アニマルフリーダウンは本当に暖かい?動物犠牲のない次世代アウターの魅力とおすすめブランド5選

アニマルフリーダウンは本当に暖かい?動物犠牲のない次世代アウターの魅力とおすすめブランド5選
FASHION

冬の主役であるダウンジャケット。その圧倒的な暖かさの裏で、動物たちの犠牲が伴うことを知り、購入をためらった経験はありませんか?

「暖かさは欲しい。でも、動物を犠牲にした服は着たくない…」

そのようなエシカル消費への関心の高まりとともに、今「アニマルフリーダウン」が次世代のアウターとして急速に注目を集めています。しかし、同時に「そもそもアニマルフリーダウンって何?」「動物の羽毛を使わずに、本当にあの暖かさを再現できるの?」 「本当に動物を犠牲にしないの?」といった疑問も浮かぶでしょう。

この記事では、アニマルフリーダウンの最新事情を徹底解説。従来のダウンが抱える問題点から、最新素材の機能性、そして賢い選び方とおすすめブランドまで解説します。

この記事を読めば、アニマルフリーダウンが「我慢の選択」ではなく、機能性もデザインも妥協しない「積極的な選択」であることがわかるはずです。

アニマルフリーとは?

うさぎ

アニマルフリーダウンとは、その名の通り、グース(ガチョウ)やダック(アヒル)の羽毛(ダウンやフェザー)といった動物由来の素材を一切使用せず、高機能な化学繊維や植物由来の素材で、ダウンジャケット特有の「暖かさ」と「軽さ」を再現したアウターのことです。

「ヴィーガンダウン」や「ネクストダウン」と呼ばれることもあります。

従来のダウンが抱える倫理的な問題点

なぜ今、動物の羽毛を使わない選択が求められているのでしょうか。それは、従来のダウン生産の裏に、深刻な動物福祉(アニマルウェルフェア)の問題が隠されていたためです。

1. ライブハンドプラッキング(生きたまま羽毛をむしり取る行為) 

かつて一部の農場では、生きた水鳥の胸や腹の毛を、文字通り「むしり取る」というライブハンドプラッキングが行われていました。これは水鳥に多大な苦痛を与える残酷な行為として、世界的に厳しく批判されました。

2. フォアグラ産業との関連

ダウンの中には、強制給餌によって生産されるフォアグラの副産物として採取されるものもあり、その飼育方法の非倫理性も問題視されています。

もちろん、こうした批判を受けファッション業界も変わろうとしています。現在、多くの信頼できるブランドは、「Responsible Down Standard (RDS)DOWNPASS」といった国際的な認証基準を採用しています。ライブハンドプラッキングや強制給餌を禁止し、動物福祉に配慮した農場からのみ羽毛を調達していることを証明するものです。

しかし、これらの認証があっても「食肉用の水鳥から採取する」というプロセスは変わらず、また認証の目が行き届かないグレーな生産背景がゼロになったわけではありません。 

こうした背景から、「動物由来である限り、根本的な搾取の問題は残る」と考え、最初から動物の毛皮を使わない「アニマルフリー」という選択肢が、最も倫理的であるとして支持を集めているのです。

「ダウンより暖かい」は本当? 次世代アニマルフリー素材の進化

コートを着た女性

アニマルフリーダウンの原料として使われている素材は、羽毛のような軽さと温かさを兼ね備えている化学繊維が主流です。プラムテック、プリマロフト、シンサレート、カポックなど、各社さまざまな素材を開発し、商品化しています。

アニマルフリーダウンの代替素材

アニマルフリーダウンの原料として使われている素材は、羽毛のような軽さと温かさを兼ね備えている化学繊維が主流です。プラムテック、プリマロフト、シンサレート、カポックなど、各社さまざまな素材を開発し、商品化しています。

PLUMTECH®(プラムテック) 

後述する「Save The Duck」社が開発した独自素材。リアルダウンの柔らかさ、軽さ、保温性を徹底的に研究し、ポリエステル繊維で再現しています。

PrimaLoft®(プリマロフト) 

米軍の要請を受けて開発された、化学繊維の代表格。羽毛のように軽くて柔らかい超微細なマイクロファイバーが、大量のデッドエアを確保します。最大の特徴は「高い撥水性」。リアルダウンが濡れると保温力を失うのに対し、プリマロフトは濡れても保温性を90%以上維持します。

