クーリングシェルターとは?2025年夏の熱中症対策として活用しよう


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今年も暑さが本格的になり、熱中症のリスクが高まっています。この夏を乗り切るために知っておきたいのが「クーリングシェルター」という取り組みです。公共施設や民間の店舗などを一時的な避暑場所として開放するこの取り組みは、誰もが安全に暑さをしのぐための手段として拡大中です。
本記事では、クーリングシェルターの概要や探し方、さらに実際の例を解説していきます。この夏の暑さを乗り切る手段のひとつとしてぜひチェックしておきましょう。


厳しい暑さで変化する最新の夏の過ごし方
ここ数年は特に夏の暑さが厳しく、気象庁が発表したデータによると2023年、2024年の夏は、いずれも1898年の観測開始以来、史上最高の暑さを記録しました。2025年の夏も平年より暑くなると予想されていましたが、すでに多くの人が実感していることでしょう。
このような状況を受けて夏の過ごし方にも変化が生まれています。
夏といえば、海水浴やバーベキューなどの屋外レジャーが定番でしたが、2024年にいこーよ総研が行った調査では、夏休みのレジャーは屋外ではなく屋内施設に行く人が増えていることが分かりました。また近年では、涼しい地域での休暇を楽しむ「クールケーション(クール+バケーション)」という避暑スタイルが注目されており、暑さを避けて涼しい場所で過ごす人が増えています。
さらに、日中の暑さを避けるために、生活スタイル自体が夜型へ移行する傾向も見られています。
在宅勤務やオンライン授業が普及する中で、無理に外出せず自宅で過ごす人が増えており、その分、外出は気温が下がる夕方以降に行うようになっています。実際、家計簿アプリを提供する株式会社くふうカンパニーホールディングスの調査によれば、日中の外出を控え夕方以降に買い物へ行く人が増えているという結果が出ています。
クーリングシェルターとは
避暑や夕方以降の行動が増えているとはいえ、日中に外出しなければならない場面も少なくありません。そんな時に覚えておいてほしいのが「クーリングシェルター」です。クーリングシェルターとは誰でも自由に立ち寄って涼むことができる、公共施設や民間の屋内スペースのことです。
環境省と気象庁が発表する「熱中症特別警戒アラート」が出た際に、自治体が指定した施設がクーリングシェルターとして開放されます。熱中症から身を守るための一時的な避難先として全国で設置が進んでおり、環境省の調査によると2024年8月には763の市区町村で1万2,000以上のクーリングシェルターが設置されました。
クールシェアスポットとの違い
クーリングシェルターと同じような施設に「クールシェアスポット」があります。どちらも暑さをしのぐ場所ですが、クーリングシェルターは冷房設備など一定の要件を満たす必要があり、緊急時の避難場所としての役割が強いのが特徴です。
一方、クールシェアスポットは屋外の公園など冷房設備がない場所も含まれ、個人がエアコンを長時間使用するのを避け、皆で涼しさを共有しながら節電につなげることを目的とした施設でもあります。
クーリングシェルターとクールシェアスポットの違い
クーリングシェルター | クールシェアスポット | |
主な目的 | 緊急時の避暑・熱中症対策 | 地球温暖化対策
節電・省エネ対策 |
施設 | 屋内 | 屋内・屋外 |
冷房設備 | 必須 | 必須ではない |
近くの施設を探すならクーリングシェルターマップを活用
引用元:ERCA(独立行政法人 環境再生保全機構)公式サイト
自分が住んでいる地域や、今いる場所から近いクーリングシェルターを探すには、クーリングシェルターマップの活用がおすすめです。環境省所管のERCA(独立行政法人 環境再生保全機構)からクーリングシェルターマップが公開されています。また、各地方自治体の公式サイトでも地域のクーリングシェルターが紹介されているので、そちらをチェックするのも良いでしょう。
民間施設にも広がるクーリングシェルターの実例
クーリングシェルターは自治体が運営する公民館や図書館、福祉センターなどが指定されることが多いですが、民間施設も増えています。ここではいくつかの事例を紹介します。
東京タワー
2024年には東京都港区にある東京タワーがクーリングシェルターに指定されました。港区では初の民間施設で、タワー内の1階から3階に約100席が設けられ、熱中症特別警戒アラートが発令されていない時でも自由に利用できるようになっていました。
ウェルシア
調剤薬局併設型のドラッグストアとして全国展開するウェルシア。2024年は全国24の自治体で展開する店舗でクーリングシェルターを設置していましたが、2025年は大幅に拡大し、205自治体の店舗で設置されています。
さらに「夏の涼み処」という独自の熱中症対策を実施しており、誰でも自由に利用できるスペースを開放している店舗もあります。この夏の涼み処はクールシェアスポットとしての役割も担っている取り組みです。
イオン
全国展開する大型ショッピング施設・イオンモールは2024年に、96店舗がクーリングシェルターとして指定されていました。現在では、イオン、イオンモール、イオンスタイルの約1,200カ所が指定されています。またクーリングシェルター以外の店舗でも独自の涼しい休憩スペースを設置し、熱中症対策をサポートしています。
紹介した事例のほかに、薬局やコンビニなどがクーリングシェルターに指定されるケースも増えています。民間施設も気兼ねなく利用して熱中症対策に役立てましょう。
まとめ
今年の夏も暑さが厳しく、熱中症対策は誰もが自分事として気を付けなければいけません。避暑手段として注目されているクーリングシェルターは、自治体に加えて薬局や商業施設などの民間企業にも広がりを見せており、気軽に利用できるスポットになっています。
自宅以外の身近な場所に、安心して過ごせる場所があることを知っておけば、いざという時の役に立つはずです。この夏を安全に、快適に過ごすために、ぜひお住まいの地域のクーリングシェルターをチェックしてくださいね。