バナナペーパーとは?メリットやデメリット、おすすめ商品を徹底解説
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バナナペーパーを知っていますか?
名前のとおり、バナナから作られた紙のことですが、なぜバナナから紙が作られているのでしょうか。
バナナペーパーは地球の環境保護に役立っていて、バナナを生産する国でも社会的に大きな貢献をしています。そして、そこには日本が深く関わっています。
森林伐採などの環境問題や生産国の貧困問題を解決する点で注目されているバナナペーパーについて紹介します。
バナナペーパーとは?
バナナペーパーは、オーガニックバナナの茎の繊維に古紙を混ぜて作られた紙です。
バナナは樹木ではなく、茎の部分が太く長く伸びて樹木のように見える一年草。1本の茎から1度しか実が取れないため、バナナを収穫したあとの茎は切られて、捨てられています。
大量に捨てられていたバナナの茎から取り出した繊維が、バナナペーパーの原料となります。
バナナは切り残された根から1年以内に茎が再生され実がつくのに対し、紙の主な原料となっている木が再生されるのは10年から30年といわれます。バナナペーパーは森林の保護にも貢献しています。
ただし、茎の繊維だけでは高品質な紙が作れません。そこで活用されたのが日本の「越前和紙」の伝統技術です。
バナナペーパーの起原と背景
バナナペーパーの事業が始まったのは2011年のこと。スウェーデン出身の環境コンサルタント、ペオ・エクベリ氏と日本人の妻、聡子氏がザンビアを旅行で訪問したことがきっかけでした。現地で2人をガイドしてくれた人が暮らす村も訪ねたエクベリ夫妻は、現地の貧困問題や違法な森林伐採の実情を知ります。
男性は家族を養うために違法な森林伐採を行い、また動物の密猟にも手を出さざるを得ない状況に置かれています。そして、その森林伐採のため、女性は遠くまで薪を取りに行かなければならないのでした。
その実態を知ったエクベリ夫妻は、仕事を生み出し、同時に環境問題を解決できないかと考え、さまざまな支援に乗り出します。その活動の中で、バナナの繊維から紙が作れるということを知ったのです。
ワンプラネット・カフェという株式会社を運営していたエクベリ夫妻は、バナナペーパーをカフェの事業として、商品名を「ワンプラネット・ペーパーⓇ」と名づけています。
エクペリ夫妻が目指す貧困問題と環境問題の解決は、バナナペーパーによって大きな一歩を踏み出したのです。
バナナの茎が紙になるまでのプロセス
では、バナナペーパーはどのように製造されるのでしょうか?
原料となるオーガニックバナナの茎は、ザンビア国内の農家から買い取られ、工場へ運ばれます。工場では現地の人たちがバナナの茎を1mの長さにそろえ、余計な水分や皮などを取り除き、繊維を取り出します。繊維は天日干しをして乾燥させます。
乾燥されたバナナ繊維は、梱包され、日本へと運搬。福井県にある越前和紙の工場で、バナナペーパーの製造が行われます。
バナナ繊維は古紙やFSC森林認証のパルプと混ぜ合わされ紙へと仕上げられます。
FSCとは、森林破壊などの問題を解決するために1994年に設立された森林管理協議会(Forest Stewardship Council)のこと。FSCに認証された製品は、適切に管理された森林からの木材であるだけでなく、森林の生物多様性、地域社会や先住民族、労働者の権利などが守られていることを意味します。
バナナペーパーは「越前和紙」と「洋紙」の2種類があります。「越前和紙」はバナナ繊維の配合率が5%と20%の2種類で、5%は色が白に近く、20%は薄い茶色をしています。「洋紙」の配合率は5%のみです。
バナナペーパーの環境面におけるメリット
紙の原料の90%は木です。冒頭で触れたとおり、木が育つには早くても10年近くはかかります。
ワンプラネット・カフェのホームページによれば、世界で消費される紙の量は毎日100万トン以上で、毎日、日本の面積の約4分の1にあたる広さの森が焼失しています。またFSCは2.2秒ごとにサッカー場1面分の森林が失われていると警鐘を鳴らしています。
1年で成長するバナナを利用することで、森林破壊を防ぐことができるだけではなく、前述のようにこれまで捨てていたバナナの茎のゴミ問題も解消されています。
森林破壊は野生動物も絶滅の危機へと追いやっています。また森林に依存して生活する人々の暮らしも奪っています。FSCによれば、その数は約3億5000万人にのぼり、うち6000万人は先住民族といわれます。
森林破壊は気候変動にも大きな影響を与えています。IPCC(気候変動に関する政府間パネル Intergovernmental Panel on Climate Change)の調査では、2007年から2016年に人類のさまざまな活動によって排出された二酸化炭素のうち、13%は農業や林業などによる土地利用によるものとされています。この土地利用は森林破壊を意味しています。
