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大学選びで「やりたいことがまだ決まっていない」と悩む高校生は少なくありません。文理選択や志望校調べを進めるなかで、「どの学部を選べば将来につながるのだろう」と不安になることもあるでしょう。
そんなときは、ひとつの社会課題を入口にして学部・学科を考えてみるのがおすすめです。今回紹介するテーマは「地球温暖化」です。
人間活動による温室効果ガスの排出が地球温暖化を引き起こしてきたことは広く認められています。また、2011〜2020年の世界平均気温は1850〜1900年と比べて約1.1℃高くなったとされています。
これは、地球温暖化が自然環境だけの問題ではなく、私たちの暮らしや社会の仕組みと深く結びついていることを示しています。エネルギーの使い方、交通、食料生産、都市づくり、企業活動など、社会全体で考えなければならない課題なのです。
つまり、地球温暖化は「知っておくべきニュース」ではなく、これからの仕事や進路にも関わるテーマです。
この記事では、まず「学部・学科を選ぶうえでのポイント」を整理し、その考え方を地球温暖化のケースに当てはめます。最後に、地球温暖化と関わりの深い5つの学部・学科の系統を紹介します。
学部・学科選びで大切なのは、いきなり大学名から探し始めないことです。先に「何に関心があるのか」と「どんな関わり方をしたいのか」を分けて考えると、自分に合う学びが見つかりやすくなります。
最初のステップは、興味のあるテーマをひとつ決めることです。将来の夢がはっきりしていなくても問題ありません。
例えば、食べ物、SNS、お金、英語、電車、ファッション、ゲーム、まちづくりなど、身近なものから考えてみましょう。ニュースでよく見る生成AI、カーボンニュートラル、少子高齢化、防災などから選んでも構いません。
ポイントは、最初から細かく決めすぎないことです。「なんとなく気になる」くらいの広いテーマを出し、そこから少しずつ分解していきます。
テーマが決まったら、次に「What(何を対象にするか)」と「How(どう関わるか)」に分けて考えます。
例えば、テーマが「食べ物」なら、Whatは野菜、魚、肉、お菓子、健康食品、冷凍食品などです。Howは、生産する、成分を研究する、新商品を開発する、流通を考える、マーケティングする、政策をつくるなどに分けられます。
同じ「食べ物」でも、野菜を育てたいなら農学部、水産資源を守りたいなら水産学部、食品メーカーで商品開発をしたいなら食品科学や応用生命科学、売れる仕組みを考えたいなら経済・経営・商学系が候補になります。
このように、テーマと関わり方を掛け合わせると、学部・学科の選択肢が具体的になります。
学部名だけで判断しないことも大切です。同じ「環境」とつく学科でも、大学によって学ぶ内容は違います。
確認したいポイントは、次の3つです。
「再生可能エネルギーを開発したいのか」「気象データを分析したいのか」「気候政策を考えたいのか」まで見ていくと、進路選びの失敗を減らせます。
ここからは、地球温暖化をテーマにして、WhatとHowを整理していきます。
同じ地球温暖化というテーマでも、技術を開発したいのか、自然現象を研究したいのか、政策を考えたいのかによって、向いている学部は変わります。自分がどの関わり方に近いかを考えながら読んでみてください。
地球温暖化と聞くと、まず二酸化炭素を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、温室効果ガスには二酸化炭素のほか、メタン、一酸化二窒素、代替フロン類なども含まれます。
また、地球温暖化の対象は「気温上昇」だけではありません。大気、海洋、雪氷、生態系、農業、健康、災害など、さまざまな分野に影響が広がります。
つまり、Whatは次のように分けられます。
次に、Howを考えます。地球温暖化への関わり方は、大きく4つに分けられます。
1つ目は、技術で解決する関わり方です。太陽光発電、蓄電池、省エネ住宅、CO2を減らす製造技術などをつくるアプローチです。
2つ目は、自然の仕組みを解き明かす関わり方です。大気や海洋のデータを分析し、気候がどのように変化するのかを研究します。
