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「今夜こそぐっすり眠りたい」と願っているのに、布団に入ると目が冴えてしまう。寝つきが悪かったり、夜中に何度も目が覚めたり…。睡眠に関する悩みは、本当につらいものですよね。
そのような時、「アロマが良いらしい」と耳にしたことがあるかもしれません。でも「本当に香りで睡眠の質が上がるの?」「どう使えばいいの?」と疑問に思う方も多いでしょう。結論から言えば、アロマ(精油)は睡眠の質を高める強力なサポーターになります。ただし、それには理由があり、適切な使い方と「選び方」が重要です。
この記事では、眠りにくさでストレスを感じる方のために、下記をご紹介します。
質の良い睡眠は、心と体のウェルネスの土台。その選択が、自分にも地球にも優しい「エシカル生活」の第一歩になるかもしれません。

「たかが香りで?」と思うかもしれませんが、嗅覚は五感の中で最も本能的と言われています。
私たちが香りを嗅ぐと、その芳香成分は鼻の奥にある「嗅上皮(きゅうじょうひ)」に付着します。その信号は、思考や理性を司る「大脳新皮質」を経由せず、感情や本能を司る「大脳辺縁系」や、自律神経をコントロールする「視床下部」に直接届きます。
これは香りが直接脳の深い部分に働きかけ、日中に活動的になる交感神経を抑え、リラックスを誘う副交感神経を優位にしてくれます。日中の緊張やストレス、不安などで「交感神経」が高ぶったままでは、スムーズな入眠は望めません。
アロマは、そのスイッチを自然に切り替える手助けをしてくれる「お休みモードへのサポーター」なのです。
参考:日本脳科学関連学会連合

では、就寝前に心を落ち着けたいときに人気の香りをご紹介します。ゆったりとした時間を過ごしたい夜にぴったりな、代表的なアロマ(精油)を5つピックアップしました。
ラベンダーは「おやすみ前に使いたい香り」として人気の高いアロマのひとつ。科学的な研究データも比較的豊富です。
穏やかでフローラルな香りは、心の緊張をほぐし、深いリラックス感を感じる人が多い香りです。「アロマは初めて」という方にもおすすめです。
ベルガモットは紅茶のアールグレイの香りづけにも使われる、爽やかな柑橘系の香り。明るい気持ちになりたいときや、リラックスタイムに取り入れる人も多い人気のアロマです。
不安や心配事で頭がいっぱいの夜に、取り入れてみてください。
※注意:ベルガモットには「光毒性(肌につけて日光に当たるとシミになる性質)」があるため、日中使用は注意が必要ですが、夜に香らせる分には問題ありません。
カモミール・ローマンは、リンゴのような甘く優しい香り。気持ちをやわらげたいときに取り入れやすく、疲れやイライラで眠れない夜におすすめです。お子様の寝かしつけにも使われるほど穏やかな香りです。
白檀とも呼ばれるサンダルウッドは、お香にも使われる重厚でウッディな香り。線香の香りとして使われていることも多いため、知っている方も多いのではないでしょうか。サンダルウッドは心のざわつきを鎮め、深い安定感をもたらします。
瞑想にも使われる香りで、呼吸を深くしたい時にもぴったりです。
ネロリとは、ビターオレンジの花から抽出される優雅で少し苦みのあるフローラルな香り。緊張感が強いときのリラックスタイムに好まれています。

