パートナーシップ制度とは|SDGsとの関係と海外・東京都での事例を紹介します

パートナーシップ制度とは|SDGsとの関係と海外・東京都での事例を紹介します
SOCIETY

数年前からちらほらと話題になり、最近また耳にする「パートナーシップ制度」。パートナーシップ制度とはどのようなものなのでしょうか。パートナーシップ制度はSDGsと深い関係があります。ただ詳しく調べようと思ってもなかなか学ぶ機会はないものです。

そこでこの記事ではパートナーシップ制度について詳しく解説するとともに、東京都での事例もあわせて分かりやすく紹介します。最後までぜひお読みください。

パートナーシーシップ制度とは

遊歩道と人

パートナーシップ制度とは、同性同士のカップルが公的に「結婚に相当する関係」を認められる制度のことです。この章ではパートナーシップ制度の概要について詳しく解説します。

概要

パートナーシップ制度は2015年に東京都世田谷区で初めて導入され、2023年10月11日時点では353の自治体で施行されています。

近年のLGBTQの人々への関心やSDGsへの関心の高まりとともに、異性ではなくとも関係を認められる制度として始められたのです。

メリット

パートナーシップの制度には多くのメリットがあります。

1つは公営住宅への入居を認められることです。パートナーシップ制度が導入されていない地域では同性カップルは公営住宅に入居することは一般的に認められませんが、パートナーシップ制度がある地域では証明書が発行されていることによって認められます。

また、緊急時の病院の面会時など、病院へ入るときにも家族として扱われます。家族でないと入れないケースもありますが、パートナーシップ制度で証明書を発行していれば病院に入れるようになるのです。

さらには民間の保険や金融などといったサービスで家族割の扱いを受けられるなど、メリットはさまざま挙げられます。

デメリット

反対にパートナーシップ制度のデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

それは配偶者控除を受けられない子供が生まれたとしても親権を持てないことです。配偶者控除があれば税金が安くなるメリットがありますが、同性同士では今の法律では認められていません。

パートナーシップ制度はあくまで自治体が裁量を持つので、法的な拘束力は一切ありません。今後憲法や法律が変わる可能性があれば、こうしたデメリットは払拭できる可能性があるでしょう。

関連記事:LGBTQ+が抱える医療現場での悩みを紹介―製薬業界5社合同勉強会

パートナーシップ制度と法的な結婚制度との違い

後ろ姿の女性

次に、パートナーシップ制度と法的な結婚制度との違いを解説します。

日本の結婚制度の歴史

日本の結婚制度は明治時代にまでさかのぼります。1898年に明治民法の成立によって家制度が確立されました。

その後、第二次世界大戦後、女性の参政権が認められ、家制度は廃止。女性の配偶者にも相続権が認められるなど、現在の法律に近い権利が定められるようになりました。

パートナーシップ制度と日本の法的な結婚制度との比較

パートナーシップ制度と日本における法的な結婚制度との違いには、主に法的拘束力があるかないかにあります。結婚制度は契約に似たものですが、パートナーシップ制度はあくまでも二人の関係を公的に認めるものでしかありません。そのため、子供を持ったとしても親権はなく、控除も受けられないのです。

また、パートナーが亡くなったときにも遺族給付金を受け取ることができません。結婚制度とは似ているようですが、こうした公的サービス面での大きな違いがあるといえるでしょう。

パートナーシップ制度とSDGsとの関係

水滴と手

パートナーシップ制度とSDGsには深い関係があります。SDGsの目標の17である「パートナーシップで目標を達成しよう」とは、政府や行政機関、企業、NGO、そして個人までが互いに助け合って持続可能な社会を実現しようというものです。パートナーシップ制度はこれに当てはまると考えられます。

パートナーシップで目標を達成するには、ただ権威ある組織だけが取り組んでもあまり意味はありません。個人レベルにまで落とし込んだパートナーシップの構築を進めることが重要になるのです。ダイバーシティが認められる世界においては必須といえます。

関連記事:SDGsについて|概念・取り組みに分けて解説します!

パートナーシップ制度|海外の事例

虹色の旗

次に、海外のパートナーシップ制度の事例を紹介します。海外には日本よりもLGBTQへの理解が進んでいる国が多くあるため、多様な国での事例があります。

オランダ

1998年にパートナーシップ制度を始めてから、オランダでは2001年に同性婚も認められるようになりました。また同性婚をしなくてもパートナーシップ制度だけで保険や金融、控除などさまざまなサービスを受けられます。

フランス

フランスでもパートナーシップ制度は導入されています。パックス(PACS)と呼ばれる制度です。パックスはオランダと同様、パートナーシップ制度でありながらも結婚と同じような待遇を受けられることが特徴です。

台湾

台湾では法的にはパートナーシップ制度は認められていませんが、その実情は日本と同じです。ただし同性婚が認められているため、アジアで初めて政府から同性婚の権利を認められた国であるといえます。

アメリカ

アメリカでも同性婚が認められています。バイデン大統領によって「結婚尊重法案」が2022年に可決されたことをきっかけに制定され、人種を超えた結婚も認められるようになりました。

パートナーシップ制度|東京都の事例

日本では特に東京都でパートナーシップ制度が進んでいます。

世田谷区で始まったことをきっかけとして現在では渋谷区でもパートナーシップ制度が存在しています。先ほども説明したように法的な拘束力はありませんが、同性カップルへの理解は進んでいる自治体であるといえます。

日本におけるパートナーシップ制度に対する世論

東京の景色

日本全国でパートナーシップ制度が進んでいるとはいえ、世論はどのような状況になっているのでしょうか。この章では賛成派と反対派両方の意見を紹介します。

賛成派

賛成派の意見として目立つのは、同性で結ばれることが公的に認められるのは人類平等多様性の拡大への第一歩であると考えるとする意見です。

現在では昔と比べてLGBTQの人々の存在が可視化されるようになったことにより世論にも浸透しています。

関連記事:【LGBTQIA】ジェンダー平等を考える上で大切な、性の多様性を知ろう

反対派

反対派の意見もさまざまありますが、「子供が産めないことによって少子化につながってしまう」ことや「今まで受け継がれてきた伝統が破壊されてしまう」ことがよく挙げられています。

日本におけるジェンダー平等の今後の展望

"EQUALITY"の文字

日本は保守的な国民性を持つ傾向にあるため、ジェンダー平等を実現するのはなかなか難しいところがあることも否めないでしょう。しかし、声を上げ続けていけば世間にも認められる可能性は大いにあります。

今後の展望としてはパートナーシップ制度が全自治体で認められるだけではなく同性婚も認められることが理想ですが、道のりは長いといえます。ただしSDGsも進めていかなければいけない現在、昔よりも今の方が寛容になってきているでしょう。

まとめ

レゴブロック

この記事ではパートナーシップ制度の概要をメインに、SDGsとの関係や今後の展望まで解説しました。全国で約350の団体で認められているパートナーシップ制度ですが、今後ますます拡大が検討されていくことが予想されます。

この記事を読んでいる方も、ぜひパートナーシップ制度への理解を深めてみてください。

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