サッカー初心者必見!今年のW杯は「エコ」と「人権」に注目
人権・多様性
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日本中が熱狂し、連日ニュースで「三笘の1ミリ」という言葉が飛び交った前回のカタール大会。あの興奮から月日が流れ、いよいよ今年、2026年FIFAワールドカップが開幕します!
今回の舞台は、アメリカ・カナダ・メキシコによる史上初の3カ国共催。さらに出場国もこれまでの32カ国から48カ国に拡大され、かつてない規模で新たなドラマが生まれようとしています。
「スポーツ観戦にはあまり縁がなくて…」という方も、少しだけ視点を変えてみませんか?実は今年のワールドカップは、サッカーの結果だけでなく「サステナブル(エコ)」と「人権」にも注目です。単なるスポーツイベントの枠を超え、地球環境や社会の課題にどう向き合うか。大会そのものが、未来に向けた大きなメッセージを発信しているのです。
今回は、サッカー初心者だからこそ面白い、「社会的な視点」から見るワールドカップの楽しみ方を紐解きます。子どもとSDGsを考えるヒントや、世界のトレンドを知る教養として、新しい観戦スタイルを見つけていきましょう。
スポーツ×サステナビリティとは?過去大会の取り組み
「そもそも、なぜスポーツの大会でエコや人権が話題になるの?」と疑問に思う方も多いかもしれません。ワールドカップやオリンピックの主役は、もちろん選手たちの熱いプレーであり、私たち観客が最も熱狂するのはその「勝敗」の行方です。
しかし、世界中から何万人もの人が移動し、熱狂を生み出す巨大なイベントの裏側では、どうしても膨大なエネルギーが消費され、環境・衛生問題が発生してしまいます。また、スタジアムを新しく建てるためには、途方もない量のお金と労働力が必要になります。
そのため、現在の大規模なスポーツイベントでは、「いかに地球環境や開催地の人々に負担をかけずに、素晴らしい試合を届けるか」という社会的な責任が、大会を成功に導くための大切な使命になりつつあるのです。
スポーツにおけるサステナブルな取り組み
スポーツ界全体で「サステナブル(持続可能)」な取り組みが加速している背景には、国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)への貢献があります。
過去の大会でも、SDGs(持続可能な開発目標)への貢献として以下のような取り組みが行われてきました。
- 東京オリンピック(2021年):不要なスマホや小型家電からリサイクル金属を抽出し、約5000個のメダルを製作
- パリオリンピック(2024年):競技会場の95%を既存・仮設仮説の建物でまかない、CO2排出量を過去大会の半分に削減
このように、「ただ豪華な施設を作って盛り上がる」時代は終わり、スポーツ界はいま「地球の未来にどう配慮するか」という新しい基準で動いています。
前回大会のカタールW杯2022で発生した課題点
では、サッカーのワールドカップはどうだったのでしょうか?「三笘の1ミリ」で日本中が沸いた2022年のカタール大会は、環境への「新しい挑戦」と、同時に深刻な「課題」が浮き彫りになった大会でもありました。
【画期的な成功:持ち運べるエコ・スタジアム】
カタール大会で世界を驚かせたのが「スタジアム974」です。なんと、カラフルな輸送用コンテナを974個、まるでブロックのように組み合わせて作られた、世界初の「完全に解体・再利用できるスタジアム」でした。現地のファンからは「レゴブロックみたいで可愛い!」「海風が入ってきてエアコンなしでも涼しい」と驚きと称賛の声が上がりました。役目を終えたスタジアムの資材は、スポーツ施設が不足している国へ寄付され再利用される仕組みになっていました。
引用元:FIFA
【残された課題:冷房のエネルギー消費と労働者の人権】
