式典にコサージュは本当に必要? 式典のプラスチック花問題と生花の新しい選択

式典にコサージュは本当に必要? 式典のプラスチック花問題と生花の新しい選択
FASHION

春の足音が感じられる卒業式や入学式シーズン。新しい門出を祝う準備に、忙しさを感じる家庭も多いのではないでしょうか。子どもの門出を祝う特別な日は、スーツに身を包み、胸元に飾るコサージュを選びながら、心が躍る瞬間でもあります。

しかし、今胸元に付けているコサージュを目にすると、ふと小さな違和感を覚えませんか?式典で当たり前のようにつけられている「造花のコサージュ」は見方を変えると、会場を埋め尽くす「セロハン包装の花束」でもあります。

華やかに見えるコサージュの多くはプラスチック素材で作られており、式典の1日が終わると、その多くが廃棄されてしまうのが現実です。

この記事では、「式典だからコサージュをつけるべき」「花束はセロハンで包むもの」という固定観念をいったん手放し、環境にも心にも優しい新しい選択肢を紹介します。

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なぜ式典ではコサージュをつけなければいけないのか?

なぜ式典ではコサージュをつけなければいけないのか?

ここでは、そもそもコサージュをなぜつけなければいけないのかについて歴史を紐解いていきます。

コサージュ=マナーという「思い込み」の正体

かつて日本の式典で胸元を飾る花といえば、生花が主流でした。香りや瑞々しさがあり「今日という特別な日」を象徴する存在でもありました。季節の花を身に付けることは、その瞬間を共有する意味合いもあります。

しかし時代が進むにつれ、生花は「コストがかかる」「管理が難しい」「準備に手間がかかる」といった理由から、徐々に造花(ポリエステル・プラスチック素材)へと置き換えられていきました。

造花は枯れず、低コストで大量生産ができ、長期保存も可能など、生花にはないメリットが多数あります。結果として、合理性が評価され現在主流として使われています。

しかし、その手軽さの裏側で、生花が持つ儚さや生命力、香りといった本来の良さが失われています。また、「式典には造花コサージュを身に付けるのがマナー」という認識が広がっていったのです。

一度きりの使用で廃棄されるプラスチックたち

式典では欠かせないコサージュですが、イベントが終わると役目を終えます。次の機会のためにタンスにしまったり、そのまま捨てられたりするケースも少なくありません。

土に還り、命の循環をめぐる生花と違い、プラスチック製の造花やセロハンは、自然に戻るまでに数百年かかると言われます。細かく砕けても消えるわけではなく、マイクロプラスチックとして環境中に残り続けます。

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目立たない小さなアイテムであっても、人数分が集まれば、廃棄量は相当なものになります。

「知らないまま選んでいた」のか「知ったうえで選ぶ」のか。その違いだけでも、消費のあり方は大きく変わります。式典という節目は、そうした価値観を見直すきっかけにもなり得るのです。

たった1日だけ使うために作ったアイテムが、 地球には何百年も残り続けることに、違和感を感じる方も少なくないと思います。環境配慮やSDGsの時代だからこそ、この問題について、少し立ち止まって考えてみるきっかけにしていきましょう。

画一的な美しさと個性の不在

生花と違い、同じ商品が大量に流通する造花は自分のイメージとぴったり合うものが見つからないこともあります。また、式典では保護者や教職員が同じ造花を胸につける場面も見られます。整然として美しく見える一方で「同じ造花を付けることに違和感を覚える」という声もあります。

子どもたちはそれぞれ違う個性を持ち、同じ門出であってもそれぞれに意味を持っています。しかし、その門出を祝う大人が「画一的な美しさ」に揃える必要はあるか、改めて考えてみてもいいかもしれません。

第一の選択:「つけない」という自由とスタイルの確立

第一の選択:「つけない」という自由とスタイルの確立

自分らしさを大切にするための第一の選択としては、コサージュをつけないことがあります。

コサージュは必須アイテムではない

式典にコサージュは必須と思っている方も多いかもしれませんが、つけなければならないという決まりはありません。付けるだけで華やかになる便利なアイテムですが、実は世界共通の文化ではなく、日本や欧米を中心に見られる文化です。

あえてつけないという選択をすることで、装いに別の表現をもたらすこともできます。

装飾を控えた佇まいは、シンプルで端正であり、過度に飾らないことが、落ち着いた大人の凛とした印象につながります。足し算ではなく引き算の装いは、その人らしさや内面の美しさを映し出してくれます。

ブローチやスカーフ、あるいは「何も足さない」

コサージュ以外にも、ブローチやスカーフなどを選ぶのも一つの方法です。

長く使える貴金属のブローチや、天然素材のストール、パールのアクセサリーなどは、控えめでありながら十分に華やかで、フォーマル感のある装いを演出してくれます。使い捨てではなく、長く愛用できるアイテムを選ぶことは、その選択自体がサステナブルな取り組みにつながります。

また、アクセサリーを足すのではなく、服装の素材感やシルエットにこだわるという選択肢もあります。

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第二の選択:あえて花を纏うなら「命あるもの」を

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2番目の選択肢としては、その日だけに花を身に着けるのであれば生花を選ぶというものです。

