関連記事
Contents
旅の拠点となるホテル。限られた旅の時間だからこそ、その土地らしさを楽しめる場所を選びたいもの。地元食材を味わい、地域文化に触れながらサステナブルに滞在する。このような視点も、ホテル選びの基準のひとつになっていくのかもしれません。
九州の玄関口として多くの人が行き交う博多駅周辺には、地域文化や環境配慮を大切にしたホテルが点在しています。ここでは地域文化や環境配慮を大切にするホテル5選を紹介します。

福岡市は大規模な再開発によって街の景色が大きく変わりつつあります。公共空間や大型複合施設にも緑地が取り入れられ、都市と自然が共存する街づくりが進んでいます。
2023年には地下鉄七隈線が延伸し、福岡を代表する繁華街・天神と博多駅エリアのアクセスがさらに便利になりました。また地下鉄博多駅の空調に下水熱を活用するほか、駅近隣の明治公園は緑をふんだんに取り入れた再整備が進み、新たな憩いの空間としてリニューアルオープンする予定です。
利便性やにぎわいを高めながらも、緑化や脱炭素への取り組みを積極的に進める福岡市。このように街が変化するなか、宿泊施設でも省エネ設備の導入や使い捨てアメニティの削減など、環境に配慮したさまざまな取り組みが広がっています。

一方、福岡は食の豊かさでも知られ、もつ鍋や水炊き、豚骨ラーメンなどのご当地グルメを目当てに訪れる人も少なくありません。さらに九州は農業が盛んな地域で、新鮮な野菜や果物、お茶など多彩な食材に恵まれています。
また福岡市は農産地や漁港へのアクセスにも恵まれており、新鮮な地元食材を取り入れやすいのも魅力です。市内のホテルでは地域の食材を活かした料理の提供に加え、地域の伝統工芸をインテリアやファブリックに取り入れるなど、地域の資源を大切にする取り組みも見られます。
「泊まる」という行為が、地域経済を支え、環境への負荷を減らすことにつながる。このような視点をホテル選びに取り入れることで、宿泊の楽しみ方が広がっていきそうです。

2026年4月現在、福岡市の宿泊施設は1,200件以上にのぼります。その多くが博多駅周辺に集まり、九州の玄関口としての高い利便性を支えています。なかでも環境配慮や地域資源の活用に取り組むホテルを5つピックアップしました。
博多駅より地下道で直結、徒歩約1分という抜群のアクセスを誇る「都ホテル 博多」。全室30㎡以上のゆとりある客室、天然温泉を楽しめる屋上スパなど、都市の中心地にありながら開放感のある滞在を満喫できます。
都ホテルではシャンプーやコンディショナー、ボディローションなどの客室アメニティをボトルタイプからパウチタイプに変更することで、プラスチック使用量を低減。さらに館内にウォーターサーバーを設置し、ペットボトルごみの削減にも取り組んでいます。
最上階にあるレストラン「Le Ciel Bleu(ル シエル ブルー)」では、九州各地の魚介や旬野菜を使ったフレンチベースの料理を提供。朝食ブッフェでももつ鍋や豚骨ラーメンなどの郷土色豊かなメニューを味わえます。
博多駅から徒歩約5分の便利な立地にある「ANAクラウンプラザホテル福岡」。館内のレストランでは福岡や九州の食材を取り入れたメニューを展開しています。
例えば1階の「クラウンカフェ」では福岡のブランド卵・輝黄卵のオムレツや、地元野菜を取り入れたサラダブッフェなどを提供。また「日本料理 筑紫野」では、地域の野菜や新鮮な魚介を使用した和食を、地酒とともに楽しめます。
このような食体験の裏側ではサステナブルな取り組みが行われています。同ホテルの大きな特徴のひとつが、食品廃棄物を自動追跡するシステムを導入していることです。これによりスタッフの負担を軽減しながら、廃棄物の削減を実現しています。
このほかにもオーガニック認証を持つスキンケアブランドを採用するなど、環境に配慮したアイテム選びにもこだわっています。
「ホテル日航福岡」は地下道で博多駅に直結しており、雨の日でも快適にアクセスできるのが魅力です。高級感ときめ細やかなサービスで、非日常のひとときを楽しめます。
同ホテルでは豊かな自然と農産物に恵まれた糸島で自社農園を運営しており、レストランスタッフも野菜づくりに携わっているそうです。2017年にスタートしたこの取り組みの背景には「地元食材をもっと知りたい」「安心・安全な野菜を届けたい」という料理人たちの思いがありました。
現在農園では地元生産者の協力を得ながら、年間約50〜60品目の野菜や柑橘類を栽培しています。ここで収穫された野菜は、カフェレストラン「セリーナ」などの館内レストランで提供。この活動を通じて食品ロス削減に対するスタッフの意識向上にもつながっています。
さらに、レストランから出る生ごみを堆肥化し、農園で再利用する取り組みも行われています。資源循環の仕組みを構築し、食を通じて地域や環境に寄り添うホテルです。
レジ袋の有料化が始まる前の2018年、「ホテルオークラ福岡」は紙ストローの導入をスタートさせました。その後もサステナブルなホテル運営を推進し、地産地消やフードロス削減、資源循環などに取り組んでいます。
2022年にはヘアブラシや歯ブラシといったアメニティを、再生可能資源や再生プラスチックを使用した製品に切り替えています。これによりプラスチック重量を18%削減しました。
また九州近郊の旬の食材を取り入れており、朝食ブッフェでは福岡らしい地域の食文化を体験できます。適量生産により食品ロス削減にも取り組むほか、食品残渣の堆肥化も実施。生ごみの約半分をリサイクルしています。
同ホテルは館内にビール醸造所を併設する日本でも珍しいホテル。新鮮なクラフトビールを楽しめるのも特徴です。
博多駅からひと駅の場所に位置する「HOTEL GREAT MORNING」は、良質な睡眠を通して、快適な朝と心地よい滞在を提案するホテルです。館内に足を踏み入れると、心地よい静けさと木のぬくもりに包まれた空間が広がっています。
電気はすべて自然エネルギー由来。自社開発の「風の出ない冷暖房システム」を採用することで乾燥を防ぎながら省エネにも貢献しています。また、アメニティやタオルにオーガニック素材を、スタッフの制服に伝統織物「久留米絣」を取り入れるなど、設備だけでなく備品にも環境や地域への配慮が感じられます。
さらに、ホテルで捨てられるはずだった食材を回収・堆肥化し、屋上菜園の資源として循環させる取り組みも行っています。菜園で収穫したハーブや野菜はウェルカムドリンクや朝食として提供され、宿泊を通じて食の循環を体感できるのも魅力です。

旅行の基盤となる宿泊施設。立地や価格、食事など、宿を選ぶ基準は人それぞれです。近年はそこに「環境配慮」や「地域とのつながり」を重視する視点も加わりつつあります。
地元食材を味わい、地域文化に触れながら、サステナブルに滞在する。そんなホテル選びがこれからの新しいスタンダードになっていくのかもしれません。
福岡在住。雑誌編集、ECサイト運営を経て現在はライターとして活動。地球温暖化やゴミ問題に関するトピックに興味あり。得意分野は旅行、本、サステナブル。プラスチックやゴミを減らす生活をゆるく実験・実践中。
