく、サステナビリティの観点からも優れた選択です。
さらにはバナナの茎を再利用することで、自然資源の消費を抑えるだけでなく、バナナ生産地の経済支援にもつながります。実際にバナナペーパーの年賀状を選んだ方の中には、「普段の年賀状と変わらない手触りで、良いメッセージを添えられた」という声もあります。
また、環境や社会に配慮した商品を使うことで、受け取った人に自然や持続可能性について考えるきっかけを提供できるでしょう。
その他のサステナブルな紙素材
バナナペーパー以外にも、リサイクルペーパーやFSC認証を受けた紙もサステナブルな年賀状の素材として人気です。リサイクルペーパーは、使用済みの紙を再利用しているため、森林資源を新たに使用することがなく、環境負荷を軽減します。
廃棄物の削減にもつながるリサイクルペーパーは、サステナブルな年賀状素材として注目されています。
また、FSC認証紙は、適切に管理された森林から採取された木材を使用しているため、自然環境の保護や持続可能な森林管理に貢献しています。こうしたエシカルな素材を選ぶことで、環境に優しいだけでなく、持続可能な自然環境の維持にもつながります。これらの素材を活用した年賀状を選ぶことで、環境に優しい挨拶を送ることができます。
企業が新登場させた新しい年賀状も
株式会社テイ・デイ・エスのオリジナル文具雑貨ブランド「リプラグ」は、一年草である牧草を配合した牧草を約50%配合したサスティナブルな年賀状「年賀状2022【トラ】」を登場させました。これは、デジタルでのコミュニケーションが主流だからこそ、アナログな年賀状でしか表現できない手触りや香りを楽しめるものを制作したいという思いから作られたものです。
年賀状の用紙には、ドイツのグムンド社が開発した「グムンドバイオサイクル-FS」が使用されています。この用紙には一年草である牧草が約50%配合され、染料を使用せずに作られています。
使用される牧草は、グムンド社の本拠地である南ドイツのバイエルン州産で、環境に優しい素材です。また、風合いだけでなく、爽やかな牧草の香りが楽しめるのも特徴です。
サステナブルなインクや印刷方法の工夫
サステナブルな年賀状を考える際には、紙素材だけでなくインクにもこだわりましょう。例えば、大豆インクや植物性インクは、石油由来のインクに比べて化学物質が少なく、環境負荷が低いのが特徴です。植物由来のインクは再生可能な資源から作られており、印刷過程でのCO2排出量が少ないため、よりサステナブルな選択となります。
さらに、年賀状を自宅で印刷する場合、印刷回数を最低限に抑えたり、文字サイズを工夫することでインクの使用量を減らすこともできます。インク量を節約するフォントを選ぶのも一つの方法です。
デザインを工夫し、シンプルで美しいデザインに仕上げることができれば、インクを少なく使いながらも効果的な年賀状を完成させることができます。
年賀状でサステナブルメッセージを伝える工夫
サステナブルな年賀状を選ぶことは、エコロジカルな意識を伝える手段としても効果的です。年賀状のデザインに「自然保護」や「持続可能性」といったメッセージを含めることで、受け取った相手にも環境意識を共有することができます。
例えば、年賀状の一部に「エコな素材で作られた年賀状です」という文言やサステナブルな取り組みを示すマークを入れると、相手に配慮が伝わり、次の年に同じようにサステナブルな選択を考えるきっかけにもなります。
また、エコ素材やリサイクルの意識を持ったデザインを年賀状に反映することによって、単なる挨拶に留まらず、自然への配慮を伝えることができます。環境への意識を広げる一助として、サステナブル年賀状を考えることは意義深いことです。
まとめ|サステナブルな年賀状で、思いやりを形に
「環境に配慮した選択をしたいけれど、気持ちを伝える手紙も大切にしたい」というジレンマを抱える方にとって、サステナブルな素材の年賀状が、環境にやさしい行動の1つの解決策となります。年賀状の送り方を少し工夫することで、相手に想いを伝えつつ、地球への配慮もできます。
バナナペーパーやリサイクルペーパーを使った年賀状は、環境に優しいだけでなく、エシカルなメッセージも添えられる素敵な選択です。
新年のご挨拶とともに、私たちの暮らしの中で少しずつ持続可能な選択を広げていきましょう。サステナブルな年賀状は、贈る側も受け取る側も環境に優しい気持ちをシェアできる手段として、これからの時代にふさわしい新しい年賀状スタイルです。
年の初めに「エコ」への思いを込めた年賀状を送ることは、私たちの地球にとってもポジティブな新しいスタートになるでしょう。