廃棄野菜を染料に|フードロス削減のためのアップサイクル取り組み企業と商品をご紹介
日本では毎年約600万トンの食品が廃棄されている現状をご存知でしょうか?そのうちの農業分野で廃棄される食品は58万トンもあり、その多くは、規格外野菜と呼ばれる、形や大きさが基準に合わない野菜です。
そこで、今回はフードロスを削減するために、廃棄野菜をアップサイクルすることに取り組んでいる企業や商品について紹介します。
規格外野菜とフードロス
農林水産省のデータによれば、規格外野菜によるフードロスは年間で約122万トンにも上ります。
これは日本国内で生産される野菜の中で、約5%が無駄になってしまっていることを示しています。食品業界において、規格外野菜はしばしばフードロスの一因となっています。規格外野菜とは、形や大きさが規格に合致しないために市場で流通できず、廃棄される野菜のことです。
この問題は、農産物の生産者や供給者、小売業者によって生じ、大量の食材が無駄になる原因となっています。農産物の規格に合致しないため、これらの野菜は市場で売れず、廃棄されてしまうのです。
規格外野菜を廃棄することによって発生しているフードロスについて、新たな対策が求められています。
廃棄野菜をアップサイクル
消費者からすれば、廃棄するよりも安く提供してほしいと思うところでしょう。しかし、規格外野菜をお店で安く販売したとしても、売れ残ってしまう可能性が高いのです。そのため、スーパーなどの小売店は、規格外野菜の販売に対して消極的になりがちです。
規格外野菜は、見た目は悪くても味や栄養は普通の野菜と変わりません。そこで、規格外野菜を有効活用する方法として、アップサイクルという取り組みが行われています。
アップサイクルとは、廃棄されるものをより価値の高いものに再利用することです。規格外野菜をアップサイクルすることで、フードロスを削減するだけでなく、新たなビジネスチャンスや社会貢献も生み出せます。
廃棄野菜のアップサイクル導入企業・商品
廃棄される野菜をアップサイクルしている企業や商品について紹介します。
FOOD TEXTILE
「FOOD TEXTILE」は、規格外野菜や果物を染料にしてオーガニックコットンや麻などの天然素材に染めるテキスタイルブランドです。
染料には、形が不ぞろいな規格外の食材、廃棄される予定のさまざまな種類の野菜や果物を使用しています。
染料への加工は、すべて日本国内で行われており、色落ちしにくく長く使えるのも大きな特徴です。規格外野菜から取り出された天然の染料は、環境に優しく、独自の色合いを醸し出します。
しかも、一つの食品から複数のカラー染料を抽出できるため、優しい色合いのカラーを中心とした、カラーバリエーションが豊富です。
染められたテキスタイルは、バッグやポーチ、マスクなどの雑貨やファッションアイテムに加工されて販売されています。
詳細:FOOD TEXTILE
ecuvo
「ecuvo」は、規格外野菜や果物を食品関連企業や農家から買取して染料にし、染めた生地から商品を製造、販売しているサステナブルブランドです。
染められたテキスタイルは、手袋、マスク、マフラーなどの小物やファッションアイテムに加工され、販売されています。自然由来の素材を使うことで、肌に優しく長く愛用できるアイテムの提供を目指しています。
また、「もったいない」という気持ちを大切にするために、靴下や手袋のように左右ペアで使用するアイテムを、片手、片足のみで販売しています。おかげで、片方なくしてしまった手袋や靴下でも、長く使用できるでしょう。
詳細:地球と一緒にエコでおしゃれ!#サステナブル with ecuvo
Food Paper
「Food Paper」は、廃棄野菜を原料とした再生紙製品を提供している紙文具ブランドです。1919年に創業以来、100年以上にわたって越前和紙を作り続けてきた和紙の老舗である五十嵐製紙がプロデュースしています。
使用する野菜によって表面に浮き出る立体感や手触り、風合い、色合いなどが絶妙に異なるため、一つひとつのアイテムにオリジナリティを感じられるでしょう。
染められた和紙は、カードや封筒、メモ帳などの文房具やラッピング用品に加工されて販売されています。
また、和洋問わずナチュラルインテリアや無垢の家具などとの相性が良い壁紙も販売しています。
おやさいクレヨン
「おやさいクレヨン」は、廃棄野菜から作られたクレヨン製品を販売しています。米ぬかから採取された米油とライスワックスに野菜や果物の粉末を練りこみ、着色しているのが大きな特徴です。
小さな子供が誤って口に入れてしまうことも考慮し、口に入れても安全な素材だけを使っています。
JIS規格に従った製造工程、玩具において世界で一番厳しいと言われている欧州規格の安全性をクリアするなど、安全性に徹底してこだわっています。
詳細:おやさいクレヨン – お米と野菜から作られた安心安全なクレヨン
まとめ
年間で東京ドーム5個分以上にもなる深刻なフードロス問題を解決するために、さまざまな取り組みが行われています。
フードロスの中でも比較的大きな割合を占めているのが廃棄野菜です。そこで、廃棄野菜をアップサイクルする取り組みが、フードロス削減につながるとして注目されています。
廃棄野菜を染料に使っているブランドから商品を購入することで、フードロス削減に貢献してみましょう。