アビリンピックとは?障がい者が仕事で身につけたスキルを競う大会
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皆さんは「アビリンピック」をご存じでしょうか?
オリンピックといえば聞き馴染みのある大会だと思いますが、アビリンピックは聞いたことがない人が多いかもしれません。
実は、ほぼ毎年行われているアビリンピック。
今回は、アビリンピックとはどんな大会なのか紹介していきます。
アビリンピックとは?
アビリンピックとは、障がい者の方が仕事をこなすうえで身につけた技術を競う「全国障害者技能競技大会」のことです。
ability(技能)とolympic(オリンピック)を組み合わせた造語で、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が実施しています。
日頃培った技術を競い高め合い、普段の業務における技術を活かすことが大会の目的です。
また、企業や一般の人々に、障がいを持って働く方への理解を深めてもらうことも目的されており、認知度を広げるために、全国各地で行われています。
また、国際障害者リハビリテーション協会との共催により、1981年には世界55ヶ国、計841名が参加しました。
アビリンピックの競技種目
競技種目は多岐にわたります。
そのうち幾つかをピックアップして紹介していきます。
DTP
DTPとは、デスクトップパブリッシング(Desk Top Publishing)の略で、パソコンでデータを作成し、広告や新聞、書籍など印刷物を作成することです。
チラシやリーフレットを作成し、完成物のクオリティや作成過程が審査されます。
主に、デザインやレイアウト構成など、技術力やオリジナリティを競い合います。
オフィスアシスタント
文書の3つ折り作業や宛名シール貼り付け、封入作業、封筒の仕分け作業の4つに分け、作業数量や仕上がり状況、正確さを競い合います。
採点基準は非常に細かく、作業精度や種類ごとに分ける、印刷不良文書を分けるなど、単純作業だけでは終わりません。
また、しわを出さないように決められた位置への糊付け、宛名だけでなく住所まで確認しながら仕分けをするなど、正確性が審査されます。
ビルクリーニング
清掃技術を競い合う種目です。
指定時間内に各機材を正しく取り扱えるか、清掃技術は問題ないか、マナーや安全に配慮した作業を行えているかを競い合います。
データベース
マイクロソフトAccessを活用し、データベースを作成する種目です。
システムの手順書に従い、UIを想定しつつ、UXの設定まで行います。また、マニュアルの作成も行うため、ただ作るだけではいけません。
どんな運用がされるのか、想定しながら作られているかどうかが審査されます。
ホームページ
事前に提供された画像や素材を使い、ホームページを作成する種目です。
与えられた課題をもとに構成を考えます。
ただ作るのではなく、色、文字や画像の大きさを意識しつつ、レイアウトを作り上げます。
トップページの作成だけでなく、他リンクページの作成もします。デザインセンスや企画力なども審査対象です。
実際に使えるようなホームページを作成できるかどうかが重要になります。
製品パッキング
荷造り、包装作業を競い合います。
お菓子の箱や化粧箱などを組み立て、商品を入れ、梱包が正確に行えているかを競い合います。
受け取るお客様の気持ちを大事にした作業ができているかを審査されます。
喫茶サービス
模擬的に設置された喫茶店にて、参加者のサービス力を競い合います。
接客業務のクオリティ、他の従業員との意思疎通ができているかを審査されます。
機械CAD
提供された課題図をもとに、3次元CADを使って作図をスピーディに行います。
規定の多い課題内容のため、事前の戦略が重要で、どの部品をどこに配置するか、線の太さや種類など、決められた入力方法で完成させていきます。
非常に難易度の高い種目ですが、やり遂げた時の達成感は大きいでしょう。
建築CAD
建築CADは、建築図面を見やすく正確に作図するシステムのことです。
課題に記載されている建物の平面図や立体図、断面図などをスケッチし、建造部材を踏まえたうえで作業手順を考えます。
そして、数値や線の太さを入力しながら、高度な操作技術で素早く仕上げていきます。
正確さは勿論ですが、実際に建築現場で作業する人が見やすいか、相手の気持ちを考えられているかどうかが審査されます。
アビリンピックに参加するメリット
仕事に関する種目で競う「アビリンピック」
アビリンピックに参加することで、スキルアップやモチベーションアップに繋がります。
そして、多くの参加者や関係者との交流により、今以上に視野が広がることもあるかもしれません。
また、参加者の所属する企業内の人にも知ってもらうことができ、障がい者にとって、より働きやすい環境を作ることができます。
まとめ
アビリンピックとはどのような大会なのか、また競技種目や採点基準などについて説明しました。
障がい者の方が仕事のモチベーションを高めることができ、スキルアップにも繋がる「アビリンピック」
すべての人が働きがいのあり、自分らしく働ける仕事を見つけるために大きな役割を果たしているといえるでしょう。