省エネルギーかつ環境に優しいプロセスで、世界の社会課題を解決

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この取り組みを行っている企業・団体

株式会社アルファテック

株式会社アルファテックは、山形大学の西岡教授が開発した温度制御型粉砕技術「Amorfast®」をコアに、2018年6月に設立された山形大学発のスタートアップ企業です。温度制御型粉砕技術「Amorfast®」は、水を使わず瞬時にでんぷんやセルロースのアルファ化を可能にするもので、省エネルギーかつ環境に優しいプロセスで世界の食料不足や食の多様化、環境問題などの課題解決に貢献すると期待されています。現在、同社は主に「飼料・畜産」「食品」「バイオマス」の3つの分野で事業を展開しています。

温度制御型粉砕技術「Amorfast®」とは?

温度制御型粉砕技術「Amorfast®」とは?

(画像:アルファ化図解 会社紹介資料より)

温度制御型粉砕技術「Amorfast®」は、山形大学大学院 西岡昭博教授が開発した、水を使わずに粉砕のみででんぷんやセルロースを非晶化する独自の技術です。

そもそも非晶化(アルファ化)とは、でんぷんやセルロースなどの物質が「規則正しい結晶構造を持った状態」から「無秩序な状態(非晶質)」に変わることを言います。この状態になると消化しやすくなり、食品としての利用価値が高まります。

炊いたご飯をイメージしてみてください。お米に水を加えて加熱するとふっくらとおいしいご飯が炊き上がります。これが一般的な非晶化(アルファ化)です。

(画像:温度制御型粉砕技術「Amorfast®」 会社紹介資料より)

しかし、アルファテックのコア技術である温度制御型粉砕技術「Amorfast®」は、水を使わず、瞬時にでんぷんを非晶化します。お米をAmorfast®技術で処理すれば粉状のアルファ化したお米、すなわち「アルファ化米粉」になります。

この技術は、「非晶質:Amorphous」への変化が非常に「速い:fast」ことから、Amorphous+fastでAmorfast®と命名されました。

Amorfast®は、水を使って加熱する過程がないので、その後の冷却・乾燥が不要です。そのため省エネルギーで環境負荷も少なく済みます。また非晶化することにより素材の消化率が高まり、粘弾性や乳化性などの機能も付加できます。

この技術は米の他にトウモロコシなど穀類、芋や豆類などの各種でんぷん、セルロースの非晶化が可能です。

Amorfast®の活用分野

環境問題をはじめ世界各地での災害、紛争などさまざま要因で、エネルギーの確保や食料危機が現実的な問題となっており、日本にとっても避けられない課題です。Amorfast®技術はその課題の解決に貢献しています。

(画像:会社紹介資料より)

1.飼料・畜産分野

「飼料効率を向上」

穀類、例えばコメ・トウモロコシ・コムギなど飼料を非晶化することにより消化吸収性を高めることが可能です。従来の飼料より少ない量で家畜を育てることが可能になります。

鶏であれば、1キロの鶏を作るのに4. 5キロの餌が必要だと言われています。こうした畜産にかかるコストを下げれば、原料費の削減に繋がるため、アルファ化素材の活躍が期待されるでしょう。

 「ペレット耐久性を向上」

家畜飼料は粉末状の飼料を円柱状に固めた状態(=ペレット)で与えます。Amorfast®で非晶化した穀類は、水を加えるだけで粘性がでるので、ペレットにしたときに崩れにくくなり飼料のロスを少なくします。

 2.食品分野

「グルテンフリー・アレルゲンフリー・クリーンラベル(添加物代替)」

米粉は、グルテンアレルギー、グルテン不耐症、小麦アレルギーでも食べられる代替食としても注目されています。またAmorfast®で非晶化したでんぷんは、水を加えると粘りがでます。このため小麦やグルテンを使わずにパンや菓子をふっくらと焼き上げることができ、また乳や卵や各種添加物の代わりに使用することでアレルゲンフリー、添加物フリーの食品として活用できます。

 「非常食/介護食の充実」

Amorfast®を用いた素材は、湯や水を注ぐだけで、消化が可能な食べられる状態(アルファ化)になることから、非常食としての活用も期待されています。

また水を加えるとお粥、ペースト状になるので消化によく介護食や離乳食としても優れています。

 3.バイオマス分野

バイオマスとは、「動植物から生まれた、再利用可能な有機性の資源(石油などの化石燃料を除く)」のこと。資源を再利用する際にAmorfast®を用いると、従来強い薬品を使ったりして環境負荷・エネルギー消費の高い方法しかなかったセルロースの非晶化工程が省エネルギーで低環境負荷で行うことができます。

今後の展開

同社は、当面の間は食品事業の安定に力を入れていきたいと考えています。具体的には、お米の使用機会を増やし、地産地消を促進。自給率の向上にも貢献していきたいと思っているといいます。

農林水産省は、主食用米の需要が年々減少する中で新たな用途に使用できる米粉の需要拡大を重要視していることから、米の消費拡大の取組の一環として米粉普及の事業を進めています。2022年に4.5トンだった米粉の消費量を2030年までに13万トンまで増やすという数値目標も示されています。

まとめ

また本社のある山形は「米どころ」としても知られており、今後は地元の米農家や卸売などと直接つながって協力を進めていきたいと思っています。たとえば収穫したお米を預かり、その米粉を“ブランド米の米粉“として販売することも、材料に使ったスイーツなどを商品化することもできます

今後もAmorfast🄬を用いて、同社はSDGsを含めた、持続可能な社会の実現を目指していくのではないでしょうか。

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