エシカル消費で注目の「フェアトレード」商品例や認証マーク、課題を解説
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みなさんは、フェアトレード商品を購入したことがありますか?
スターバックスコーヒーやイオン、コンビニエンスストアなど身近なお店でもフェアトレードの飲料やお菓子の取り扱いが増えているので、意識せずとも購入している方がいらっしゃるかもしれません。
今、世界中でエシカル消費(人・社会・地域・環境に配慮した消費行動)が広がりを見せています。
今回は、SDGsの観点からも注目される「フェアトレード」の背景や商品の見分け方、今後の課題について解説していきます。
フェアトレードの例
フェアトレード(Fair trade)とは、ひとことで言えば「公正な貿易」。生産者・労働者の自立を支援する仕組みです。
開発途上国の生産地で人や環境に配慮した方法で作られた原料や製品を、適正な価格で継続的に購入することにより、立場の弱い生産者・労働者の自立を支援しています。
貧困対策や児童労働の削減、環境保護など世界が直面している課題解決に寄与する「フェアトレード」。
SDGsの掲げるスローガン「誰一人取り残さない」ことを目指す貿易の形です。
フェアトレード商品の例
コーヒーや紅茶、チョコレートや砂糖、バナナ、衣服などの綿製品、サッカーボールなど、フェアトレード商品は幅広い分野にわたります。
国内でのフェアトレードの普及・啓発活動を行う特定非営利活動法人フェアトレード・ラベル・ジャパンの発表によると、世界では1兆2,776億円ものフェアトレード製品が販売されていますが、日本の市場規模は158億円しかありません。
日本において「フェアトレード」は拡大しているものの、先進国では最下位です。
主な理由として、次のような事柄が挙げられます。
- フェアトレード認証製品の種類が他国に比べて圧倒的に少ない
- 本当にフェアトレード商品なのかわかりづらい
- 本当に生産者の役に立っているのか不透明
- 商品の値段が高い
フェアトレードの歴史的背景
第2次世界大戦後にアメリカの国際協力NGOが、プエルトリコの女性たちの生活支援として、手工芸品を購入・販売したことがきっかけではじまったフェアトレード。
その後、植民地時代から続く先進国と開発途上国の不公平な関係性を変えるための貿易の仕組みとして世界に広がりました。
開発途上国のリアルな現場は、私たちの想像を超える過酷なものです。優位な立場にある先進国の買い手により、長時間の強制労働や児童労働を強いられ、低賃金や未払いなど、劣悪な労働環境および環境破壊の問題が引き起こされてきました。
フェアトレードによる取引では、適正価格の保証・プレミアム(奨励金)の支払い、児童労働の禁止、環境に配慮した生産などが行われます。
世界や日本の市場拡大、しくみ
私たち消費者は、どのようにしてフェアトレード商品を見分ければいいのでしょうか。
信頼できるものとして、商品に付いている認証ラベルがあります。
独自の基準を持つフェアトレード団体や、コスト面から認証を受けていない小規模な団体など、情報開示をしながらフェアトレードに取り組む団体もあります。
フェアトレード・ラベル・ジャパンによると、日本でも、2020年は131億円規模の市場となり、コロナ禍においても前年比106%となりました。
WFTO認証ラベル
商品ごとではなく、組織全体でフェアトレード基準を順守している場合のみ取得できる
国際フェアトレード認証ラベル
「フェアトレード最低価格」と生産地域の社会発展のための資金「フェアトレード・プレミアム」を生産者に保証している
「フェアトレード・サーティファイド」(Fair Trade USAによる認証)
日本で流通している認証ラベルとして、アウトドアウェアブランドのパタゴニアが取得
フェアトレードタウンって何?
1972年に東京で設立されたバングラデシュとネパールを支援するNGO団体「シャプラニール」が、1974年に洪水災害で困窮した農村の女性たちが作る手工業品を日本で販売したのが日本でのフェアトレードの始まりとされています。
以降、日本でもフェアトレード事業を手掛ける会社・団体が増えました。
行政でも、公正な取引で格差のない社会を実現しようとする「フェアトレードタウン」認定を目指す動きが始まり、2011年、熊本市を日本初のフェアトレードタウンに認定。2020年9月までに5つの市も認定を受けました。
市民、行政、企業・商店などが一体となって、地域全体でフェアトレードの普及に取り組み、サステイナブル(持続可能)な街づくりを目指しています。
学食でのフェアトレードコーヒー販売、学生たちが大学オリジナルのフェアトレード商品の企画・販売を行う「フェアトレード大学」や、高校以下の「フェアトレードスクール」の認定など、ユニークな取り組みもあります。
フェアトレードの課題と問題点
日本でのフェアトレード認知度
一般社団法人日本フェアトレード・フォーラムの調査によると、「フェアトレード」という言葉は若い世代になるほど認知されているようです。
若年層は他の年代と比較をしても、購入する製品や就職先などのサステナビリティ観点を重視する傾向にあり、今後の産業界のサステナビリティの取組み拡大の後押しになっていくと考えられる。
(参照:【国内海外フェアトレード市場動向】国内市場規模131.3億円とコロナ禍にも関わらず伸張/PR TIMES/
グリーンウォッシュ
グリーンウォッシュとは、環境に配慮したイメージを連想させる「グリーン」と、ごまかす・うわべの意味「ホワイトウォッシュ」を組み合わせた造語。環境意識の高い消費者に誤解を与えるグリーンウォッシュのケースが増えています。
企業や団体においては情報開示の透明性が求められ、また消費者側も、購入したい商品に偽りがないかを確かめる必要があります。
参照:Forbes JAPAN/「グリーンウォッシュ」の7つの罪と、それ以上の危機/
まとめ
サステイナブルな未来への選択の一つに、フェアトレードがあることを紹介しました。
フェアトレードの目的や背景、課題を知ったことで、フェアトレードを身近なモノとして感じていただけたかと思います。
買物は「投票」。
いつも行くお店にフェアトレード商品が置かれているか、普段何気なくつかっているアクセサリーやバッグ、お気に入りのコーヒーやチョコレートなどに認証マークがついているかどうかなど、ぜひ一度確認してみてくださいね。
私たちの選択が、より良い未来につながります。