オーガニックコットンがサステイナブルな理由とは?環境と人にやさしい素材
オーガニックといえば、野菜やコスメを思い浮かべる人が多いと思いますが、最近ではオーガニックのコットンも注目されています。
何となく体や環境に良さそうなイメージですが、実際にオーガニックコットンとはどんなものなのでしょうか。
今回はオーガニックコットンについて紹介していきます。
オーガニックコットンがサステイナブルな理由
コットンは綿花からつくられる天然繊維のことです。綿とも呼ばれます。
コットンでつくられた服は通気性と保湿性に優れ、夏は涼しく、冬はあたたかいのが特徴です。また、丈夫で水に強く、肌ざわりも良いため、トップスはもちろん、インナーやパジャマ、タオルなど様々なアイテムに使われています。
このように使い勝手の良いコットンですが、その中で「オーガニックコットン」と呼ばれるものは、綿花生産量の1%ほどしかありません。
具体的には、以下のような項目に当てはまるものがオーガニックコットンと言われています。
- 2~3年以上、農薬や化学肥料を使っていない土壌で栽培されていること
- 遺伝子組み換えの種子ではないこと
- 農地で働く人たちの安全や健康、労働環境が守られていること
- フェアトレードであること
- 1から4を第三者認証機関によって認証されていること
第三者認証機関は、私たち消費者の立場からでは分からない、生産から販売までの一連の工程をチェックしています。
このような条件を満たしたオーガニックコットンは、持続可能な農作物のひとつと言えるのではないでしょうか。
人にやさしい
オーガニックと聞くと、身に付ける私たちの体にも良さそうな印象を受けますが、実際には通常のコットンに含まれる農薬などの量はとても少なく、科学的に分析してもオーガニックコットンとそうでないものを判別するのは難しいと言われています。
また、オーガニックのコットンを使っていたとしても、繊維を染める際に化学薬品が使われている場合もあります。そのため、オーガニックコットンだからといって肌に良いとは言い切れません。
一方で、オーガニックコットンは綿花農園で働く人たちにやさしい農作物です。
綿花生産には、他の農作物と比べて大量の農薬や化学肥料、殺虫剤などが使われています。大量の農薬を使用することで労働者たちの健康が損なわれ、ひどい場合は死に至る場合もあるのです。
また、綿花の大半が発展途上国で生産され、悪い労働環境下で学校に通わず働いている子ども達もいます。
オーガニックコットンの農園では、農薬などを使わず、さらに賃金や健康など労働者に配慮した運営が行なわれています。そのため、オーガニックコットンを選ぶことは人にやさしい選択のひとつです。
環境にやさしい
通常の綿花栽培には大量の農薬が使用されていると紹介しましたが、農薬や化学肥料がまかれた農地は、やせ細り、土中の微生物が減少してしまいます。さらに農薬などによる水質汚染も大きな問題です。
また、綿花には他の農作物よりも多くの水が使用されています。一枚のTシャツをつくるのに2,700Lもの水が必要となりますが、綿花の主要な生産地であるインドや中央アジアは水資源が豊富な地域ではありません。
大量の水を綿花栽培に使うことによって、生産地の人々や動物たちの生活に大きな影響を与えています。
対して、オーガニックコットンは、農薬を使わず、水も河や湖ではなく、主に雨水を利用するため、環境への負荷が少ない生産方法と言われているのです。
認証ラベルの付いたオーガニックコットンを選ぼう
オーガニックコットンかどうかは、認証ラベルの有無で確認することができます。いくつかの認証機関がありますが、なかでも世界共通の基準として以下の2つが代表的です。
認証ラベルの付いたコットンを購入することは、環境にも労働者にとってより良い選択ではないでしょうか。
GOTS認証
GOTS認証は「Global Organic Textile Standard」という国際機関の認証で、製造から生産、流通まですべての工程をクリアした繊維のみが付けられます。
GOTSの基準はドイツ、アメリカ、イギリス、そして日本の4か国によって設けられました。原料の70%以上がオーガニックであることの他に、安全で衛生的な労働環境であるかもチェックされています。
OCS認証
「Organic Content Standard」の頭文字をとったOCS認証は「Textile Exchange」という国際的な非営利団体が運営しています。
コットンやウール、麻といったオーガニックなテキスタイルのための認証基準です。OCS認証は原料に5%以上のオーガニック繊維が含まれていることが条件で、GOTSに比べて含有率を低くしているのはリーズナブルに多くの人に購入してもらうという意図があるからです。
まとめ
今回はオーガニックコットンがどんなものかを紹介してきました。
オーガニックのものは品質でみると通常のものと大きな差はありませんが、生産過程からみていくと、環境や労働者にとってやさしいコットンです。
また、近年ではサステイナブル・コットンと呼ばれる、持続可能な方法で生産されているコットンを認証するラベルなども誕生し始めました。私たちの身近にあるコットンは世界規模の大きな問題を抱えています。
私たちにできることから取り組み、今後の動向に注目していきたいですね。