脱炭素サービスからメディア運営、コンポストまで。生活者のエシカルな一歩をサポート- グリービズ株式会社


生活者の心に眠るエシカルな思いを行動につなげたい
誰もの心に眠るエシカルな思い。たとえば登山しているときに捨てられたゴミを目にして心が痛んだり、旅行先の地域を応援するべく地場産の野菜やお土産を購入してみたり。それらを引き出して行動に繋げていくことが、同社のミッションです。
背景にあるのは代表・中野氏の学生時代の体験です。もともと食の安全や環境保全、アニマルウェルフェアに関心を持っていた中野氏は、東京大学農学部で畑を耕すなど実際の農作業も経験してきました。
そのなかで「自分はいつも産地と価格だけで食材を選んでいるけれど、肥料や育て方、命の終え方といった情報が分かれば、選ぶ基準や意思決定は変化するだろう」と感じたそうです。
この気づきは食に限らずすべての消費行動に通じます。環境への負荷が少ないものや、より良い選択につながる情報を届けることで、環境にやさしい生活の後押しをしたい。そうした思いから同社は設立され、現在は以下のサービスを軸に活動の幅を広げています。
気軽にカーボンニュートラルに取り組めるサービスecotas(エコタス)
ecotasはネットショッピングの配送時に排出されるCO₂を自動的にオフセットする、消費者向けの脱炭素支援サービスです。利用者の費用負担はなく、スマートフォンにアプリを追加する感覚で手軽に利用できます。
ecotas開発の背景には「生活者もカーボンニュートラルの取り組みに関われるようにしたい」という思いがありました。企業や自治体の多くは2030年までに温室効果ガス排出量を半減させるといった脱炭素目標を掲げて環境対策を進めていますが、生活者がそこに直接関われる機会は限られています。
そこで着目したのがネットショッピングです。国土交通省の調査によると令和5年度の宅配便取扱個数は約50億個でした。その多くがネットショッピングによるもので今後も増えていくと考えられています。ネットショッピングの広がりは暮らしを便利にする一方で、配送に伴うCO₂排出が環境への負担となっているのです。
ecotasの仕組みは、ネットショッピング時に発生する配送時のCO₂を自動で算出し、森林による吸収でオフセット(相殺)するというもの。現在は北海道紋別市の「流氷の森プロジェクト」と提携しており、このプロジェクトでは間伐などの森林整備を通じてCO₂の吸収を図っています。
自分がオフセットしたCO₂の量はマイページ上で可視化されるので、社会貢献の実感がわきやすいのも特長のひとつです。今後は支援するプロジェクトの選択肢を国内外に広げていきたいと考えています。
エシカルな暮らしを身近にするウェブマガジンEthical Leaf
同社は2025年1月から、日常生活に取り入れやすいエシカルなライフスタイル情報を届けるウェブマガジン「Ethical Leaf(エシカルリーフ)」の運営を開始しました。
このメディアはもともと京都を拠点とする企業によって立ち上げられたもの。しかし、同社が実施したユーザーインタビューの中で「ecotasのように気軽に取り組めるサービスはありがたいが、環境に配慮した行動についてもっと知りたい」といった声が寄せられたことを契機に、運営を引き継ぐ形でスタートしました。
「Ethical Leaf」では、環境に配慮したシャンプーやコスメ、洗濯洗剤といった日用品を中心に、日常にすぐ取り入れられるエシカルな選択肢を紹介しています。こうした情報を発信することで、生活者がより持続可能な行動を選択するためのサポートを目指しています。
今後はこの方向性を継続しつつ、サイトのデザイン刷新や、エシカルな活動に取り組む人物へのインタビュー企画など、コンテンツの幅を広げていく方針です。多様なテーマを取り上げることで、より多くの読者にとって身近で役立つメディアとして成長させていくことを目指しています。
都市生活者のための回収型コンポストecotas compost
新たな取り組みとして「ecotas compost(エコタスコンポスト)」が2025年6月末に開始されました。家庭から出る生ごみを堆肥化できるだけでなく、不要な堆肥を同社が回収して再資源として活用する「回収型コンポスト」です。
ごみ問題は多くの生活者が関心を寄せている社会課題のひとつです。家庭からは毎日のように生ごみが出ており、匂いやコバエの発生など、日常の中でストレスを感じている人も少なくありません。
一方、これまでコンポストは主に地方や戸建て住宅の庭などで利用されるのが一般的でした。都市部でも徐々に広がっているものの課題が多くあり、そのひとつが堆肥の使い道です。家庭菜園などでは使いきれず余ってしまい処分に困るケースが多く見られます。
この課題を解決するのが同サービスです。家庭で使い切れなかった堆肥を回収し提携農家で再資源化する仕組みで、これにより利用者は単に家庭ごみを減らせるだけでなく農業や環境保全にも貢献できます。
まずは関東圏を中心にこのサイクルを構築。将来的にはその堆肥で育った野菜を利用者に提供し、さらにその野菜の皮などを再びコンポストで堆肥にして畑に戻すといった社会の循環づくりが目指されています。
「一人の百歩より百人の一歩」を実現するために
同社は企業に対してESGに関連する経営コンサルティングも行っていますが、注力したいのは生活者の行動を変えていくサービスを提供することです。
エシカル業界でよく引用される「一人の百歩よりも百人の一歩」という言葉があります。特別な一人の活動よりも、多くの人々が少しずつ頑張るほうが持続可能な社会への近道ではないか。同社もこの言葉に立ち返って話し合いを進めることがあるといいます。
グリービズは既存サービス成長と同時に、多くの人の小さなアクションにつながる取り組みやすいサービスを幅広く展開していくことを目指しています。