Thinsulate™(シンサレート) 

「より薄く、より暖かく」をコンセプトに、プリマロフトよりさらに細い繊維構造を持つ素材。同じ厚みならダウンの1.5〜2倍の保温力を持つとも言われ、薄手のアウターや手袋にも多用されます。

KAPOK™(カポック)

東南アジアに自生する樹木「カポック」の実から採れる、植物由来の次世代素材。コットンの1/8という驚異的な軽さ(繊維の中が空洞)と、湿気を吸って発熱する「吸湿発熱性」を兼ね備えています。栽培に農薬や化学肥料をほとんど必要としないため、環境負荷が極めて低い点も注目されています。

アニマルフリーの機能的メリット

最新のアニマルフリーダウンは、倫理面だけでなく、機能面でもリアルダウンを凌駕するメリットを持っています。

水濡れに圧倒的に強い(速乾性) 

前述の通り、リアルダウンの最大の弱点「水濡れ」を克服しています。雨や雪の日の着用、アウトドアシーンで真価を発揮します。

イージーケア(自宅で洗濯可能)

専用クリーナーが必要で高額なクリーニング代がかかるリアルダウンと異なり、多くの製品が家庭用洗濯機で丸洗い可能です。メンテナンスが非常に楽で、清潔さを保てます。

アレルギーフリー・無臭

動物アレルギーの心配がありません。また、羽毛特有の動物臭(特に湿気を含むと発生しやすい)が一切ないのも、大きなメリットです。

地球環境への配慮、お手入れのしやすさなどからアニマルフリーダウンを身に付けたいと思った人も多いでしょう。以下の章からは。動物素材を使っていない良質なヴィーガンダウンを探す方法について紹介します。

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【2024-2025年版】おすすめアニマルフリーダウンブランド5選

モントリオール

アニマルフリーダウンを扱っているブランドがいくつかありますが、中でもおすすめしたいブランドを5つ厳選して紹介します。

1. Save The Duck(セーブザダック)

Save The Duckは、2013年イタリア・ミラノ発。「アヒルを救え」というブランド名が示す通り、100%アニマルフリーを貫く先駆的ブランドです。独自開発の「PLUMTECH®」は、リアルダウンに劣らない保温性と軽さを実現。PeTA認証も取得しており、欧米のセレブにも愛用されています。

2. KAPOK KNOT(カポックノット)

「木の実からダウンを作る」というコンセプトで注目の日本ブランドであるKAPOK KNOT。植物由来の新素材「カポック」を使用し、「薄くて、軽くて、暖かい」を実現。都市生活に馴染む洗練されたデザインが特徴で、環境負荷の低さも魅力です。

3. Patagonia(パタゴニア)

サステナブルブランドの代表格であるPatagonia。リアルダウン製品もRDS認証で厳格に管理する一方、古くから高機能な化学繊維(化繊)インサレーションの開発に注力しています。「ダス・パーカ」に代表される化繊アウターは、過酷な環境下でも高い保温性を発揮します。リサイクル素材の積極採用も特長といえるでしょう。

4. THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)

THE NORTH FACEは、言わずと知れたアウトドアブランド。リアルダウン製品と並行し、プリマロフトや独自開発のV-Motionインサレーションなど、最先端の化繊技術を駆使したアウターを多数展開。機能性とデザイン性を高いレベルで両立させています。

5. ECOALF(エコアルフ)

ECOALFは、スペイン発のサステナブルブランド。「地球環境を守るために服がある」という理念のもと、ペットボトルや海洋プラスチック、廃棄タイヤなどをリサイクルした素材で製品を作っています。中綿にもリサイクルポリエステルを使用し、サステナブルなアニマルフリーを実現しています。

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まとめ|倫理的で高機能。次世代アウター「アニマルフリーダウン」を選ぼう

自然

かつては「妥協」や「我慢」のイメージがあったアニマルフリーという選択。 しかし、技術革新を経た今のアニマルフリーダウンは、「動物犠牲ゼロ」という倫理的な価値に加え、「水に強く、手入れが簡単で、高機能」という、リアルダウンを超える合理的なメリットを備えた「次世代のアウター」へと進化しています。

この冬、あなたのアウター選びの基準に、「アニマルフリー」という選択肢を加えてみませんか。 その一つの選択が、動物たちを救い、持続可能な未来へと繋がっていきます。

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