はじめての座禅体験のススメ|古来の知恵で心をデトックスしよう
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ストレスフルな現代においては、マインドフルネスや心を落ち着かせることが注目されるようになっています。
その方法は様々で、最近ではサウナで調うことが流行したり、ヨガに根強い人気があったりします。また、断捨離など余計な物を持たないことが注目されるのも、余計なことを考えずに生活することが目的ともいえるでしょう。
さまざまなマインドフルネスの方法があるなかで、最近一部の層に流行り始めているのが座禅です。筆者は毎日、寝る前に座禅をし、気持ちのリセットをしてから就寝します。マインドフルネスという観点からの座禅について、魅力を説明をします。
悟るのではなく、調心・調息・調身が基本
まず、心を調える(調心)ために座禅を行います。そのためには体の余計な力を抜いて、息を深くすることが必要です。体に力が入っているのは緊張状態で、リラックスすることができません。
また、息が早く短くなっているのも力が入っている証拠になります。深くゆっくりとした呼吸を行いましょう。そのためには胸で行う呼吸ではなく、お腹を膨らましたり、引っ込めたりして行う腹式呼吸を行うと良いです(調息)。
実際に、このような呼吸法を行ってみるとわかりますが、お腹のまわりにしっかりとした空間がないと、うまく腹式呼吸で深い呼吸ができません。別の言い方をすると、猫背のような姿勢だと、お腹が潰れてしまっていて、深い呼吸を行おうとしても、できないのです。姿勢を正す(調身)ことで、お腹のまわりの空間ができ、ゆっくりとした腹式呼吸ができるようになります。
このように、心を整えるためには、深いゆっくりとした呼吸が必要で、そのためには正しい姿勢をすることが重要ということがわかってきます。
緊張する場面になった場合も、姿勢と呼吸を整えることで、心を落ち着かせることができるようになります。
そもそも正しい姿勢とは?
正しい姿勢をしてください、と言われると、背中に力を入れて背筋をピンっとする人が多いのです。しかしこれは間違いです。力を入れているので疲れてきてしまい、すぐに背筋が曲がってしまいます。
正しい姿勢とは、頭の重心を背骨が受け止め、それを骨盤でしっかり受け止められる姿勢のことです。頭の重心を背骨、骨盤が一直線になって支えているので、力を入れなくても背筋がまっすぐになるのです。
そのために必要なのが、骨盤を立たせるという感覚になります。
猫背の方の場合は「腰をしっかり入れる」ことがポイント
猫背の方は、背中に手を回し、腰骨の少し上を触って見てください。少し飛び出ている背骨があるのが分かると思います。この部分をしっかりとお腹側に押し込むようにすると、腰骨を立たせることができます。
また、耳が肩の上に来るように頭の位置を調整すると、頭、背骨、骨盤が一直線となり、背中に力を入れなくても、背筋を正すことができます。ポイントは、腰をしっかり入れることと頭の位置を気にすることだけです。
正しい姿勢になっているかを確認するには?
正しい姿勢になっているか確認をする方法があります。
- 肩幅に足を開いて立つ
- 腰と頭の位置を確認して、上半身の力を抜く
- そのまま、思いっきりつま先立ちをする
姿勢が正しく、頭、背骨、骨盤がしっかりとした位置にあれば、上半身の力を抜いて、そのまま立っていることができます。姿勢が崩れていれば、すぐに前後にバランスが崩れてしまいます。
あぐらではない結跏趺坐(けっかふざ)|半跏趺坐(はんかふざ)、正座、椅子でもOK!
