環境負荷を抑えた高純度アルミナ製造で先端産業を支える – Advanced Energy Minerals Japan合同会社
Advanced Energy Minerals Japan合同会社(AEM Japan)は、カナダに本社を置く高純度アルミナメーカー Advanced Energy Minerals(AEM)の日本法人です。AEMは高純度で安定した品質のアルミナ製造に努めるとともに、再生可能エネルギーの活用やCO₂排出の少ない製造方法を導入するなど、環境負荷低減にも取り組んでいます。
AEM Japanはアジア市場における販売と技術支援の拠点として活動し、持続可能なサプライチェーンの構築にも貢献しています。
そもそも高純度アルミナとは、私たちのデジタル生活を支える素材


高純度アルミナと聞いて、すぐにピンと来る人は多くないかもしれません。しかし実は私たちの身の回りにあるさまざまな製品で重要な役割を果たしている素材です。
たとえば腕時計の文字盤を保護するカバー、スマートフォンに搭載されるメモリーチップの製造工程や関連部材、リチウム電池内部材に施すコーティングなどに使用され、生活必需品を支える重要な役割を担っています。
そもそもアルミナ(Al₂O₃)とはボーキサイトやサファイアといった鉱物からとれるアルミニウム酸化物です。とりわけ不純物をほとんど取り除いた高純度アルミナは、以下のような特性を持ち、電子機器や精密機械、光学、航空宇宙など幅広い産業で活用されています。
高純度アルミナの特徴
- 高い硬度:非常に硬いため、傷や摩耗に強い
- 高い耐熱性:2,000℃近くでも安定する
- 高い透明性:光学材料としても利用可能
- 優れた電気的特性:絶縁性に優れている
- 高い熱伝導率:熱を効率よく伝える性質がある
100%再生可能エネルギーで環境負荷を抑えた製造プロセス


さまざまな分野で活用される高純度アルミナを製造するAEM本社は、カナダのケベック州にあります。
Nasdaqによるとカナダは、アルミニウム330万トン、アルミナ190万トンで世界4位の生産規模を誇るアルミニウム、アルミナの主要産出国です。その製造の中心的な拠点となっているのがケベック州でAEMのほかに、主要なアルミ精錬所が立地しています。
豊富な水資源に恵まれたこの地域は電力の大半を水力発電で担っています。水力発電は火力発電のように燃料コストがかからず、燃料の価格変動の影響も受けない発電方法であることから、大量のエネルギーを必要とするアルミやアルミナ製造企業にとって安価で安定した電力を利用できる最適な拠点なのです。
AEMでは水力発電をメインに再生可能エネルギー100%で製造しているため、Scope 1(自社設備からの直接排出)、Scope 2(購入電力に伴う間接排出)をほぼゼロに抑えています。
さらに環境負荷の低減しているもう一つの大きな特長が製造方法です。一般的な高純度アルミナの製造では、焼結という1,500℃以上の高温を必要とする方法が用いられるため、大量のエネルギーを消費し多くのCO₂が排出されます。一方、AEMは結晶化という方法を用いており、焼結よりも少ないエネルギーでの製造を実現させています。
AIや宇宙関連、先端技術を支えるAEMの高純度アルミナ
こうした製造方法で作られる高純度アルミナを、AEMでは約80品目にわたり展開しています。この品目の多様性によって粒径や純度、形状などの細かな条件に合わせたカスタマイズやオーダーメイド対応ができる点は同社の大きな強みと言えるでしょう。
具体的には、半導体製造用の研磨材、LEDやレーザーの基盤となるサファイア基板、スマートフォンのメモリーチップや半導体部品の放熱材などに利用されています。
スマートフォンを使用していると熱を帯びたように熱くなることがありますが、その過熱軽減にも高純度アルミナは貢献しているのです。さらに近年の生成AIの普及に伴い、大量の情報処理を担う半導体(AIチップ)や、それを補助する大容量の記憶装置(DRAMメモリ)での需要も急激に高まっています。
また、その高い耐熱性と硬度を活かし、宇宙機器のネジやコーティング材といった高温環境下でも性能維持が求められる部位にも採用されています。
このように電子機器、光学製品、航空宇宙分野など、AEMの高純度アルミナは先端技術を支える重要素材として、技術革新や製品の信頼性向上に貢献しています。


副産物や廃棄物をリサイクルし資源を循環
幅広い産業分野を支えると同時に、限りあるアルミナを最大限に活用するため資源循環にも積極的に取り組んでいます。
その一環として行っているのが、高純度アルミナ製造時の副産物を低純度アルミナへ再資源化することです。再資源化された低純度アルミナは制汗剤や排水処理用フィルターなど、生活用品や産業製品で利用されています。また、ケベック州に拠点を置く複数のアルミ精錬所と連携し、精錬所から排出される廃棄物を原料として高純度アルミナの生産にも取り組んでいます。
さらに今後は取引先から発生する廃棄物を買い取り、再び原料として高純度アルミナの製造に活用する取り組みも検討しています。企業や製品によりますが、多い場合、廃棄物は30%にも上るため、これが実現すれば資源の有効活用と廃棄物削減に大きく寄与することになるでしょう。
このようにサプライチェーン全体で廃棄物削減と資源効率の向上に取り組んでいます。
技術革新とサステナビリティで未来の産業に貢献


AEMでは大学や研究機関との共同研究を積極的に行うことで、高純度アルミナの技術向上と幅広い用途への普及を目指しています。たとえば、低ウラン・低トリウムの高純度アルミナを開発することでAIチップや大容量メモリ(DRAM)の放射線影響を抑え、通信性能の向上に貢献していく考えです。
さらにナノ粒径の高純度アルミナの商業化も進めています。従来の高純度アルミナは粒径がミクロン単位で粉末として扱われますが、ナノ粒子化することで粒子表面積が増え、より均一で精密な加工やコーティングが可能になります。
技術の発展を通じて先端産業を支えるとともに、環境に配慮した供給体制の構築に努めるAEM。アジアとの架け橋として、AEM Japanは製品供給、技術支援、顧客サポートを通じて地域産業の発展に貢献しています。








