自然派ワインは体に優しい?ナチュラルワインとの違い・おすすめのメーカー

フード・食生活

ワインの楽しみ方が多様化するなか、近年注目を集めているのが「自然派ワイン」や「ビオワイン」です。筆者自身、2026年に入って手に取ったワインを振り返ると「ビオワイン」の認証マークが入っているものが多くありました。

ただ、認証マークを理由に選んでいたわけではありません。むしろ以前は、「自然派ワイン」と聞くと、どこかクセが強く、飲みにくいのではないかというイメージを持っていました。ところが、実際にビオワインの認証マークのあるワインを飲んでみると美味しいと感じるワインばかり。

自然派ワインとは、どのようなワインなのでしょうか。ビオワインやナチュラルワインとは何が違い、どのような魅力があるのでしょう。この記事では自然派ワインの特徴や栽培方法などを解説します。ぜひ新たな楽しみ方の参考にしてください。

自然派ワインとは?

ワインとぶどう

環境への配慮やブドウ本来の味わいを楽しめるワインとして関心が高まる一方、「一般的なワインとは何が違うのか」「ビオワインとは同じものなのか」と疑問に思う人もいるでしょう。

自然派ワインをより深く楽しむためにも、まずはその基本的な意味と、関連する用語との違いを整理してみましょう。

自然派ワインとは?

自然派ワインとは、ブドウの栽培やワインの醸造において、自然の力を尊重する考え方を重視したワインの総称です。化学肥料や農薬の使用を抑えた栽培、野生酵母を利用した発酵、醸造時の人為的な介入をできるだけ減らす方法など、さまざまな取り組みが見られます。

ただし、自然派ワインには世界共通の明確な定義や、すべての生産者が従う統一された認証制度があるわけではありません。そのため、自然派ワインと呼ばれるものでも、栽培方法や醸造方法、使用する資材には違いがあります。

つまり、自然派ワインは特定の製法に限定されたものではなく、自然環境やブドウの個性を尊重する姿勢を軸にした、幅広いワインのカテゴリーといえるでしょう。

ナチュラルワイン・ビオワインとの違い

自然派ワインと似た言葉に、「ナチュラルワイン」や「ビオワイン」があります。これらは重なる部分が多いものの、言葉が指す範囲や、重視される基準には違いがあります。 

自然派ワイン 自然な栽培や醸造を重視するワインの総称 
ナチュラルワイン 醸造時の人為的な介入をできるだけ抑え、ブドウや酵母の力を生かす考え方を重視するワイン 
ビオワイン 有機栽培で育てたブドウを使用したワインや、有機認証を取得したワイン 

ナチュラルワインは、栽培だけでなく醸造時の介入を抑える姿勢に重点が置かれる傾向があります。 一方、ビオワインは、化学肥料や農薬の使用を制限するなど、ブドウの栽培方法に基準を置いて捉えるとわかりやすいでしょう。 

ただし、これらの呼び方には統一された定義がない場合もあり、国や生産者、販売店によって意味合いが異なります。名称だけで判断するのではなく、ラベルや生産者の説明を確認することが大切です。

自然派ワインの特徴

自然派ワインの特徴

自然派ワインは、栽培や醸造へのこだわりが味わいや香り、ワインの個性にも表れます。また、自然環境やブドウづくりに配慮する生産者が多いことも特徴です。ここでは、自然派ワインを楽しむうえで知っておきたい主な特徴を紹介します。

ブドウや土地の個性が表れた幅広い味わいを楽しめる

自然派ワインの魅力の一つは、ブドウの品種や産地、生産者のこだわりによって生まれる、個性豊かな味わいです。果実の風味や酸味、ミネラル感が感じられるものから、複雑な香りや旨味を持つものまで、その味わいは多岐にわたります。

なかには、微発泡や濁りのあるタイプ、独特の香りを持つものもあり、一般的なワインとは異なる表情に出会えることも。同じ品種や産地でも、つくり手によって異なる味わいを楽しめることが、自然派ワインのおもしろさです。

自然環境やブドウづくりに配慮する生産者が多い

自然派ワインの生産者には、化学肥料や農薬の使用を抑えたり、土壌の状態や生態系を大切にしたりするなど、環境への配慮を重視する人が多くいます。

例えば、ブドウ畑に草を残して土壌の乾燥を防ぐ、堆肥を活用して土の健全性を保つ、畑に生息する生物の多様性を守るといった取り組みが挙げられます。また、醸造においても、ブドウ本来の力を生かすために、酵母や添加物の使用を必要最小限にとどめる生産者もいます。

ただし、すべての自然派ワインが同じ方法でつくられているわけではありません。生産者ごとに考え方や取り組みは異なるため、ラベルや公式サイトなどから、そのワインがどのようにつくられているのかを知ることも楽しみの一つです。

自然派ワインだけじゃない、ワイン業界が持つ2つの環境課題

自然派ワインだけじゃない、ワイン業界が持つ2つの環境課題

ワインはブドウという自然の恵みからつくられますが、栽培から醸造、瓶詰め、輸送までの過程では、さまざまな環境負荷が生じます。また、気候変動によってブドウの生育環境が変化し、ワインづくりそのものが影響を受けるケースもあります。ここでは、自然派ワインに限らず、ワイン業界全体が抱える環境課題を紹介します。

