フェアトレードタウンとは?概要や日本の取り組みについて紹介
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開発途上国と先進国の対等なパートナーシップによる貿易を目指すフェアトレードは、世界各地で広がりを見せています。
フェアトレードタウンとは、フェアトレードを街ぐるみで応援する運動のことです。
2010年代から日本国内においても認定される都市が続々と誕生していることを知っていますか?
今回は、フェアトレードタウンとはどのような活動や取り組みをしているのか、実際の事例を交えて解説します。
フェアトレードタウンとは
フェアトレードタウンとは、フェアトレードを地域ぐるみで広めていくことを目的にした市区町村のことを言います。
行政、企業、地元商店、地域住民など街に関わるすべてのステークホルダーが一体となり行われることからフェアトレードタウン運動とも呼ばれています。
フェアトレードタウンの歴史
世界で初めてフェアトレードタウン運動が行われた都市はイギリス・ガースタングでした。
90年代よりフェアトレードを広める活動していた獣医の男性が、2000年に街の有識者を集めて開催したフェアトレード食事会で町長の目に留まり、同年4月に「フェアトレードタウン宣言」が出される運びとなったのです。
現在ではフェアトレードタウンがある国は世界30カ国以上に、フェアトレードタウンは2,000以上にのぼるまでに広がりを見せています。
フェアトレードタウンの条件や基準
では、フェアトレードタウンとなるにはどのような決まりがあるのでしょうか。
日本フェアトレード・フォーラムが「フェアトレードタウン基準」の6項目を定めています。
- 基準1:推進組織の設立と支持層の拡大
- 基準2:運動の展開と市民の啓発
- 基準3:地域社会への浸透
- 基準4:地域活性化への貢献
- 基準5:地域の店等によるフェアトレード産品の幅広い提供
- 基準6:自治体によるフェアトレードの支持と普及
フェアトレードタウン認定を希望する市区町村は、上記基準を満たした申請書を事務局へ提出し、認定基準を満たしていると判断されれば認定料を納める手続きを踏んで「フェアトレードタウン」を名乗ることができます。
認定後は、3年毎に更新の手続きが発生するシステムとなっています。
参考サイト:日本フェアトレードフォーラム
日本のフェアトレードタウン一覧
日本初のフェアトレードタウンは、2011年認定された熊本県熊本市でした。
2022年現在6都市がフェアトレードタウンに認定されており、20以上の都市が認定を目指して活動をしています。
熊本市(熊本県)2011年6月認定
熊本市はアジア発のフェアトレードタウンです。
認定から3年後の2014年には、欧州以外では初となるフェアトレードタウン国際会議の開催地となった実績もあります。
主な取り組み内容は、毎年5月の世界フェアトレード月間には、ステージイベント、ワークショップ、フェアトレードマルシェなどのイベント開催を挙げることができます。
市内の学生向けの啓発活動や熊本市外の学生・その他視察を行うなどフェアトレード教育にも力を入れています。
名古屋市(愛知県)2015年9月認定
名古屋市は日本で2番目のフェアトレードタウン認定を受けた都市です。
「みんなでやろみゃあ!フェアトレード!」を合言葉に街ぐるみでフェアトレード普及に向けて活動をしています。
フェアトレードタウンなごや観光魅力マップ
名古屋市内のフェアトレード商品の取り扱い店舗を記載したマップです。
主要な観光名所も合わせて掲載されているので、観光とフェアトレードスポット巡りを合わせて楽しむことができます。
世界のフェアトレードコーヒーを発信
2022年11月に開催されたフェアトレードマルシェにて、実行委員会は世界中からセレクトしたフェアトレードコーヒーとオリジナルマグカップのセット販売を行いました。
逗子市(神奈川県)2016年7月認定
逗子市は日本で3番目、関東初となるフェアトレードタウンです。
逗子フェアトレードタウンの会が中心となり「モノからものがたりへ」を掲げて活動しています。
フェアトレードセミナー、映画祭、ファッションショーなどのイベント開催を行う他、市内の飲食店では5月のフェアトレード月間に合わせ、フェアトレード食材×地産地消食材使用のランチメニューの提供もされています。
その他には「逗子珈琲」や「ずしチョコ」の2種類が逗子オリジナルのフェアトレード商品として展開されています。
浜松市(静岡県)2017年9月認定
浜松市は日本で4番目にフェアトレードタウンに認定されました。
同市は、フェアトレードタウンであるとともに国内唯一のフェアトレード大学がある街でもあります。
フェアトレード大学とは、積極的にフェアトレード推進に取り組む大学を認定する制度のことで欧米を中心に約170の大学が認定されています。
2018年2月、静岡文化芸術大学はアジア発のフェアトレード大学として認定されました。
同大学ではフェアトレード学生団体「りとるあーす」が2011年より大学事務局と共同で活動しており、学内でフェアトレード商品の販売を行っています。
また大学独自の取り組みとしてフェアトレードペーパー(バナナ素材)を使用した卒業証書フォルダやフェアトレードコットンを使用した大学ノベルティグッズの導入なども実施されています。
札幌市(北海道)2019年6月認定
日本で5番目にフェアトレードタウンに認定された札幌市。
オンライン配信とリアル会場のハイブリット型で毎年行われるフェアトレードフェスタ開催を開催する他、社会福祉法人と地元の高校とが提携して行うフェアトレード布を使用したみつろうエコラップの販売活動を展開しています。
札幌学院大学フェアトレードサークルでは、クラウドファンディングでフェアトレード産品×北海道産食材のスイーツ「ゆめ結晶」の開発・販売プロジェクトが実施され、目標金額を15%超えた692,000円を達成しました。
いなべ市(三重県)2019年9月認定
国内では一番歴が短いフェアトレードタウンでありながら、市民団体「フェアトレードタウンいなべ」が中心となりイベント開催などを通じて活動を広げているいなべ市。
2022年11月には市内のフェアトレード商品を取り扱う店でスタンプラリーイベントを開催しました。
提携店で税込み900円以上の買い物や飲食につきスタンプが1個もらえ、5個たまるとオリジナルデザインのオーガニックコットントートバックもしくはフェアトレード商品のいずれかの景品と交換することができる内容となっています。
まとめ
今回は日本のフェアトレードタウンについて紹介しました。
世界でフェアトレードタウン認定を受けている都市は2000以上に上り、特に欧米では認知度が高いですが、2019年に国内で行われたフェアトレードに関する調査では、フェアトレードタウンの認知度は13.4%とまだまだ知る人ぞ知る状況です。
また、地域としてフェアトレードに取り組む意義は「地域を盛り上げる」ことです。
チャリティーとしてではなく市民運動としてフェアトレードタウンの更なる活性化に期待したいと思います。