米の高騰はいつまで続く?「令和の米騒動」と呼ばれる理由や歴史などから考察

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2025年現在、米の価格はどんどん高騰しており、スーパーで手に取るのをためらう方も多いのではないでしょうか。日々の食事に欠かせない米だからこそ、「米の高騰はいつまで続くのか」と不安を感じている方も少なくないはずです。
この記事では、米の価格高騰の現状やなぜ高騰しているのかについて詳しく解説します。また、「令和の米騒動」と呼ばれる理由や私たちができる対策についても紹介するので、ぜひ最後までお読みください。
米の価格高騰の現状とは?
農林水産省が発表した「スーパーでの販売数量・価格の推移」によると、令和7年2月3日~2月9日の米の価格が3,829円/5kgとなり、対前年同期と比べて+1,811円(+89.7%)でした。
つまり、1年前は2000円/5kg前後で購入できたお米が、現状では4000円近くまで値上がりしたということになります。わずか1年で、ほぼ倍近い価格になるという、急激な価格高騰が起きているのです。
米の高騰が家計や飲食業界に与える影響は大きく、多くの人々の生活に負担を強いています。
なぜ米が高騰しているのか? 4つの要因
そもそもなぜ米が高騰しているのでしょうか。実は、米の高騰にはいくつかの要因が関係しています。ここからは、米の高騰に影響する4つの要因について解説します。
1. 猛暑の影響で品質低下
近年の猛暑により、品質の高い「一等米」の割合が減少していることが、米の価格高騰の要因のひとつです。特に2024年は観測史上最高気温を記録するなど、全国各地で猛暑日が続きました。その結果、米の高温障害が発生して、米の品質や収穫量に大きな影響を与えています。
また、品質が低いお米が増えたことにより、市場に出回る高品質な米の価格が上昇しています。このことも、米価高騰の一因だと考えられているのです。
2. 生産調整と作付面積の減少
農家の生産調整により、主食用米の生産量が減少していることも、米が高騰した要因です。
生産調整とは、米の過剰生産を防ぐために、農家が大豆や麦など、他作物に転作した際、国が補助金を出す仕組みのことです。もともとは、米の価格を維持を目的とした、米が過剰に生産されて余らないようにするための政策で、「減反政策」とも呼ばれていました。
しかし、国際競争力強化や農家の弱体化などの問題から、2018年度に生産調整の制度は廃止されました。ただし、他作物への転作を支援する補助金は現在も存在します。さらに、主食用米の需要減少に伴い、作付面積も縮小しており、今後も米の生産量は減少し続けると予測されています。
3. インバウンド需要の増加
訪日外国人の増加に伴い、外食産業で米の需要が増加したことも、米の価格高騰の一因となっています。また、日本産米の輸出需要が拡大したことで、国内の供給がひっ迫しているとも言われています。
4. 備蓄米の放出制限
2024年の夏、市場での米不足が問題になっていましたが、政府は米不足を認めず備蓄米の放出を控える動きがありました。
政府の備蓄米の放出制限により、市場に流通する米の供給が減ったことも、価格が押し上げられた要因と考えられています。
「令和の米騒動」とは?過去の歴史から見てみよう
実は、過去にも市場に米が不足する「米騒動」がおこっています。ここからは、「令和の米騒動」を解説するにあたって、過去の歴史についても触れていきます。
1918年の「米騒動」
1918年(大正7年)の米騒動は、第一次世界大戦による好景気によって物価上昇したことや、地主や商人が米を買い占めたことが原因で発生したものです。
米の価格が急激に高騰したことにより、富山湾沿岸一帯では漁民や主婦を中心に、米の県外移出禁止や安売りを求める運動が起こりました。さらに、この運動が新聞に報道されると、「米騒動」と呼ばれる民衆運動が全国各地に広がり、警察だけでなく軍隊まで出動する事態となっています。
1993年の「平成の米騒動」
1993年の「平成の米騒動」は、記録的な冷夏による米の不作が原因で発生しました。
政府は米不足を受け、タイなどから外国産米の緊急輸入を実施。しかし、輸入された米は、日本人が好むうるち米ではなく、インディカ米だったため、食感や味が日本人の好みに合わず、多くの米が売れ残ってしまったのです。
一方で、国産米を求めて、多くの人がスーパーや米屋に並ぶ事態となりました。また、平成の米騒動がきっかけで、1995年から政府による「備蓄米制度」が始まり、米の備蓄を制度化するようになっています。
「令和の米騒動」と呼ばれる特徴
「令和の米騒動」は、2024年8月にスーパーの棚から米が消え、品不足が深刻化したことから始まりました。
令和の米騒動は、8月に収穫できるお米の品質低下や、インバウンドの増加による米の需要増加などに加え、台風や南海トラフ地震の臨時情報により米を備蓄する人が増えたことなど、さまざまな要因が関係しています。
さらに、米不足が解消された後も価格の高騰が続いている点が、大きな特徴です。現在のところ、直接的な暴動や社会的混乱は起きていませんが、飲食業界への影響は深刻化しています。
米の価格はいつまで高騰するのか?
米の価格がいつまで高騰するのかは、現状では不透明です。しかし、政府が備蓄米を放出することで、これ以上の高騰はしないのではないかとの意見もあります。
一方で、米の確保をめぐる競争は激化しており、2025年も今後米不足になる可能性は否定できません。米確保に向けての競争が激しくなることで、米の価格がどう変動するか、引き続き注視する必要があります。
私たちにできる対策
米の高騰は、私たちの生活に大きく影響する問題です。ここからは、米の価格高騰に対して私たちにできる対策をいくつか紹介します。
1. 米の購入方法を工夫する
ふるさと納税を活用すれば、割安に米を入手できます。また、定期購入やまとめ買いを利用することで、価格変動の影響を抑えることも可能です。
ただし、必要な量だけを購入し、過度な買い占めは避けましょう。買い占めは、さらなる米の価格高騰を招く可能性もあるため、適切な購入をする配慮も必要です。
2. 代替品の活用
米に代わる食品を取り入れるのも、有効な対策のひとつです。
もち麦や雑穀米を取り入れることで、米の消費量を調整することができます。また、もち麦や雑穀米を白米に混ぜて炊けば、栄養価もプラスできるのも嬉しいメリットです。
パンやパスタ、うどん、じゃがいもなど、他の主食への切り替えも選択肢としてあります。
3. 政府・農家への支援を考える
国産米の安定供給を求める意見表明をしていくことも大切です。多くの人が意見を出すことで、政策に反映される可能性もあります。
また、地元農家との直接取引をすることで、価格を抑えながら支援することもできます。
さらに、近年注目されているCSA(地域支援型農業)では、消費者が事前に年間分の購入金額を支払い、農家の経営リスクを分かち合う取り組みがおこなわれています。
4.投票に行き、政策を見直すきっかけを作る
米の価格高騰は、政策も影響も大きいと考えられます。そのため、一人ひとりが投票に行くことも大切な対策です。
多くの人が政治に関心を持ち、投票に行くことが、政策見直しのきっかけにつながるかもしれません。
まとめ
米の価格高騰は、多くの人の暮らしに影響を及ぼしている問題です。また、価格高騰に至った要因は、気候変動や政策など、さまざまなことが関係しています。
米の価格高騰も含む「令和の米騒動」とも呼ばれる状況が今後どうなるのかは、現状では不透明な部分も多く、引き続き注視していく必要があります。
また、米の価格高騰には政治の影響も少なからずあるため、私たち一人ひとりが政治に関心を持っていくことも大切でしょう。