プラスチックではなく「生花」を纏う贅沢

生花は数時間しか持たない分、瑞々しさや花本来の香りや色み、儚さといった造花にはない魅力があります。花言葉に込められたメッセージや、季節を感じられる自然の色合いは、造花では再現が難しいです。

生花コサージュは、花屋で注文して作ってもらうことも可能であり、最近は自分で簡単に手作りできるキットも増えています。慣れれば、当日の朝20分ほどで作ることもでき、材料も100円均一で比較的手軽に用意できる点も魅力です。

「今日という特別な時間にだけ咲く花」を身に付けることは、その日の時間や気持ちを大切にする姿勢の表れです。生花にだけ宿る「その瞬間を大切にする」という価値観でもあります。

ドライフラワーを身に着けるという選択もある

生花をドライフラワーにすることで、式典後もインテリアとして楽しむ選択肢もあります。

自然素材ならではの風合いは、ひとつとして同じものはありません。時間の経過とともに風合いが変わりながら、その日の記憶を思い出させてくれます。

第三の選択:未来へのギフト「ロスフラワー」の活用

第三の選択:未来へのギフト「ロスフラワー」の活用

最近では「ロスフラワー」も広まっており、これを活用することで、さらにエシカルな着こなしになります。

今こそ知りたい「ロスフラワー」とは何か?

式典など、そのイベントのためだけに使われた生花のほとんどは、使用後に廃棄されます。まだ十分にきれいな状態の花でありながら、行き場を失ってしまった花は「ロスフラワー」と呼ばれます。

規格外で市場に出せない花や、イベントの中止によって行き場を失った花、本来なら廃棄されるはずだった花に、もう一度役割を与える取り組みが、近年広がっています。こうしたロスフラワーを救い新たな価値を与える活動に取り組む人々や団体は「フラワーサイクリスト」と呼ばれています。

卒業式に「ロスフラワー」を取り入れる意義

卒業式や入学式にロスフラワーを取り入れることは、「本来なら廃棄されてしまう花に、もう一度役割を与える」という意味があります。

ロスフラワーの背景にある考え方は、門出の日にとてもよく合います。 花を選ぶことそのものが、未来につながる行動にもなるのです。最近は、ロスフラワーを式場の装飾や卒業生への胸花に使用する機会も増えました。ロスフラワー専門店も増え始めているため、サステナブルな取り組みが広がりを見せています。

エシカルな消費が、子供たちの未来を守る

花は店頭に並ぶまでの過程で、茎が折れたり花が取れたりし、生産量の30〜40%が廃棄になっていると言われています。本数で換算すると年間約10億本、金額にすると約1500億円にも及ぶ損失です。

ロスフラワーを選ぶことは、花農家の支援や廃棄物削減などエシカルな取り組みにつながります。一輪の花を大事にすることは、資源を守り、子どもの未来も守ることにつながっていきます。

贈る花束も「脱・プラスチック包装」へ

花束のラッピングは、実はプラスチック素材が多く使われています。近年は、環境への負荷を減らすため、セロハンを使わない、新聞紙やリネン、再生紙などで包む方法が広がっています。素材の香りや質感があり、花そのものの美しさがより引き立ててくれます。

形式美より「本質的な美しさ」を選ぶ

本来、式典は誰かと比べたり、何かを揃えたりする場ではなく、人生の節目を静かに祝う時間です。その場にふさわしいのは、過剰な装飾ではなく、選択の背景にある想いや理由なのかもしれません。

何を身に付けるか以上に「なぜそれを選んだのか」、その理由こそが、その人らしさや価値観を映し出します。形だけをなぞるのではなく、意味を選ぶ姿勢が、装いそのものを美しく見せてくれます。

大人の選択が、子供たちの価値観を作る

式典の日に何を選ぶかは、大人たちの価値観を子どもに伝える行為でもあります。

「みんなと同じだから」ではなく、「意味があるから選ぶ」という姿勢は、言葉にしなくても子どもの心に残り、その記憶は未来の選択に影響していきます。

環境に配慮することは、我慢や制限ではなく、実は自分自身の心地よさにもつながります。軽やかで無理のない、そして自分らしい選択です。それが、新しい式典の形なのかもしれません。

ウェルネスな式典のあり方

環境に配慮することは、巡り巡って、私たち自身の心と暮らしの心地よさ(ウェルネス)へとつながっていきます。

無理に飾らず、本質を大切にする姿勢が、式典という特別な一日を、より豊かなものにします。コサージュをつけない選択、生花やロスフラワーを選ぶことは、どれも大きな行動ではありませんが、確かに未来へと続く一歩です。

まとめ

式典のコサージュ問題から見えてくるのは、単なる装飾の話ではなく、私たちの消費行動や価値観を映し出すものです。次のハレの日は、形式美ではなく、本質的な美しさを大切にした、あなたらしいエシカルな選択を取り入れてみませんか。

その小さな選択が、子どもたちの未来や、自分自身の心に残っていくでしょう。その積み重ねが、やさしい社会と、次の世代の当たり前を少しずつ形づくっていくはずです。

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