SDGs目標「ジェンダー平等を実現しよう」を達成するためには
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何かと話題にのぼることが多い「ジェンダー平等」。ですが、なぜSDGs目標の中にジェンダー平等達成が掲げられているのか、男女格差の本質的な問題は一体どの部分にあるのか、説明できる人は意外に少ないのではないでしょうか。
本記事ではジェンダー平等がSDGsに不可欠である理由や、私たちが今知っておくべき内容を解説していきます。
ジェンダーとは|sexとgenderの違い
まずは、性差(sex)とジェンダー(gender)の言葉の違いについて整理します。性差(sex)とは、身体的特徴に見られる生物学的な違いを基準として分類される男性・女性を指します。一方ジェンダー(gender)とは、人間の生まれ持った性別(男女)に基づいた社会や文化的な慣習や期待のことです。
社会的に形成される性別の例には、男性は家族の大黒柱となり働くことや、職場やコミュニティにおいて女性に気遣いを求めることなどがあります。
日本のジェンダー平等の現状
近年は女性の社会進出が進むなど、日本においてもジェンダー平等を推進する動きが見られますが、先進国基準からはまだまだ課題があります。 データを用いて現状を解説していきます。
日本のジェンダーギャップ指数
世界経済フォーラム(WEF)が毎年公表しているジェンダーギャップ指数は、世界各国の男女格差を数値化したものです。男女格差の現状を経済、教育、健康、政治の4分野から理解することができます。 0に近いほど不平等で、1に近いほど平等な状態を表しています。
日本での課題
2023年最新版のジェンダーギャップ指数から、現状を紐解いていきます。 日本の総合ランキングは146カ国中125位で、残念ながら下から数えた方が早い順位となっています。まず教育分野は47位、健康分野は59位です。
教育面では評価基準となる識字率の高さや小学校~高校までの進学率の男女差が小さいことから、健康面では平均寿命の男女差の小ささなどから比較的上位の結果となります。
経済分野は123位、政治分野は138位であり、国内のジェンダーギャップ解消のため特に課題とされています。
経済面においては労働における管理職の男女比や、同一労働同一賃金の男女格差にまだまだ開きがある現状が指摘されています。政治面においては、議員や閣僚の男女比など、政治参加に女性の進出が後れを取っていることが低い順位の要因となっています。
なぜジェンダー平等社会がSDGsとして目指されているのか
SDGs5に掲げられるジェンダー平等。そもそも女性のエンパワーメントはどうして必要なのでしょうか。
ジェンダー平等とSDGs
SDGsが掲げる「誰ひとり取り残さない」では、ジェンダーの問題は切っても切り離すことができません。その理由は、女性や女児が性別を理由に教育の機会を奪われていることや児童婚、政治への参画機会の少なさがあるからです。
性別に関わらず、人々が平等な教育や就労の機会の獲得を目指すSDGsでは、性別による差別をなくすことでSDGs達成に寄与するのです。
目指されている理由
ジェンダー平等が達成されたとしたら、以下のように持続可能な世界が実現されるでしょう。
1.経済成長につながる
性別による差別が是正されることで、女性の管理職や専門職の増加が見込まれます。その結果、より多くの母数から優秀な人材を輩出することにつながります。
2.貧困の解消
性別による格差から、女性は男性に比べ賃金が低い傾向にあります。解決されれば同時に女性の貧困問題も過去のものとなるのです。
3.教育機会の拡大
女性は家族の世話などを優先すべきとする価値観がなくなれば、性別に関係なく教育を受けることにつながります。
4.女性の健康促進
女性は不当な性産業への従事、世界の一部地域で残る慣習「女性器切除」や、妊娠・出産に伴う死亡などの健康リスクにさらされています。妊婦死亡率の改善、パートナーからの暴力の解決などにより心身の健康へとつながります。
ジェンダー平等は女性のためだけではない
ジェンダー平等のテーマは、女性のみが関わるものだと思っていませんか?より解像度を高めるために知っておきたいトピックを以下で確認します。
女らしさとは
女らしさとは、生物学的女性であることを理由に語られるステレオタイプを指します。
例えば、女性は努めてにこやかにふるまうべきと言った価値観や、ロングヘアなどの見た目が挙げられます。これらは本人が選択した結果であれば問題はないものの、強要があった場合は女性に社会的な制限をつけることにつながるため、ジェンダー平等を妨げてしまうものです。
有害な男らしさとは
生物学的男性のステレオタイプである「力強い、支配的」な面がマイナスに働くことを、有害な男らしさと言います。
家族を養わなければならないと言った考え方、泣くことは男性らしくないなどの例があります。女性への差別や、男性本人を苦しめることにもつながるとされています。
ジェンダー平等への取り組み・心がけ
同一労働同一賃金、ジェンダー平等に関する学校教育などが日本のジェンダーギャップ解消には求められています。
個人でできる心がけでは、男らしさや女らしさの固定概念にとらわれることなく「個人」として人と接することが何よりも重要でしょう。
また、ジェンダー平等は男女のみに限った話ではありません。LGBTQ+であるマイノリティの人々も、属性を理由とした社会的機会の損失や差別はダイバーシティとは反するものであり、早急に改善されるべき問題です。
まとめ
ジェンダーの不平等により、世界では様々な場面で苦しむ人々が大勢います。
かつてよりは声を上げることのできる社会へなってきたものの、ジェンダー平等達成には多くの課題や問題も残ります。個人では何も変わらない、とあきらめずにまずは知ることから始めてみましょう。