姿勢と呼吸が分かったところで、座禅を組んでみましょう。
服装は体への締め付けがないものが良いです。家でやるのであれば、どんな格好でも良いでしょう。あとは座布団やクッションなどお尻の下に敷くのがおすすめです。
あぐらの体勢は、実は間違い
座禅を組む時にあぐらをしている人がいますが、これは間違いです。正式には結跏趺坐(けっかふざ)と呼ぶ足の組み方となります。
結跏趺坐の組み方は、まず左右どちらかの足を反対側の太ももの上にのせます。かかとがお腹にくっつくよう、足を引き付けます。足の甲が太ももと接触し、足の裏が上を向きます。もう片方の足も、身体の前面で交差させるようにして、同様に反対側の足の太ももの上にのせます。
そのため、両足の裏は上を向きます。あぐらと異なる点は、膝が上がらないことです。
結跏趺坐を試してみる方法
結跏趺坐を組んだら、お尻の下に用意してあった座布団やクッションを敷きます。この時、膝が床に付くように座布団やクッションの位置を調整してください。両膝とお尻の安定した3点で上半身を支えることができるようになります。
あぐらだと、両膝をつけることができないので、非常に不安定な土台になってしまいます。まず結跏趺坐を試してみてください。
体が硬い人には半跏趺坐
しかし、股関節や足首が硬い方はできないと思います。その場合は、片足のみ太ももの上に乗せて、もう片方の足は、太ももの上に乗せた足の下に置いてください。
これを半跏趺坐(はんかふざ)と言います。
「結跏趺坐が良い、半跏趺坐はダメ」というものではないです。体が硬かったり、怪我をしていたりなどで半跏趺坐もできない方は、正座でも椅子に座ってでも、座禅はできます。
座禅は我慢比べではないので、自分が心を落ち着かせて座っていられる形であればOKです。
椅子で坐禅することも可能
椅子で座禅をする場合は、座面がまっすぐのものを選び、足裏を床につけた際に、膝が垂直で太ももが座面に接するものにしましょう。
椅子が高すぎて足がぶらついてしまったり、椅子が低すぎて太ももが浮いてしまったりすると正しい姿勢を維持しづらくなります。
手の組み方も、眼も、まずはやりやすい方法から
手の組み方は、右の手のひらの上に左の手のひらを置き、それぞれの親指の先を軽く触れ合わせます。これを法界定印(ほっかいじょういん)と言います。上半身に力が入っていると親指がぶつかり合って尖っていきます。
逆に寝たり、集中できていないと、親指が離れたり、親指が下がっていったりするので、座禅に集中できているかが一目瞭然となります。
ただし慣れていないと難しいので、法界定印ができないと思ったら、手を組み合わせるだけでも構いません。組み方は、左手の親指を、右手の親指と他の4指でそっと挟み、左手の他の指で右手を包み込みます。
眼は半眼と言い、半分だけ開けて、畳半畳分(90cm先)を見ると良いとされています。ただし、半眼だと寝てしまうのであれば目を開けておいた方が良いです。
また、90cm先だと首が曲がってしまうのであれば、さらにその先を見ておけば良いでしょう。
座禅中に無は無理。思ったことを追わないことが大事
姿勢も整い、足を組んだら、座禅がスタートです。時間は線香が1本燃え尽きる時間、一炷(いっちゅう)と言われる概念が坐禅では使われており、40分〜1時間です。ただし、初めてだと、足がしびれたりするので、できる範囲で行うようにしましょう。
座禅中は数息観(すそくかん)をすることで、余計なことを考える余地を減らします。数息観は自分の呼吸を吸って吐いてを1として、その数を数えていきます。1から10まで数えたら、また1から数え始めます。
途中で、「次は3?4?」と分からなくなったら、1から数え直します。「何回1から10まで数えることができたか」「途中で分からなくなることがなかった」は関係ありません。余計なことに捉われることがないように心を調えることこそが座禅の本分となります。
数息観を行なっていても、座禅中に色々なことが頭に浮かんできます。
頭に浮かぶことは問題ないので、「無になれなかった」「雑念が〜!」などのように考えてしまい、心を乱さないようにしましょう。そもそも座禅中に「無になろう」や「雑念を追い払おう」と考える自体が、雑念にとらわれていることになります。
例えば「明日、あの仕事をしないと」と頭に浮かんだら、それで良いのです。そのあとに「その仕事の関連で〇〇さんに連絡をしないと」「けど、その前に△△さんに確認を取らないと」とか、考えてしまうことがよくないのです。頭に浮かんだことに捉われず、追いかけずにそのままにしておくのです。
お寺で座禅ができるところも多いため、身近に取り入れてみよう
このように、座禅は、特別な道具が必要なわけでもなく、家の隙間時間で行うことができるマインドフルネスです。まずは10分からでもやってみてはいかがでしょうか。
そして、慣れてきたら、家や会社の近くのお寺で座禅の体験をやっているところを探して見るのも良いでしょう。
「地名 参禅会」と検索すると、結構な数のお寺さんが座禅の会を行っています。平日、会社の近くの座禅の会に参加したり、土日に家の近くのお寺で参加したり、自由に参加できます。1つのお寺に行ったら、他のお寺に行ってはいけないというような縛りはありません。
宗派によって座禅のやり方などが異なるところもあるので、色々と参加してみて、自分にあったお寺に通うのも良いでしょう。