フェアトレードとは?紅茶やコーヒーを例に、仕組みや取り組みを徹底解説


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近年、スーパーやコンビニなどでも見かけるようになったフェアトレード製品。
フェアトレードという言葉を聞いたことがある人や、フェアトレードマークを見たことがある人も多いのではないでしょうか。
しかし、フェアトレードを正確に知っている人は少ないかもしれません。フェアトレードは、
英語でFair Trade。直訳すると公正な貿易となります。
フェアトレードは、1946年、アメリカのThe Thousand vllageというNGOによってプエルトリコの女性たちが作った手芸品を本国で販売したのが、最初の取り組みと言われています。
近年話題になっているフェアトレードとは一体何なのか。この記事では、概念と仕組みやフェアトレードのメリット・デメリット、また取り組みの例を解説します。
フェアトレードとは?
まずは、フェアトレードの概念や仕組みについて解説します。
フェアトレードの意味
「フェアトレード」とは、開発途上国で生産された原材料または製品を適正な価格で売買し、生産者の生活改善と自立を目指す貿易の仕組みのことです。
残念ながら、今の社会では開発途上国で生産された製品が、世界中で安く売買されていることがあります。
輸入国が安く製品を購入できている理由には、生産者に対して正当な報酬が支払われなかったり、生産性を上げようと必要以上に農薬を使った影響で生産者に健康被害が及んだり、生産者側の犠牲が関係してきました。
このような犠牲を取り払い、持続可能な取引を行っていくために公正な取引を「フェアトレード」と言います。
フェアトレードの基準
国際フェアトレードラベル機構が、国際フェアトレード基準を作成しています。この基準は様々ですが、どの基準も「経済」「社会」「環境」の三原則が共通しています。
引用元:FAIRTRADE JAPAN 国際フェアトレード基準
また、国際フェアトレード基準の大きな特徴に「フェアトレード最低価格」と「フェアトレードプレミアム(奨励金)」があります。
「フェアトレード最低価格」は生産コストを賄いながら、生産者の経済的・社会的・環境的に持続可能な生産と生活を支えるための保障です。
「フェアトレードプレミアム(奨励金)」は生産地域の発展(学校設立やインフラ整備)や社会発展のための資金です。
このように基準の価格があるおかけで価格変動に左右されず、生産者が安定した暮らしを送れるようになるのです。
国際フェアトレード認証ラベル
実はフェアトレードは昔から存在しています。フェアトレード運動は、1960年代に欧米で盛んに行われるようになりました。
当時はまだ、フェアトレード商品は教会や自然食販売店などで販売されているだけでした。
フェアトレード運動を広めていくには、多くの消費者に購入してもらうことが必須です。
そこで、一般マーケットにフェアトレードを広めるため、フェアトレードのラベルが開発されました。
1988年にオランダで開発された国際フェアトレードラベルはドイツをはじめとした欧米に広まり、年が進むにつれて多くの国がメンバーに加わるようになりました。
フェアトレードラベルは扱う物によって種類が変わっていき、今日もフェアトレード運動を広めていっています。
フェアトレード製品例
現在、さまざまなフェアトレード製品が販売されています。フェアトレードで扱われている製品は下記が挙げられます。
引用元:FAIRTRADE JAPAN フェアトレードミニ講座
例①チョコレート
フェアトレード製品として、一般的によく知られているのがチョコレートです。
チョコレートの原材料である「カカオ豆」ですが、カカオ豆農園での児童労働が問題となっています。
例②スポーツボール
サッカーボールやバレーボールなど、様々な球技のボールもフェアトレード製品があります。
世界のサッカーボールの70%以上がパキスタンで生産されていますが、パキスタンでも児童労働が問題となっています。
上記のように、各製品の生産背景を見ると、先ほどご説明した「国際フェアトレード基準」が必要であることが分かるはずです。
国際フェアトレード基準では、児童労働を禁止し、安全な労働環境を保証しています。
この2つ以外にも、様々なカテゴリーでフェアトレード製品があります。