一方で、大きな批判を浴びた面もあります。カタールは砂漠気候で非常に暑いため、他のスタジアムでは巨大な屋外用冷房システムをフル稼働させていました。環境保護団体からは「膨大なエネルギーの無駄遣いではないか」という声が上がりました。
また、大会に向けて急ピッチでスタジアムや道路を建設する際、南アジアなどから来た多くの移民労働者が動員されました。
しかし、50度近い猛暑の中での過酷な労働や、賃金の未払いが横行。多数の尊い命が失われる痛ましい事態となり、華やかな祭典の裏に潜む「人権問題の闇」として世界的なニュースになりました。
実は、過去の大会でも課題はありました。例えば2014年のブラジル大会では、大会終了後に全く使われない巨大スタジアム(いわゆる「負の遺産=白い象」)が残り、多額の維持費が地元経済を圧迫するという問題が起きていました。
スポーツの祭典が、地球の環境を壊したり、誰かの犠牲の上に成り立ってはいけない。
過去の大会で得たこの「素晴らしい成功」と「痛ましい反省」を胸に、今年のワールドカップ(アメリカ・カナダ・メキシコ共催)は、これまで以上に本気で「エコ」と「人権」に向き合っているのです。
FIFAワールドカップ2026におけるサステナブルな取り組み
過去の大会での反省をいかし、いよいよ今年開催される2026年のワールドカップ(アメリカ・カナダ・メキシコ共催)では、地球に優しい「新しい基準」が設けられています。実は、今大会の公式なサステナビリティ戦略の中で、特に力を入れられているのが「スタジアム」と「ゴミ」の問題です。具体的にどんなことが変わるのか、注目のポイントをご紹介します。
スタジアム問題
スタジアムは「新設しない、使い回す」のが新常識
これまでのワールドカップでは、大会のために巨額の費用をかけて巨大なスタジアムを新しく建設するのが当たり前でした。しかし2026年大会では、原則として「ワールドカップのために新しいスタジアムを建てない」という画期的な方針がとられています。
今回は、アメリカのNFL(アメリカンフットボール)などで普段から使われている、既存の巨大スタジアムをそのまま再利用します。例えば、会場の一つであるアトランタの「メルセデス・ベンツ・スタジアム」などは、環境に配慮した建物の最高評価(LEED認証)を取得している最先端のエコ・スタジアムです。
新しい建物をゼロから作らないことで、建設工事に伴う大量の二酸化炭素(CO2)の排出や自然破壊を劇的にカットできます。大会が終わった後にスタジアムが使われず廃墟になってしまう、過去の大会で起きたような「負の遺産」問題も、この方法なら心配ありません。さらに、各スタジアムでは太陽光・風力といった再生可能エネルギーの導入や、雨水を貯めてトイレなどに再利用するシステムの整備も進められています。
ゼロウェイストの挑戦
世界中から数百万人のファンが集まるとなれば、当然、お弁当の容器やペットボトルなど、膨大な量のゴミが出ます。そこで今大会では、FIFAの公式戦略として全16の開催会場で「ゼロウェイスト(埋め立てゴミゼロ)」という高い目標が掲げられています。
具体的には、スタジアム内の飲食店やグッズ売り場から「使い捨てのプラスチック」を徹底的に排除する動きが進んでいます。飲み物は、使い捨ての紙コップやプラカップではなく、洗って何度も再利用できる専用のリユースカップ(耐久性の高いアルミニウム製など)で提供されたり、食べ物の容器も土に還る(堆肥化できる)素材が積極的に導入される予定です。
また、スタジアムの出入り口には細かく分けられたリサイクル・コンポスト(堆肥化)の専用ゴミ箱が設置され、ボランティアが観客に正しい分別を直接呼びかけます。
私たちが普段の生活の中で「マイボトルを持とう」「プラスチックのゴミを減らそう」と意識していることと同じエコな挑戦が、ワールドカップという巨大なスケールで本気で行われていると思うと、なんだか親近感が湧きませんか?