バナナペーパーによる環境面でのメリットは、このように多岐にわたっているのです。
バナナペーパーの社会的貢献性とフェアトレードの関係性
バナナペーパーの原料はフェアトレードに則って買い取られています。ワンプラネット・カフェは2016年に日本初のフェアトレード認証の紙プロデューサーになっています。同カフェのホームページによれば、2020年では、ザンビアのバナナペーパー工場には20人のチームメンバーがいます。
メンバーの多くは、これまで継続的な仕事に就いたことがない貧困層の人々。中には家族を支えるため違法の森林伐採や密猟に関わった人もいます。
メンバーは男女ほぼ半々で年齢は20代から60代。宗教もキリスト教、イスラム教、民族宗教などさまざま。性別、年齢、宗教は異なるものの差別なく一緒に働いています。
バナナペーパーは環境問題解決と同時に、現地の人々へ仕事の場を提供しています。
バナナペーパーの製品は増えてきています。ポストカード、スケッチブック、メモ用紙、名刺、賞状、パンフレット、封筒、包装紙などから、カレンダー、うちわ、スマホスタンド、ハンガーなど、バナナペーパーグッズは多種多彩。
バナナのデザインを施したものなどもあり、オフィスでの使用からプレゼントまだ幅広い使い方ができます。ハンガーのように脱プラスチックのシーンで使える製品も少なくありません。
「洋紙」はふつうの紙とほぼ変わりはありませんが、「越前和紙」は紙面にうっすらとバナナ繊維が見え、独特の手触りが感じられるので、使い方はいろいろと工夫ができそうです。
バナナペーパーが生む経済的な恩恵
バナナペーパーの商品名を「ワンプラネット・ペーパーⓇ」としたワンプラネット・カフェは、2013年、「ワンプラネット・ペーパー協議会」を立ち上げます。2024年7月現在、日本の正会員は30社を数えます。
独特の風合いがある「越前和紙」、普通紙同様の印刷ができる「洋紙」の2種類から選べるバナナペーパーの活用方法は各社さまざま。名刺、証書、シールなど1つの分野を専門に行う会社もありますし、デザイン、印刷、包装関連など幅広く取り組む会社もあります。
しかし何よりも魅力なのは、バナナペーパーがサステナプルな紙であること。さらにバナナペーパーはSDGsの17の目標すべてを指標としていて、貧困や飢餓の撲滅、ジェンダー平等など多くの分野で成果をあげています。
SDGsへの貢献度が高いバナナペーパーを使用することは、企業の意識の高さを表しているため、企業のノベルティやオリジナルグッズの素材としても注目されています。
バナナペーパーが持つデメリット
では、バナナペーパーのデメリットはないでしょうか?
最も大きな点は価格の高さです。一概には比較できませんが、例えばポストカードでは一般的に100枚1000円前後であるのに対し、「越前和紙」の繊維20%では100枚4500円ほど、繊維5%では3400円ほどです。
また、まだ認知度が低いといえます。日本で生まれたことを知っている人も少数派でしょう。しかし、バナナペーパーがさまざまな問題に大きく貢献していることは、これまで紹介してきたとおりです。
より多くの人に知られ、使われることで、値段の高さも解消されていくものと考えられます。
バナナペーパーのおすすめ商品
次に、バナナペーパーのおすすめ商品を企業別で紹介します。
ミヤザワ株式会社
ミヤザワ株式会社は、卒業用品や教務用品、エシカルな紙製品を専門とするメーカー。バナナペーパーのグッズも数多く扱っています。
ポストカードから各種の証書用紙、しゃれたスケッチブックなどのほか、各種証書に対応した筒やギフトボックスに使えるケースなどもそろっています。
山櫻TSUTAFU
1931(昭和6)年の創業以来、名刺、はがき、封筒などオフィス向け紙製品の製造販売を行ってきた株式会社山櫻が運営する「ビジネスで使えるちゃんとした名刺がつくれる」をコンセプトにした名刺作成サービスがTSUTAFU(ツタフ)です。
多彩な名刺作成サービスの中でバナナペーパーを使用した名刺も扱っていて、一般的な日本サイズ(55×91mm)のほか、欧米サイズ(51×89mm)、スクエアサイズ(60×60mm)、miniサイズ(28×70mm)も用意されています。
山櫻rik skog
TSUTAFU同様、山櫻が運営するrik skog(リーク スクーグ)。rik skogとはスウェーデン語で豊かな森を意味します。
サステナブルな商品を扱い、その中でバナナペーパーを使用したハンガーを販売しています。
価格はプラスチック製の3倍ですが、繰り返し使える強度があり、ハンガーに文字やイラストを描くことも可能。何よりも「脱プラスチック」を実現しています。
まとめ
バナナペーパーは森林伐採などの環境問題だけでなく、アフリカの貧困問題などに対しても大きく関わっています。バナナペーパーへの取り組みはまだ始まったばかりだといえますが、その製品の数は増えていて、さまざまなグッズも登場しています。
何よりもバナナペーパーは日本生まれ。ぜひ、いろいろな製品に触れて、その魅力を確かめ、生活の中で利用していきましょう。