MSC認証とは|海のエコラベルについて徹底解説

MSC認証とは|海のエコラベルについて徹底解説
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私たちの食卓を彩る海の恵み。それを未来につなぐことは、避けられない課題です。過剰な漁獲は海洋資源の枯渇を招き、持続可能な漁業の重要性が再確認される今日、「海のエコラベル」と呼ばれるMSC認証が注目を集めています。

MSC認証とは一体何なのでしょうか?この記事では、MSC認証の基本から認証がもたらす10のメリットや、さらに認証を受けた商品を扱う企業まで紹介します。私たちの選択が未来の海を守る一歩になることを、改めて認識していきましょう。

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MSC認証とは?

MSC認証とは?

引用元:MSC

MSC認証とは、持続可能な漁業によって捕獲された海産物であることを示す国際的な認証制度のことです。この認証は、海洋管理協議会(Marine Stewardship Council)によって設けられ、海の生態系を保護しつつ、資源管理が適切に行われた漁業からの製品に対して与えられます。

MSC認証を受けた水産物には「海のエコラベル」と呼ばれるエコマークが付与されます。

ASC認証との違い

ASC認証との違い

引用元:ASC

ASC認証は「Aquaculture Stewardship Council(水産養殖管理協議会)」の略で、養殖魚の持続可能性にフォーカスした認証制度です。ASC認証は、養殖環境の改善、水質管理、地域社会への影響など、養殖業が環境や社会に与える影響を総合的に評価します。

つまり、MSC認証は「野生の魚」、ASC認証は「養殖の魚」に関する持続可能性をそれぞれ保証するものです。MSC認証は青色のロゴ、ASC認証は緑色のロゴが目印です。

MSC認証の10のメリット

MSC認証の10のメリット

私たち消費者がMSC認証のラベルがついた商品を選ぶことは、海の生態系を守る活動へ貢献することにつながります。海洋管理協議会が提示する、そのメリット10つを詳しくご紹介します。

海を守ることができる

MSC認証漁業への従事者が増えることで、海に生息する多種多様な生物を守るだけでなく、世界人口の10%を占める水産業従事者の生計をも守れるようになります。

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海洋生態系が計り知れない重圧から救い出すことが可能

MSC「海のエコラベル」がついた水産物を選ぶことで、持続可能でない漁業により脅かされている水産資源、海洋生物の生息域、沿岸のコミュニティや経済を重圧から救い出すことにつながります。

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MSCは解決策を提示している

MSC認証を取得することにより、水産資源と環境に配慮した持続可能な漁業であることが裏付けされるため、新規市場の開拓などにもつながります。私たちは、適切な管理により海のエコラベルがついた水産物を選ぶことで、第三者の審査機関によって認証された持続可能な漁業を応援できるのです。

サステナビリティが科学に基づいている

MSC認証には、科学者や海洋専門家による第三者機関の審査を通過することが必須です。また、年次審査も実施されており、漁業がMSCに適合しているかどうかを継続的に検証しています。

生態系全体を守ることに貢献できる

魚の過剰な捕獲により、ウミガメ、海鳥などの生物にも影響が出ています。MSC認証の漁業は、未来に向けて海洋環境全体への影響を最小限に抑えるものです。

安心して購入できる

MSC認証水産物を扱うには、認証水産物と非認証水産物が混ざらないように徹底管理する必要が求められます。そのため、消費者はMSC「海のエコラベル」がついた製品を安心して選べるのです。

製品の種類が豊富

MSC認証は近年世界中で注目されており、2022年にはMSC「海のエコラベル」がついた製品は世界66カ国で20,000品目、日本でも700品目以上が販売されているという実績があります。そのため、普段の食生活には困らない程度の水産物が購入できるといえるでしょう。

予算に応じて選べる

MSC「海のエコラベル」がついた商品は、日常で消費するものとしてスーパーで買えるものから、贈答用のものまで幅広い価格帯のものが販売されています。予算に合わせて商品を選べるため、様々なシーンで活躍します。

消費者が変化を起こすことができる

私たち消費者がMSC「海のエコラベル」のついた商品を好んで買うようになれば、その需要も増大します。その結果として、漁業従事者や店舗、飲食店などがMSC認証の商品を扱うようになるでしょう。

水産資源の保護に貢献できる

MSC「海のエコラベル」がついた水産物は、枯渇する心配のない豊かな水産資源であることが保証されています。そのため、消費者は安心してサスティナブルな水産物を楽しむことができるのです。

MSC認証取得商品を販売している会社3選

MSC認証取得商品を販売している会社3選

日本国内でも環境に配慮した商品選びが消費者にとって重要な要素となっています。大手スーパーであるイオン、ヨーカ堂、そしてコープでは早い段階から消費者の意識の変化に応えるべく、MSC「海のエコラベル」がついた商品を取り扱っておりその種類も豊富です。

イオントップバリュ株式会社

大手スーパーであるイオンは、環境保全への取り組みに積極的な姿勢を示しています。MSC認証だけでなくASC認証ラベルのついた商品も取り扱っており、ホームページからはMSC認証では約40品の商品が確認できます。

株式会社イトーヨーカ堂

公式ホームページでも“地球にやさしい「いいもの。」を”というキャッチコピーで、MSC「海のエコラベル」の製品を前面に押し出し、消費者の環境に関する関心を喚起しています。ホームページでは、生産者や産地も紹介されているため、消費者も安心して購入が可能です。

日本生活協同組合連合会(コープ)

コープではエシカル消費を推奨しており、その一つとしてMSC「海のエコラベル」製品のついた商品の販売を積極的に行なっています。ホームページでは「CO・OPフィッシュソーセージ」原料・アラスカ産スケソウダラの場合について、写真付きで詳しく解説されています。

まとめ

まとめ

大手スーパーのMSC認証商品についての取り組みは、他の小売業者や食品メーカーにも波及しており、日本国内での動きが活発化しています。私たちが何を選ぶかで未来の海を守ることにつなげられるという意識を改めて認識することが大切です。

ぜひスーパーやレストランに行った際には青色のMSC「海のエコラベル」に注目して商品を選んでみてくださいね。

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