環境に優しい経済へ。サーキュラーエコノミーとは?概念や事例を紹介
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SDGsなどをきっかけに、世界中で持続可能な社会に向けてさまざまな取り組みが行なわれています。
私たち個人だけでなく、企業での取り組みも必要とされているなか「サーキュラーエコノミー」という考え方が注目されているのをご存じでしょうか。
今回はサーキュラーエコノミーについて紹介します。
サーキュラーエコノミーとは
サーキュラーエコノミーは「Circular(循環する)」「 Economy(経済)」で、日本語では「循環型経済」や「循環経済」と訳されています。これまでゴミとして廃棄されていた製品・原材料を資源として活用し、循環させる経済活動のことをいいます。
サーキュラーエコノミーはEUで生まれた考え方で、2015年にEUが政策パッケージを発表したことから世界中で広く認知されるようになりました。皆さんがご存じのように環境問題は世界的な課題ですが、環境に配慮した経済活動として今後期待されているのがサーキュラーエコノミーです。
日本でも2020年に環境省から「循環経済ビジョン2020」という、循環型の経済活動への方向性が策定されるなど、サーキュラーエコノミーへの移行が推進されています。
サーキュラーエコノミーとリニアエコノミー
これまでの製品づくりは、大量生産・大量廃棄を前提としたものが多く、使用済みの製品や生産時に出たゴミなどはそのまま廃棄されてきました。このように、生産→消費→廃棄と直線的にモノが流れる経済活動は「リニアエコノミー」と呼ばれています。
従来の経済活動(リニアエコノミー)を継続するには、地球1.75個分の資源が必要と言われています。また、大量廃棄によって温室効果ガスや海洋ゴミが発生するなど、環境への負荷がかかっています。
そのため、廃棄することなくモノが循環していく経済活動であるサーキュラーエコノミーへのシフトが期待されているのです。
サーキュラーエコノミーの3つの原則
国際的にサーキュラーエコノミーを推進しているエレン・マッカーサー財団は、サーキュラーエコノミーの原則として以下の3つを掲げています。
- 廃棄物や汚染物質をなくす
- 製品と原材料を高い品質のまま使い続ける
- 自然のシステムを再生する
3原則のうち、1つ以上に当てはまり、他の2つに反していないこととしています。
製品の使用後はもちろん、生産プロセスや使用時にも廃棄物や汚染物質が出ないこと、長持ちするように設計すること、使い終えた後も資源として循環させていくことがポイントになるようです。
サーキュラーエコノミーに期待されている効果
持続可能な社会の実現が喫緊の課題だと広く認識されるようになったことで、注目されるようになったサーキュラーエコノミーには以下のような効果が期待されています。
環境負荷を抑える効果
サーキュラーエコノミーに取り組むことで、温室効果ガスの排出量を39%(228億トン)削減できるという試算があります。また、生産時の資源やエネルギーの無駄をなくし、修理や再利用によって廃棄物を減らすことで環境への負荷を抑えることができるでしょう。
経済効果
2030年にはサーキュラーエコノミーの市場規模が、全世界で4.5兆ドルになるという試算が発表されています(2015年アクセンチュア調査)。
また、エレン・マッカーサー財団はIoT(Internet of Things)と結びつくことで、資源の利用効率や再利用率を高めることが可能だと報告しており、新しいテクノロジーとの相乗効果でによって大量生産・大量消費ではない新しいビジネスも期待されています。
サーキュラーエコノミーへの取り組み例
ユニクロ(株式会社ファーストリテイリング)
ユニクロやGUを展開するファーストリテイリング社は「服から服へ」の循環を目指しています。
その第一歩として、使用済みのダウン商品を回収し新たな服へと生まれ変わらせていて、今後は他の製品でも取り組んでいくようです。
NIKE
サステイナブルなスニーカーづくりに取り組んでいるNIKE。なかでも「スペース ヒッピー」シリーズは使用している素材の90%が廃棄物を再利用したものです。
店頭で回収されたTシャツや工場で廃棄されるはずだった糸くずなどを、新しいスニーカーとして生まれ変わらせています。
MUD jeans
オランダで発祥したファッションブランド「MUD jeans」は、世界初のデニムのサブスクリプションをスタートさせました。
初回登録料と月々の利用料を払うことでジーンズを借りられ、1年後のレンタル終了後には、新しいものとの交換か買取を選択できます。返却されたジーンズの繊維は新たな製品の素材として使用されています。
Syncs.Earth
「Syncs.Earth」は「100%土に還る」服を提供する日本で生まれた循環型のファッションブランドです。
100%天然素材にこだわり、土に還りやすい和紙を使用したTシャツなどを購入またはレンタルすることができます。レンタル後に返却された製品は藍染でリペアされてアップサイクルして販売するなど、生産から廃棄まで資源の循環が丁寧に設計されています。
まとめ
今回はサーキュラーエコノミーについて紹介しました。
ゴミを減らすためにはリサイクルやリユースは今後も必要ですが、そもそも生産時点で環境に配慮していかなければなりません。今回ご紹介した事例のような循環型の製品やサービスが増えていくことを期待したいですね。
サーキュラーエコノミーの動向について、今後も注目していきましょう。