みなさんもご存じのセブンイレブンやイオンでも、フェアトレードカカオを原材料としたチョコレートが販売されているのでチェックしてみてください。
製品の詳細については、下記サイトより閲覧可能です。
例③:紅茶
フェアトレードの紅茶は、生産者に適正な賃金を保証し、公正な取引のもとで生産されています。世界の紅茶の多くは発展途上国で栽培されていますが、その背景には低賃金や劣悪な労働環境の問題があります。
豊かな香りやまろやかな味わいがあり、茶葉の産地ごとの個性も引き立ちます。適正な価格で取引されることで、労働環境の改善だけでなく、地域の教育や医療の向上にもつながります
フェアトレードが必要な理由
フェアトレードが必要な理由は、コーヒーやカカオ、コットン製品やお茶など私たちの生活に身近な製品の生産国のほとんどが、発展途上国で作られているからです。
発展途上国が抱える深刻な問題の1つに、児童労働があります。
フェアトレードジャパンによると、児童労働の数は約1億5,200万人と世界の子どもの10人に1人もの子供達が今も労働しています。
国際フェアトレード基準では、児童労働を禁止し、安全な労働環境を保証しています。
また、フェアトレードは環境面でも厳しく基準が定められています。
発展途上国の多くでは、危険な農薬を使ってたくさんの製品を生み出そうとしている場所もあり、人や土地が傷ついています。
そのような環境を防ぐため、森を破壊したり、危険な農薬を使うことなく、生産することを定めています。
フェアトレードがあることで、労働者だけでなく、地球環境も守ることができるのです。
関連記事:https://earth-ism.jp/article/about-fairtrade-child-labour
フェアトレードのメリット
フェアトレードが進んでいくことのメリットはいくつかありますが、その中でも重要なメリットを紹介します。
貧困から脱出できる
フェアトレードでは、途上国の人々がやすい賃金で雇われることを防止し、適切な価格で取引することが定められているため、いくら働いてもわずかな収入しか得られず、貧困状態から抜け出せないといったことを防ぐことができます。
生産者の収入が安定し、途上国の人々が自立することで、児童労働を減らすことができます。
これにより、何世代も貧困状態から抜け出せないといった負のループを断ち切ることができるようになります。
環境の保護
カカオやコーヒーを大量に生産するためには、大きな土地が必要です。
大きな土地を作るためには、豊かな森林を伐採する必要があります。
こうした、目先の利益のために、計画性なく豊かな森林が切り開かれて、森林面積が減ってしまうと、自然災害による被害や生態系に大きな影響を及ぼしてしまいます。
フェアトレードでは、こうした、環境への基準も設けられているため、少しずつ自然環境が保護されてきています。
フェアトレードの問題点
ここまで、フェアトレードについて紹介してきましたが、様々な社会問題を解決する万能な制度に見えますよね。
実はフェアトレードにも、いくつか問題があるのが現状です。
これにより、フェアトレードの浸透に時間がかかってしまっている地域や国も多くあります。
製品の価格が高くなる
製品によっては、生産者が一つ一つ丁寧に手作業等で作られているものもあるため、大量生産が難しいものは、私たちの手に届くまでに、価格が高くなってしまいます。
そのため、適正な価格で販売しても、購入する人が少なく、結果的に労働者にお金が届かないケースもあります。
品質を保つのが難しい
フェアトレードの製品は、基本的に手作りとなっています。
そのため、品質に差が出てしまうことが多くあります。
特に、日本で販売されるものに関しては、基準がとても厳しく、販売できないと判断されてしまうことがあり、フェアトレード商品の品質の安定は課題となっています。
まとめ
フェアトレードについて興味を持っていただけたでしょうか。
普段買い物をする際、その製品がどのように作られているのか生産背景まで気にしたことがなかったという方も多いはずです。
全ての人が安心安全、健康、そして豊かに生きるためにフェアトレードがあります。
お買い物の際、フェアトレードのラベルを見かけることがあれば、ぜひ手に取ってみてください。
巡り巡って、世界の子供達や、地球環境を守る取り組みにつながっていきます。