回収率1%未満。業界の課題に挑む循環型ユニフォーム – 株式会社三栄コーポレーション
サステナブルな素材やブランドを世界各国から発掘し、循環型の仕組みへとつなげていく。株式会社三栄コーポレーションは、アジアを中心とした世界各国に拠点を持ち、各地のサステナビリティに関する知見やネットワークを蓄積してきました。
OEM開発を通じて環境配慮型の素材と出会ったことを原点に2019年、OUR EARTH PROJECTを立ち上げました。「サステナブルを、楽しむ世界へ。」をビジョンに掲げ、サステナブルブランドの輸入販売、環境負荷を低減する素材を使用したOEM企画開発、イベント開催などさまざまな活動を行っています。
この取り組みのひとつとして、2026年2月に環境負荷を最小化する企業ユニフォーム「GREEN UNIFORM」を開始しました。
大量廃棄や環境負荷。ファッション業界の課題に向き合う「GREEN UNIFORM」
ファッションは私たちの生活を豊かにしてくれる存在です。その一方で、衣類は私たちの手元に届くまでに大量生産・大量廃棄や製造時のエネルギー消費などの課題を抱えており、環境負荷の大きい産業のひとつとされています。
こうしたなか、企業においては製造プロセスの改善やリサイクル素材の活用、循環型の仕組みづくりなど、環境負荷の低減に向けた取り組みが広がり始めました。しかし飲食店や医療機関、建設現場などで使用される企業ユニフォームは廃棄されるケースが大半を占めています。
同社は飲食店やサービス業に向け、OEMによるユニフォームの企画・供給を行ってきました。そのなかで、使い捨てが前提となる企業ユニフォームの課題に着目し、環境負荷の低減と資源循環の実現を目指す取り組みとして立ち上げたのがGREEN UNIFORMです。
GREEN UNIFORMはユニフォームの設計、製造、回収を一貫して提供するサービスで、大きな特徴は環境負荷削減につながる素材や技術を導入している点です。
単一素材化で実現する効率的なリサイクル

最近ではアパレルブランドの店頭で衣料品の回収BOXを目にするようになりましたが、再資源化するには、綿やナイロン、レーヨンなどの生地素材が混在していることに加え、ファスナーやボタンといった素材の異なる付属品が含まれることから、仕分けに手間がかかるという課題があります。
一方、企業ユニフォームはポリエステルが主素材であることから、素材の違いによる分別の手間を抑えられる点に着目しました。GREEN UNIFORMでは、付属品を含めてポリエステルのみの単一素材で構成することで、仕分けの手間を省き、効率的なリサイクルを可能にしています。

さらに、素材にはBRING Material™を採用。使用済み衣料を原料にしたリサイクルポリエステル素材です。製品化されたユニフォームは使用後に回収し、再び同素材として再資源化されます。こうした仕組みにより資源の循環利用を実現しています。
「水を使わない染色技術」で水使用量を60%削減

ファッション業界では水資源の大量消費も課題となっています。環境省の「令和2年度 ファッションと環境に関する調査業務」調査報告書によると、原料の栽培や染色過程を含め、服一着を作るのに必要な水は約2,300リットルと推計されています。これは浴槽約11杯分に相当する量です。
そこでGREEN UNIFORMでは、e.dye®という無水染色(原着)技術を採用しました。通常の染色方法は染料を水に溶かして繊維に浸透させたり、仕上げに洗浄を繰り返したりするため大量の水を使用しています。e.dye®はポリエステル原料の段階で着色を行うため、浸透や洗浄の工程が不要となり、水の使用量の大幅削減が可能です。
この技術により、水使用量を60%、化学薬品使用量を90%削減。環境負荷の大幅な低減を実現しています。
色落ちを防ぎ、優れた耐久性も実現

さらに私たちが普段着ている衣類は、洗濯を繰り返すうちに色落ちし、徐々に色あせていきますが、これも染色方法に理由があります。
一般的に衣類は糸や生地の状態になったあとに色付けしています。染料は繊維の表面に付着している状態に近く、洗濯や摩擦によって少しずつ剥がれていきます。この結果として色落ちしたように感じられるのです。
一方、e.dye®では紡績前に原料と色素を熱で溶かし練り込むことで、色を繊維の内部まで均一に行き渡らせます。こうして生成される糸は表面だけでなく奥まで色が定着しており、洗濯や摩擦による色落ちが起こりにくい状態に。長期間にわたり美しい発色を保つことが可能です。採用する企業からすると、洗濯回数が多くても品質を保てるため、メンテナンスコストの削減にもつながります。
回収率1%未満。循環型ユニフォームで業界課題に貢献
ユニフォームは産業廃棄物。この事実はどれほど認識されているでしょうか。
産業廃棄物は法令に基づき適切に回収・処分しなければいけません。しかし現場で着用されるユニフォームは従業員一人ひとりの意識や行動に委ねられる部分も多く、丁寧に返却されるケースがある一方で、紛失や未回収も発生しています。
一般社団法人日本ユニフォーム協議会による「企業ユニフォームリサイクルにおける可能性」によると、使用した企業ユニフォームの回収率は全体の0.6~0.7%と、1%にも満たない状況です。同社では使用済みのGREEN UNIFORMを回収し、法令に則って適正に処理するとともに、資源として再活用することで循環型の仕組みづくりを推進していきます。
同時にGREEN UNIFORMの導入を通じて、従業員および企業全体の意識向上にもつなげていく方針です。地道ながらも確実な一歩を重ねていくことで、ユニフォーム回収率の向上や環境負荷の低減に貢献したいと考えています。
「環境負荷の見える化」を実現しESG経営も支援
GREEN UNIFORMのタグにはQRコードが印刷されています。読み込むと一般的な衣類と比較した水や化学薬品の使用量、またCO2排出量など、ユニフォーム1着あたりの環境負荷削減量が表示される仕組みです。
今後はLCA(ライフサイクルアセスメント)の考え方に基づき、原料調達から生産、流通、廃棄、リサイクルまで含めたすべてのプロセスで生じる環境負荷を算出し、具体的な数字の提供を目指しています。
こうした数値の可視化には課題もあります。例えば、算出基準は国や地域によって異なるため、同じ取り組みであっても数値に差異が生じる可能性があります。特に海外での製造工程を含む場合、各国の基準と日本の基準との整合性をどのように取るかが重要なポイントです。
サプライチェーン全体を通じた環境負荷の算出は容易ではありませんが、基準の整備を進めることで、Scope1・2・3の開示においてGREEN UNIFORM導入による削減効果を活用できるようにしていきたいと考えています。これにより企業のESG経営にも貢献していきます。
「意識高く」ではなく、サステナブルを「楽しく」という価値観へ
OUR EARTH PROJECTのコンセプトは「サステナブルを、楽しむ世界へ。」です。
サステナブルやエシカルといった言葉のつく取り組みは、ともすると「義務」や「意識の高さ」といった堅いイメージで捉えられがちです。しかし実際の消費行動においては、おしゃれさや機能性、耐久性といった価値が重視されるべきでしょう。その結果としてサステナブルやエシカルであることが選択されるのではないでしょうか。
GREEN UNIFORMは、そのような絶妙なバランスを重視して設計されています。企業ユニフォーム専門のデザイナーとともに開発を行い、デザイン性や機能性といった現場のニーズに応えると同時に、ESG経営に貢献できるプロダクトを目指しています。
環境問題は複雑であり、単一の解決策ですべてを満たすことは容易ではありません。しかしGREEN UNIFORMは、複数の課題に対してバランスよく向き合い、循環型社会の実現に向けたプロダクトをこれからも生み出していくでしょう。








