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認定NPO法人 世界の子どもにワクチンを 日本委員会(JCV)は、1994年に設立された民間の国際支援団体です。ポリオやはしかなどの感染症から開発途上国の子どもたちの命を守るため、ミャンマーやラオスなどにワクチンを届ける活動をしています。わずか20円で救える命がある現状に対し、個人からの寄付に加え、独自の寄付ルールやペットボトルキャップ回収など、企業とタイアップした寄付活動が特徴です。
ペットボトルキャップが子どもの命を救うワクチンに換わることをご存知でしょうか。ボトル本体とキャップを別々で回収している商業施設などを見たことがある方は多いはずです。
ペットボトルキャップ回収をはじめとした様々な方法で寄付を集め、30年以上にわたって開発途上国の子どもたちを感染症から守り続けてきたのが、認定NPO法人「世界の子どもにワクチンを 日本委員会」(以下、JCV)です。集められたキャップは、リサイクル業者によってプラスチックのリサイクル素材となり、その売却益の一部がJCVに寄付されています。
この記事では、JCVの活動を、ビジネスモデルから社会貢献への姿勢まで複数の視点からご紹介します。個人の寄付でも大きな予算でもなく「日常の習慣」が国際支援の入口になることを実感いただければ幸いです。
JCVの資金調達には、一般的なNPOとは異なる大きな特徴があります。それは、公的な補助金に一切頼っていないこと、そして、寄付全体の約7割を企業・法人が占め、うち一般企業だけで5〜6割弱に達することです。個人の善意だけに依存するのではなく、企業の事業活動そのものに支援の仕組みが組み込まれているのです。
このムーブメントの先駆けとなったのは、元プロ野球選手・和田毅氏が2005年に始めた「1球投げるごとにワクチンを10本寄付する」という取り組みでした。
「僕のルール」と名づけられたこの活動は、自らの仕事を社会貢献に結びつけるという点で、多くの企業の共感を呼びました。今では「ラーメンが1杯売れるごとにワクチン1本分を寄付する」といった、各社のビジネスモデルに合わせた形で寄付を行う企業が200社以上も存在します。、自社の事業と結びつけることによって、ただ寄付を行うだけでなく、社員のモチベーションアップ、営業実績の向上にも繋がるような支援スタイルが広がっています。

こうした支援の輪の中で、近年とりわけ注目を集めているのがペットボトルキャップの回収です。その規模はいまやJCVの年間寄付総額の約15%を占めるまでに成長しました。
この活動が多くの企業を引き付ける理由は明快です。石油由来のプラスチック資源を再利用することで資源循環を促し、CO2排出の抑制やゴミの削減を通した「環境保護」と、ポリオやはしかなどのワクチンを寄付して途上国の子どもの命を守る「人道支援」。この2つを同時に実現できるダブルの社会貢献であることが、ESGやSDGsに真剣に向き合う企業から高く評価されています。
しかしそれ以上に注目したいのが、従業員一人ひとりを主体的に巻き込む力です。
費用もかからず、特別な知識も必要ありません。日常のちょっとした習慣として誰でも参加できるからこそ「自分の会社が取り組む社会貢献に自分自身も参画している」という当事者意識が生まれやすくなります。やがて自発的なムーブメントへと育っていき、果てには従業員からの声でビル全体のテナント企業を巻きこめたり、全国の支社間で横連携が生まれたりと、キャップひとつが組織を動かすきっかけになることもあります。

キャップ回収は、一般消費者にとっては日常的な活動である一方、回収されたキャップを資源として有効活用するには、団体側としては品質管理という地道な工夫が欠かせません。
ペットボトルのキャップは主にポリエチレン(PE)とポリプロピレン(PP)で作られています。しかし油分を含む調味料のキャップが混入すると、洗浄工程で大きなコストが発生してしまいます。JCVが回収対象を「清涼飲料水のキャップのみ」に限定しているのはこのためです。
「キャップの洗浄はどこまでしたらいいの?」と思う方も多いかもしれませんが、使い終わったらさっと水で流す程度で問題ありません。この一手間が支援の質を守ることに直結します。
また、全国の障害者福祉施設などでは、白系と色付き系など、種類ごとの手作業による分別も行われています。さらに、リサイクルメーカーも、キャップの素材(PEとPP)ごとに自動で仕分けを行う機械を導入するなど、再生素材の質を高める努力を欠かしません。そして、買い物カゴや洗剤・柔軟剤ボトルなど、私たちの日常にある様々なものに生まれ変わっています。
このように、多くの人々の丁寧な仕事がこの活動を支えているのです。キャップ回収の輪の裏側には、さまざまな人の手と思いが重なっています。