アロマは「難しそう」と思われがちですが、使い方はとても簡単です。
アロマディフューザーは寝室全体に香りを広げたい場合に適しています。超音波式など熱を使わないタイプなら、就寝中も安全です。寝る30分ほど前から寝室に香らせておくと、部屋に入った瞬間からリラックスできます。
また、ティッシュやコットンを使用するのは最も手軽な方法です。ティッシュやコットンに精油を1〜2滴垂らし、枕元に置くだけ。出張や旅行先にも持っていきやすく、おすすめです。
筆者が実践しているのはアロマスプレーです。精製水と無水エタノール、精油で作ることもできますが、市販のピローミストも便利です。枕や寝具にシュッと一吹きするだけで、優しい香りに包まれます。特に、ベッドに入る前に無印良品などで販売されているスプレーを吹きかけるのがおすすめです。
アロマは心身に優しく作用しますが、100%天然の植物成分が凝縮された「高濃度の液体」でもあります。特に睡眠時に使う際は、安全性を最優先することが、結果として最高のリラックスに繋がります。
心地よく、そして安全にアロマの恩恵を受けるために、以下の4つの点は必ず守ってください。
精油(エッセンシャルオイル)の原液は、非常に高濃度な植物成分の塊です。これを直接肌につけると、強い刺激となり、赤み、かゆみ、かぶれなどの皮膚トラブルを引き起こす可能性があります。
もし肌に塗布したい場合は、必ず「キャリアオイル」(ホホバオイル、スイートアーモンドオイルなど)で希釈してください。フェイス用で0.5%〜1%、ボディ用でも1%〜2%程度が一般的です。
初めて使う精油や肌が敏感な方は希釈したオイルを腕の内側などに少量塗り、24時間〜48時間様子を見る「パッチテスト」を行うとより安心です。
「よく眠りたいから」と精油の量を多くしたり、強く香らせすぎたりするのは逆効果です。
香りが強すぎると、リラックスを促すはずの副交感神経ではなく、活動モードの「交感神経」が刺激されてしまい、目が冴えてしまったり、不快感や頭痛の原因になったりします。
睡眠時のアロマは、「ほのかに香るかな?」と感じる程度が最適です。ディフューザーなら6畳の寝室で3〜5滴程度、ティッシュやコットンに垂らして枕元に置く場合は1〜2滴で十分です。「香りで眠らせる」のではなく、「香りがリラックスのきっかけを作る」という意識で使用量を調整しましょう。
私たち人間にとって癒やしとなる香りが、体の小さなペットや乳幼児にとって負担になることがあります。
特に猫は、精油の成分(特にテルペン類など)を体内でうまく分解(代謝)できません。成分が体内に蓄積し、中毒症状を引き起こす危険性が非常に高いとされています。猫がいる空間では、アロマディフューザーの使用は絶対に避けてください。
また犬や乳幼児も、嗅覚が敏感であったり、体が未発達であったりするため、大人よりも香りの影響を受けやすいです。使用する場合はごく低濃度にする、別室で使用するなど最大限の配慮が必要です。
アロマキャンドルや、キャンドルの熱で精油を温めるアロマポット(アロマランプ)は、その揺らぐ炎に癒やし効果があり、寝る前のリラックスタイムには最適です。
しかし、つけたまま眠るのは絶対にやめてください。寝返りでキャンドルを倒してしまったり、布類に引火したりするなど、火災のリスクが伴います。
火を使うタイプのアロマは、「寝る前のリラックスタイム専用」と割り切りましょう。ベッドに入る前、眠る直前には必ず火を消すことを徹底してください。就寝時に香らせたい場合はティッシュやコットン、または火を使わない超音波式ディフューザー(タイマー付きなら尚良し)を選びましょう。

睡眠のためにアロマを使うなら、ぜひその「選び方」にもこだわってみてください。なぜなら、その選択があなたのウェルネス(心身の健康)に直結するからです。
アロマ(精油)は、大量の植物からほんのわずかしか抽出できない貴重なものです。例えば、ラベンダー1kgから採れる精油はわずか10mlほど。安価なアロマオイルの中には、その背景で農薬による土壌汚染や、生産者の不当な労働、過剰な森林伐採といった問題が隠れている場合があります。
上記の理由から、なるべくサステナブルなアロマを選ぶのがおすすめです。心置きなくリラックスするためにも、選ぶ際には以下の視点を持ってみてください。
オーガニック認証がついていることを確認しましょう。「エコサート」や「USDA」などの認証マークは、農薬や化学肥料を使わずに育てられた植物から抽出された証。環境への負荷が少なく、私たちも安心して使えます。
フェアトレード商品は、アロマ以外でもチョコレートや紅茶などでも有名でしょう。生産者の権利や生活を守る「公正な取引」が行われている製品を選ぶのがおすすめです。商品説明、あるいは商品ラベルに記載されているため、確認してみてください。
サンダルウッドやローズウッドなど、一部の精油は原料となる樹木が乱獲により絶滅の危機に瀕しています。持続可能性に配慮し、適切に管理された原料を使っているブランドを選ぶことも意識してみましょう。
エシカルな視点と並んで重要なのが、100%天然の「精油(エッセンシャルオイル)」を選ぶことです。
安価な「アロマオイル」や「フレグランスオイル」は、合成香料で香りづけされていることが多く、植物本来の力が脳に働きかける効果はあまり期待できるものではありません。
「学名」や「抽出部位・抽出法」が明記されており、オーガニック認証などを持つ「本物の精油」を選ぶこと。それこそが、エシカルであると同時に、あなたの睡眠の質を高める一番の近道ではないでしょうか。
強調しておきたいのは、アロマは万能薬ではないことです。あくまで睡眠の質を高める「強力なサポーター」です。
上記の習慣と組み合わせることで、アロマの効果はさらに高まります。「アロマがあれば寝られる」というわけではなくあくまでサポート的存在であるため、この点は覚えておきましょう。

アロマが睡眠の質にアプローチする仕組みから具体的な使い方、そして「エシカルな選び方」までご紹介しました。
眠れない夜は本当につらいですが、アロマはきっとあなたの強力な味方になってくれます。今夜は、自分と地球をいたわる心地よい香りに包まれて、ゆっくりとお休みください。
早稲田大学文学部社会学コース卒業。「環境」と「教育」を軸に暮らしと社会の接点を紡ぐフリーランスライター/ディレクター。メディア記事の執筆だけでなく、企画設計や構成、インタビュー、編集ディレクションまで一貫して手がける。ジェンダーやケア、感情のグラデーションといったテーマにも関心が深く、「誰かの違和感をことばにする」ことを大切にしている。
