空気が最もきれいな国ランキングが発表!環境保全が進む国々とその理由
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私たちが生きていくために欠かすことのできない空気。近年、大気汚染は私たちが直面する深刻な環境問題として、メディアなどでも多く取り上げられています。
さて、世界の人口に関わるさまざまなデータを扱うWorld Population Reviewから、2024年の「空気がきれいな国ランキング」が発表されました。本記事では、ランキングトップ5の国と日本の順位をご紹介していきます。
空気をきれいにするためには、どのような取り組みが必要なのでしょうか?ランキングをチェックしながら、ぜひ考えていきましょう。
空気がきれいな国とは?
空気の清浄度は、どのような基準で評価されるのでしょうか?
世界保健機関(WHO)は、令和3年9月に「WHO global air quality guidelines(AQG)」という大気環境についての新しいガイドラインを発表しました。
大気汚染は、呼吸器疾患や脳卒中などの健康リスクを高めます。このガイドラインでは、健康に悪影響を及ぼすとされる6つの大気汚染物質〔二酸化硫黄(SO2)、一酸化炭素(CO)、浮遊粒子状物質(SPM)、二酸化窒素(NO2)、光化学オキシダント(Ox)、微小粒子状物質(PM2.5)〕について、クリアすべき目標数値が示されています。
空気が最もきれいな国ランキングトップ5
World Population Reviewが発表した2024年の「空気がきれいな国」ランキングは、1位エストニア、2位ルクセンブルク、3位ドイツ、4位フィンランド、5位英国でした。
エストニア
ヨーロッパ北東部のバルト三国の1つであるエストニア。国土面積は日本の約9分の1で、その半分以上を森林地帯が占めています。
エストニアで1番古い公園であるラヘマー国立公園がある地域は、1万年以上前の氷河期からの自然が残存しているといわれています。
この緑あふれる環境が、大気汚染の少なさに繋がっているのでしょう。
ルクセンブルク
ルクセンブルクは、ドイツ、フランス、ベルギーに囲まれた内陸国です。国土面積は日本の神奈川県ほどと小さいながらも、豊かな自然に恵まれている国です。
「森と渓谷の国」と称されており、美しい景観が人々を魅了させています。
ドイツ
ドイツは、日本とほぼ同じ面積を持つ国で国土の約30%が森林となっています。1970年には、大気汚染や酸性雨の影響で多くの森林が失われました。
それがきっかけとなり、国は環境保護対策に力を入れ、今では「環境先進国」として知られるようになりました。
フィンランド
サンタクロースやオーロラで有名な北欧に位置するフィンランド。
フィンランドは、陸地の70%ほどを森林が占め、湖水面積は約10%となっていることから「森と湖の国」と呼ばれています。また、4年連続でSDGs達成度ナンバー1を獲得しており、国民にSDGsの意識が定着している国といえるでしょう。
英国
英国というと、ファッションや文化の最先端で工業が盛んというイメージを持つ人も多いのではないでしょうか?
首都ロンドンは言わずと知れた大都市ですが、実は広大で緑豊かな公園が多数あります。その数は、なんと3000ほど。また、英国ではガーデニングを趣味で楽しむ人も多く、緑とともに生活するスタイルが根付いている国です。
空気がきれいな国々の共通点
先述の通り、空気がきれいな国ランキングの上位はヨーロッパの国々です。ここでは、空気がきれいな国の共通点を見ていきましょう。
森林面積の豊富さ
まず、ランキング上位の国に共通する点は森林面積の広さです。緑の多さと空気のきれいさには密接な関係があります。
みなさんも森のなかに身を置いたときに、空気が澄んでいておいしいと感じた経験があるのではないでしょうか?
それは、森林には空気をきれいにする働きがあるからです。森に生えている木や植物は光合成によって二酸化炭素を取り入れ酸素を発生させています。
そのため、森林が多いエリアでは空気が浄化されているのです。
再生可能エネルギーの利用促進
ヨーロッパでは、再生可能エネルギーの利用が進められています。
再生可能エネルギーは、石油や石炭といった化石燃料を用いた発電方法とは違い、温室効果ガスや環境汚染物質の排出を大幅に抑えられます。
具体的な発電方法として、太陽光発電や風力発電が挙げられます。太陽光発電は、太陽光パネルを利用して太陽光の光エネルギーを電気に変える発電方法のことです。
風力発電は、風の力を利用して大きな風車を回すことで発電させる方法です。
いずれの発電方法も、エネルギー資源が枯渇する恐れがなく環境への負荷も少ないことがメリットといえるでしょう。
厳しい環境保護政策
ランキング上位国は、国を挙げて環境保護政策に取り組んでいます。
例えばドイツでは、1960年代から屋上緑化が進められており、毎年1000万㎡ほど拡大しているそうです。また、緑地の減少対策としてドイツでは「建築の際に緑地を利用した場合は、失われた分の緑地を別で補填すること」という建築法もあります。
その他にもイギリスでは、2019年に「大気浄化戦略」を発表しました。
これは、PM濃度がWHO基準を超えるエリアに住んでいる人を、2025年までに半数に減らすことを目標に掲げています。
政府の取り組みは、国民の環境に対する意識の向上にも繋がり、結果として空気の美しさにも反映されていくのではないでしょうか。
日本の順位は「27位」という結果に
空気がきれいな国ランキングでは、日本は180カ国中27位と残念ながら低い結果でした。
日本では、美しい空気を守るため、昭和43年に「大気汚染防止法」が定められました。
この法律では、工場等から排出される大気汚染物質に関して、その種類や事業場の規模によって物質の排出基準が決められています。
政府が行う環境対策も大切ですが、やはり必要なのは1人ひとりが環境問題に対して意識を向ける姿勢です。
ヨーロッパ各国では幼い頃から環境保全を意識した教育がなされています。
大人はもちろんのこと、未来を担う子どもたちへの環境教育はますます必要になるでしょう。
まとめ
空気がきれいな国は、もともと緑が豊かな地域が多いですが、自然を大切にしていこうとする人々の努力なしには美しさは保たれません。
今を生きる私たちや次世代が健やかに生きていくためにも、私たちの手で空気を汚したくはないですよね。
きれいな空気を守るための第一歩として、環境問題に意識を向けることが重要です。
環境保全のために自分たちができることを考え、生活を見直しつつ小さなことからアクションを起こしていきましょう。