JCVは現在、ミャンマー・ラオス・ブータン・バヌアツの4カ国を常時支援国として絞り込み、年間約1億2000万円分のワクチンや関連機器を国連ユニセフのネットワークを通じて届けています。毎年継続することが集団免疫の獲得に不可欠だからです。
しかし現場は、世界情勢の大きな変化に揺れています。ミャンマーでは2021年の軍事クーデター以降、保健省を通じたルートでの支援が困難になりました。現在は現地ユニセフ事務所と連携し、国からのワクチンの供与が停止された山岳地帯の少数民族に向けた支援を実施しています。バヌアツではコロナ禍の国境閉鎖で国営航空が破綻するなど、視察・物流の両面で困難が続いています。一方で、ブータンではコロナ禍を機にワクチンの重要性が社会に浸透し、主要ワクチンの接種率が99%に達し、風疹の国内排除にも成功するという嬉しいニュースもありました。
また、2026年現在、支援の現場を直撃しているもう一つの課題は急激な円安です。ワクチンの購入はドルで行うため、為替の変動によって、ワクチンや関連機器の価格は約3割も上昇しています。だからこそ、支援の輪を広げることの意味は、これまで以上に大きくなっています。

途上国へのワクチン支援は、遠い国だけの話ではありません。
近年、日本国内ではワクチンに関する不確かな情報の広がりとともに接種率が低下傾向にあります。例えば、はしか(麻疹)のワクチンでは、集団免疫の維持に2回ワクチン接種率95%が必要とされますが、日本はこれを既に下回っていると報告されています。
現代はグローバル化の中、人と共に細菌やウイルスも国境を越えて移動するようになりました。接種率が下がった状態で国内へ流入されれば、大規模な流行を引き起こすリスクが一気に高まるでしょう。
実際、現在国内では、はしかの感染者が約450人に達し、流行の兆しが見えています。昨年も、百日咳が統計開始以降で過去最多となる約9万人もの感染者を出す大流行となり、死者も発生しました。
また、世界に目を向けてみると、ポリオがパレスチナのガザ地区で約25年ぶりに発生。野生株の常在国がパキスタン・アフガニスタンの2か国まで減少し、根絶間近と言われていたポリオですが、ここに来て再び感染が拡大する恐れが出ています。「世界のどこかで感染症が流行すれば、それは回り回って日本の子どもたちの脅威になる」という危機感をもつことが重要です。

「もったいないから再利用しよう」というシンプルな気持ちから始まったペットボトルキャップの回収は、今や全国規模のネットワークを持つ一大プロジェクトに成長しました。
私たちに必要なのは、飲み終わったペットボトルのキャップを捨てずに取っておくことだけ。清涼飲料水のキャップであれば何でもOKです。使い終わったらさっと水でゆすいで、職場や学校・地域の回収ボックスに入れるだけで、あなたも簡単に社会貢献が可能です。
1個のキャップが持つ力は小さいかもしれません。でも、一人ひとりの参加が積み重なり、職場や地域を越えた自発的な広がりになったとき、それは確かに国境を越えて子どもたちの命を救う力に変わります。
今日飲んだペットボトルのキャップを、まず取っておいてみることから始めてみませんか。
認定NPO法人 世界の子どもにワクチンを 日本委員会(JCV)は、1994年に設立された民間の国際支援団体です。ポリオやはしかなどの感染症から開発途上国の子どもたちの命を守るため、ミャンマーやラオスなどにワクチンを届ける活動をしています。わずか20円で救える命がある現状に対し、個人からの寄付に加え、独自の寄付ルールやペットボトルキャップ回収など、企業とタイアップした寄付活動が特徴です。
