フェアトレードとは?どんな商品がフェアトレードなのか知ろう
近年、自分や自分に直接的に関わる人たちのみならず、他国で暮らす人々や環境にも配慮しようという動きがあります。
SDGsやエシカル消費が広がるなかで、フェアトレードもまた注目を集めています。私たち一人一人がフェアトレードを意識することで、途上国で暮らす人々の暮らしが向上するだけでなく、環境保全への効果も期待できるのです。
今回は、フェアトレードについて分かりやすく解説します。その後で、フェアトレード商品やフェアトレードに取り組む企業などを紹介していきます。
フェアトレードとは?
フェアトレードとは、先進国が発展途上国との貿易でフェア(公平)なトレード(取引)を行うことです。
また、先進国は貿易において途上国の人々の生活に配慮しようという意味も込められています。
貿易とは国同士が互いに必要なものを補い合い、豊かになることを目指すものです。
例えば、A国は広大な農地を活かして多くの野菜を生産し、B国は技術力を活かして電化製品の生産を行っているとします。A国は野菜を、B国は電化製品を相手国に輸出すれば、お互いにとって利益となります。
しかし、現実には、一方の国は豊かになるが、他方の国では豊かにならないというアンフェアな貿易も行われているのです。
公正ではない貿易は先進国と途上国の間で行われるケースが多く見受けられます。先進国は途上国に対し、自国の利益最優先の話を持ちかけ、途上国側は不条理な話であっても条件に合意せざるおえないことも少なくありません。
先進国の責任として、途上国から適正価格で購入する、途上国の人々に配慮した方法で作られた製品を購入することなどを挙げられます。そして、先進国は途上国の生産者と労働者の生活が向上するよう、サポートしようという意識を持つことが大切です。
フェアトレードの10の原則
世界フェアトレード連盟(WFTO)はフェアトレード組織が日々の生活で守るべき10の原則を掲げています。
- 生産者に仕事の機会を提供する
- 事業の透明性を保つ
- 公正な取引を実践する
- 生産者に公正な対価を支払う
- 児童労働および強制労働を排除する
- 差別をせず、男女平等と結社の自由を守る
- 安全で健康的な労働条件を守る
- 生産者のキャパシティ・ビルディングを支援する
- フェアトレードを推進する
- 環境に配慮する
引用元:世界フェアトレード機関
フェアトレードの10の原則は取引が公正であることはもちろん、生産者や途上国の人々の労働環境、さらには環境にも配慮することを目指す内容になっています。
先進国の人々の暮らしが途上国の人々の過酷な労働によって一方的に潤うことがないよう、貿易において気を付けるべきことが定められているのです。
フェアトレードの取り扱い品目
フェアトレードで取り扱う品目は、フェアトレードジャパンで確認ができます。下記は、フェアトレード取り扱い品目の一部です。
- コーヒー
- 紅茶
- カカオ
- 米
- キヌア
- サトウキビ
- スパイス・オイル
- 果物
- ナッツ
- ワイン
- オイルシード
- 化粧品
- テキスタイル
- コットン
日本人にとって馴染みのあるものの多くが、フェアトレード取り扱い品目に指定されています。
フェアトレード取り扱い品目を見てみると、フェアトレードは私たちにとって他人事ではないことがよく分かります。
フェアトレードと企業の取り組み
近年、フェアトレードに関心を向けている企業は少なくありません。しかし、商品や原材料などに最低価格が定められていることからコストが割高になりがち。同業他社間で価格競争が行われることも多い日本では普及しにくいという現状です。
また、多くの消費者がコスパを重視し、価格の安いものを購入したいと考えている昨今、フェアトレードを重視した割高な商品で利益を出せるのだろうかといった問題もあります。
そうしたなかでも、フェアトレード商品を販売し、成功している企業もあります。ここでは、フェアトレードを重視したビジネスで利益を上げている2つの企業を紹介します。
ピープルツリー
ピープルツリーは1991年に日本で生まれたフェアトレードの専門ブランドです。創業当初から、フェアトレードで仕入れたチョコレートやコーヒー、紅茶などを販売しています。
フェアトレードの10の指針を守って商品の仕入れなどを行っており、農家や工場で働く人たちと話し合いながら商品の製造しています。
その他にも、取引を行っている地域に資金や教育の機会の提供といった取り組みも特徴です。
パタゴニア
パタゴニアはアウトドア用品やスポーツウェアなどを中心に手掛けるアパレルブランドです。地球の環境問題に早い時期から取り組んでおり、リサイクル資源を活用したアイテムなども手掛けてきました。
フェアトレードの取り組みとして、フェアトレード製品1点の販売につき工場に賞与を支払うという賞与制を工場に導入しています。フェアトレード製品1点の販売につき賞与を支払うことで、労働者の生活を支えているのです。
また、衣類を縫製する全労働者が生活賃金を稼げるようにするため、解決策を探し続けることを目標として掲げています。
まとめ
私たちは商品に価格の安さを追求するばかりでなく、それを製造している人々の暮らしや労働環境にも関心を向けなければなりません。
消費者がどの企業から商品を購入するかは、今後の社会の在り方とも大きく関わる問題といえるでしょう。
自分だけの幸せを追求するのではなく、同じ地球で暮らす人や生き物たちへの配慮もよい未来を作るにあたって不可欠です。