3つ目は、社会制度をつくる関わり方です。法律、政策、経済の仕組みを通じて、排出削減や気候変動への適応を進めます。
4つ目は、国際的な協力を進める関わり方です。地球温暖化は一つの国だけでは解決できないため、国際交渉、開発支援、気候正義、環境教育などの視点が必要になります。
ここまで分けると、「地球温暖化に興味がある」という大きな関心が、「どの学部で学ぶべきか」という具体的な選択肢につながっていきます。
いよいよ本記事の本題である「地球温暖化を学べる学部・学科」を5つ紹介します。
技術で地球温暖化に関わりたい人には、工学部が向いています。特に、化学工学、電気電子工学、機械工学、建築・土木、都市工学、情報工学などが関係しています。
例えば、再生可能エネルギーを効率よく使う技術、CO2排出の少ない素材や製造方法、省エネ性能の高い建物、災害に強いまちづくりなどを学べます。
「ものづくりが好き」「数学や物理、化学を使って社会課題を解決したい」という人におすすめです。
地球温暖化の仕組みそのものを知りたい人には、理学部が向いています。特に、地球惑星科学、地球惑星物理学、気象学、海洋学、環境科学などが関係しています。
理学部では、なぜ気温が上がるのか、海水温や海流はどう変わるのか、雲や大気の動きが気候にどう影響するのかといった問いに向き合います。
「気象データを見るのが好き」「自然現象の原因を知りたい」という人に合いやすい学部です。
地球温暖化は、技術だけでは解決できません。企業や自治体、国がどのようなルールで排出を減らすのか、災害や暑さにどう備えるのかを考える必要があります。
法律・政治・政策系の学部では、環境法、行政、公共政策、地方自治、合意形成などを学びます。再生可能エネルギーを広げる制度、脱炭素に向けた自治体計画、気候変動への適応策などを考える道があります。
「社会のルールを変えたい」「地域の課題解決に関わりたい」という人におすすめです。
企業活動や消費の仕組みに関心がある人には、経済・経営・商学系が向いています。地球温暖化対策には、新しい技術だけでなく、それを広げるビジネスモデルや投資の仕組みも必要です。
この分野では、環境経済学、サステナブル経営、会計、マーケティング、ESG投資、カーボンプライシングなどを学べます。
「企業の取り組みに興味がある」「環境とビジネスを両立させたい」という人に合っています。
地球温暖化は、国によって責任や影響の受け方が異なります。排出量の多い国、海面上昇の影響を受けやすい国、資金や技術の支援を必要とする国など、立場が違うからこそ国際的な調整が重要です。
国際関係学部や国際教養学部では、国際政治、開発、国際協力、平和構築、異文化理解などを学びます。気候変動をきっかけに起こる移住、貧困、食料問題、資源をめぐる対立なども重要なテーマです。
「英語を使って社会課題に関わりたい」「国際機関やNGO、グローバル企業に興味がある」という人におすすめです。
ここまで5つの学部・学科を紹介しましたが、正解は一つではありません。
例えば、地球温暖化と「食べ物」を組み合わせるなら農学部や水産学部、熱中症や感染症に関心があるなら医学・保健・看護系、環境教育に関心があるなら教育学部も候補になります。
大切なのは、「自分は地球温暖化のどの部分に、どんな方法で関わりたいのか」を考えることです。
オープンキャンパスでは、学部名だけでなく、授業名、研究室、ゼミ、取得できる資格、卒業後の進路を確認してみましょう。少しでも気になる先生や研究テーマが見つかったら、その大学はあなたの関心に合っている可能性があります。
地球温暖化は、理系だけのテーマでも、文系だけのテーマでもありません。工学部なら技術、理学部なら自然の仕組み、法律・政治・政策系なら制度、経済・経営・商学部なら企業活動、国際関係学部なら世界の協力というように、さまざまな角度から関われます。
学部・学科選びで迷ったら、まずは気になるテーマを決め、次に「What」と「How」に分けて考えてみてください。地球温暖化という大きな社会課題を入口にすると、自分が学びたいことや将来関わりたい仕事が少しずつ見えてきます。
今日からできる一歩として、気になる大学のカリキュラムや研究室を調べてみましょう。自分らしいサステナブルな学び方を探してみてください。