応援したくなる選手たち
ワールドカップのもう一つの見どころ、それはピッチに立つ選手たちの「背景」を知ることです。彼らの中には、華やかなスーパープレイの裏で、壮絶な過去を乗り越えてきた人や、自らの影響力を使って社会を良くしようと闘っている選手がたくさんいます。ルールに詳しくなくても、彼らのストーリーを知れば、きっと心から応援したくなるはずです。
中東勢・難民選手の紹介
現在、世界中で紛争や難民問題が深刻化する中、サッカーが持つ「希望の力」を体現している選手たちがいます。
カナダ代表「アルフォンソ・デイヴィス」
今大会の開催国の一つであるカナダ代表のスター、アルフォンソ・デイヴィス選手は、西アフリカの難民キャンプで生まれ、内戦から逃れるために幼くしてカナダへ移住しました。過酷な環境から世界的トッププレイヤーへと上り詰めた彼は、サッカー選手として初めてUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の親善大使に就任しました。世界中の難民の子どもたちに「夢を諦めないで」と勇気を与え続けています。
エジプト代表「ムハメド・サラー」
また、緊迫する中東情勢の中で平和へのメッセージを発信し続けているのが、エジプト代表の英雄、モハメド・サラー選手です。世界トップクラスの知名度を誇る彼は、ガザ地区での深刻な人道危機に対し、多額の寄付を行うとともに自身のSNSを通じて「すべての命は尊い」「人道支援をすぐに届けるべきだ」と世界に向けて力強く平和を訴えかけました。彼のような中東を代表するスター選手の発信とピッチでの躍動は、世界中に平和を考えるきっかけを与えてくれています。
社会問題(人権問題)に実際に声を上げる選手
サッカー選手は今や、単なるアスリートの枠を超え、社会を変える力を持つインフルエンサーでもあります。
イングランド代表「マーカス・ラッシュフォード」
イギリスで社会現象を起こしたのが、イングランド代表のマーカス・ラッシュフォード選手です。彼は自身の「貧困で満足にご飯が食べられなかった」という幼少期の原体験から、イギリスの「子どもの貧困問題」に対して立ち上がりました。コロナ禍で学校給食が停止されそうになった際、彼はSNSで政府に直接抗議し、なんと国の政策を変えて無料給食を継続させたのです。親世代にとって、彼のような未来の子どもたちを想う行動は本当に胸を打たれますね。
フランス代表「キリアン・エムバぺ」
フランス代表の絶対的エースであるキリアン・エムバペ選手も、自らの影響力を社会正義のために使っている一人です。彼はスポーツ界の人種差別に毅然と抗議するだけでなく、フランス国内で起きた警察による少年への過剰暴力事件(人権問題)に対しても、いち早く抗議の声を上げて平和と正義を訴えました。さらに、前回のワールドカップで得た多額の報酬を「国を代表してプレーするのにお金は必要ない」と、障がいを持つ子どもたちのための慈善団体に全額寄付したエピソードは、世界中で大きな感動を呼びました。
まとめ
オフサイドや細かいルールが分からなくても、今年のワールドカップには「見たくなる」「応援したくなる」理由がたくさん詰まっています。
「新しいスタジアムを建てずに使い回す」「ゴミを限りなくゼロにする」といった開催地としての地球環境への大きな挑戦。そして、自身の過酷な経験や影響力を活かして、難民問題や貧困、平和のために立ち上がる選手たちの姿。2026年のワールドカップは、単なるスポーツの祭典という枠を超え、世界の今と未来を学ぶ「生きた教科書」のような大会へと進化しています。
テレビから流れてくる試合のニュースを目にした時は、「この大会ではプラスチックのゴミ箱がないんだって」「この選手は子どもたちのために給食を無料にした人だよ」と、ぜひご家庭での会話のスパイスにしてみてください。
子どもと一緒にSDGsについて考えるきっかけとして、また世の中の新しいトレンドを知る教養として。今年のワールドカップは、ぜひ「地球想い」な新しい視点から、世界最大の熱狂を楽しんでいきましょう。