ワインボトルや包装・輸送による環境負荷

ワインには、ガラスボトルやラベル、化粧箱など、さまざまな包装資材が使われています。なかでもガラスボトルは、製造時に多くのエネルギーを必要とします。また、ワインは液体を重量のある容器に入れて運ぶため、輸送時にも温室効果ガスが排出されます。

そのため、ワイン業界では、軽量ボトルの採用や包装の簡素化、輸送方法の見直しなど、製造や流通の段階から環境負荷を減らす取り組みが求められています。

自然派ワインを選ぶ際も、ブドウの栽培方法や醸造方法だけでなく、ボトルや包装にどのような資材が使われているかに注目すると、より幅広い視点で環境への配慮を考えられるでしょう。

気候変動によるブドウ栽培への影響

ワインづくりは、気温や降水量、日照時間などの自然条件に大きく左右されます。近年は、気温上昇や干ばつ、豪雨などの異常気象によって、ブドウの生育環境が変化しています。

気温が高くなりすぎると、ブドウの成熟が早まり、糖度と酸味のバランスが崩れることがあります。また、干ばつによる水不足や、異常気象による収穫量の減少など、ワインの品質や安定した生産にも影響を及ぼします。

こうした状況を受け、ワイン生産者の間では、土壌の状態を整える栽培方法や、生態系に配慮したブドウ畑の管理など、持続可能な生産を目指す取り組みが広がっています。環境負荷を減らすだけでなく、変化する自然環境のなかで、将来にわたってワインをつくり続けるための工夫が求められているのです。

また、ワイン業界では、環境への取り組みを示すさまざまな認証制度が存在します。ただし、認証ごとに基準や対象となる取り組みは異なるため、「サステナブル」や「自然派」という言葉だけで判断せず、生産者がどのような考え方でワインをつくっているのかを知ることも大切です。

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自然派ワインを醸造しているおすすめメーカー

自然派ワインを醸造しているおすすめメーカー

自然派ワインの魅力を知るには、実際にワインをつくっている生産者に目を向けてみるのも一つの方法です。国内にも、土地やブドウの個性を生かし、それぞれのスタイルで自然派ワインを醸造しているメーカーがあります。ここでは、注目したい3社を紹介します。

ドメーヌ・ヒデ

ドメーヌ・ヒデは、山梨県南アルプス市を拠点に、自然の恵みを生かしたワインづくりに取り組むワイナリーです。「天・地・人」をコンセプトに、雨の多い日本の気候、山梨の土地、そしてつくり手の技術や感性を大切にしています。

ブドウ栽培では、土地や気候に合わせながら、ブドウが本来持つ力を尊重した栽培を実践しています。醸造においても、昔ながらの足踏みでブドウを搾るなど、自然な方法を取り入れていることが特徴です。

山梨の風土や日本ならではの気候を生かしたワインに興味がある人におすすめの生産者です。ワインの味わいだけでなく、「天・地・人」という考え方や、つくり手の丁寧な仕事にも注目すると、より深く楽しめるでしょう。

ハッコーショオ

ハッコーショオは、新潟県新潟市の新潟ワインコーストにあるワイナリーです。ワイナリー名には、発酵を意味する「ハッコー」と、フランス語で「暑い」を意味する「ショオ」が使われています。名前にも、ワインづくりにおける発酵への関心が表れています。

ハッコーショオでは、ブドウや酵母の働きを尊重し、できるだけシンプルなワインづくりを重視しています。醸造家がすべてをコントロールするのではなく、発酵の過程で生まれる変化や、ブドウが持つ個性を生かすことを大切にしています。

発酵によって生まれる複雑な香りや、ヴィンテージごとの味わいの違いを楽しみたい人におすすめの生産者です。決まった味わいに整えられたワインとは異なる、自然派ワインならではの個性に出会えるでしょう。

駒園ヴィンヤード

駒園ヴィンヤードは、山梨県甲州市塩山にある、1952年創業のワイナリーです。自社畑を中心に、地元の契約農家が育てたブドウを使用し、山梨県産ブドウを100%使用したワインづくりにこだわっています。

ブドウ栽培では、ビオロジック(有機農法)を実践しています。畑の雑草を生かした土壌管理などを通じて、ブドウが健やかに育つ環境を整え、土地の力を生かした栽培を目指しています。醸造でも、ブドウそのものの個性を引き出すことを重視しています。

山梨県産ブドウの魅力を味わいたい人や、有機栽培に取り組む生産者のワインを選びたい人におすすめです。長い歴史を持つワイナリーとしての経験と、地域のブドウを生かしたワインづくりの両方に注目できる生産者です。

自然派ワインを楽しむときには~おすすめのペアリング~

自然派ワインを楽しむときには~おすすめのペアリング~

自然派ワインを楽しむ際は、ワインの色や味わいに合わせて料理を選ぶと、より魅力を引き出せます。自然派ワインは味わいの幅が広いため、魚介料理や肉料理だけでなく、和食やエスニック料理など、さまざまな食事と合わせられます。

ここでは、自然派ワインと相性のよい料理や、環境に配慮した楽しみ方を紹介します。

白・オレンジワインは魚介料理やエスニック料理

白ワインは、魚介類や野菜を使ったあっさりした料理と合わせやすいワインです。白身魚のカルパッチョやマリネ、アクアパッツァ、魚介のパスタなど、素材の繊細な旨味を生かした料理と好相性です。爽やかな酸味を持つ白ワインなら、料理の味を引き締め、後味をすっきりと整えてくれます。

オレンジワインは、白ブドウを果皮や種とともに発酵させることで、白ワインのような酸味に加えて、ほどよい渋味やコクを持つことがあります。そのため、魚介料理だけでなく、スパイスを使ったエスニック料理や、味噌・醤油などを使った料理とも合わせやすいのが特徴です。

例えば、白ワインには魚介のマリネや野菜のサラダ、オレンジワインには生春巻き、スパイスカレー、エスニック風の炒め物などがおすすめです。オレンジワインは味わいの幅が広いため、料理の濃さや香りに合わせて選ぶとよいでしょう。

赤ワインは肉料理や旨味のある料理

赤ワインは、肉料理や、きのこなどの旨味が強い食材を使った料理と合わせるのが定番です。特に、果実味や渋味がしっかりした赤ワインには、牛肉のステーキや煮込み料理、ジビエなど、味わいに厚みのある料理がよく合います。

一方で、自然派ワインの赤には、軽やかでフレッシュな味わいのものもあります。その場合は、焼き鳥や豚肉のグリル、ハンバーグなど、比較的軽めの肉料理を合わせると、ワインと料理のバランスを取りやすくなります。

また、きのこのソテーや根菜のローストなど、土の香りや深い旨味を感じられる料理も、赤ワインと相性のよい組み合わせです。ワインの重さと料理の味の濃さをそろえることを意識すると、ペアリングを楽しみやすくなります。

規格外野菜を選び、食品ロス削減にもつなげる

自然派ワインとのペアリングを楽しむ際は、料理に使う食材にも目を向けてみましょう。例えば、形や大きさが不ぞろいな規格外野菜や、旬を迎えた食材を選ぶことは、食品ロスの削減につながります。

食品スーパーのライフコーポレーションでは、食品ロス削減の取り組みとして、販売期限が近い商品の値引き販売や「てまえどり」の呼びかけ、子ども食堂などへの食品寄贈を行っています。また、自治体と連携し、規格外の農産物などを活用した商品開発にも取り組んでいます。

例えば、購入した野菜を使ってラタトゥイユやグリル料理をつくれば、白ワインやオレンジワインと合わせられます。きのこや根菜を使った料理なら、軽めの赤ワインとのペアリングも楽しめるでしょう。

自然派ワインを楽しむ時間に、食品ロス削減につながる食材を取り入れてみてはいかがでしょうか。ワインと料理の組み合わせを楽しみながら、日常の食卓で無理なく環境への配慮を実践できます。

日本の「自然派ワイン」は明確な定義がない

ワイナリーのぶどう

EUでは、オーガニックワインなどに関する一定の基準や認証制度が設けられています。一方、日本では「自然派ワイン」と呼ぶための統一された明確な基準や公的な認証制度はありません。

そのため、自然派ワインという名称だけでは、どのような栽培方法や醸造方法でつくられたワインなのかを判断するのが難しい場合があります。

  • 有機栽培やビオディナミ農法など、環境や土壌に配慮してブドウを栽培したワイン
  • 野生酵母を使うなど、醸造時の人為的な介入をできるだけ抑えたワイン
  • 亜硫酸塩などの添加を抑え、ブドウ本来の味わいを生かしたワイン

つまり、「自然派ワイン」という名称だけでは、具体的な栽培方法や醸造方法まで判断することはできません。

自然派ワインを選ぶ際は、名称だけで判断するのではなく、どのようなブドウを使い、どのような考え方でつくられているのかを確認することが大切です。自分が自然派ワインを選びたい理由を整理しておくと、ワインショップなどで相談する際にも、好みに合った一本を見つけやすくなるでしょう。

まとめ|自然派ワインの特徴や違いを知って自分に合う1本を選ぼう

摘み取ったぶどう

自然派ワインは、ブドウの栽培方法や醸造方法などにこだわり、土地やブドウ本来の個性を生かしてつくられるワインです。日本では「自然派ワイン」に統一された定義がないため、生産者によってその考え方やつくり方にさまざまな違いがあります。

そのため、自然派ワインを選ぶ際は、ナチュラルワインとの違いや、ブドウの栽培方法、醸造方法などを知ることで、自分の好みに合ったワインを見つけやすくなります。また、ワイン業界が抱える環境課題や、生産者の取り組みに目を向けることも、自然派ワインをより深く楽しむきっかけになるでしょう。

今回紹介したメーカーやペアリングを参考に、様々な自然派ワインを楽しんでみて、自分に合うお気に入りの1本を見つけてみてください。

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