BLUE SEED PROJECT − 使い捨てコンタクトレンズケースのリサイクルで循環型社会を目指す
「BLUE SEED PROJECT」とは
「BLUE SEED PROJECT」とは、本プロジェクトに賛同している眼科やコンタクトレンズ販売店、企業等に回収ボックスを設置し、使い捨てコンタクトレンズの空ケースをメーカー問わず回収し、物流パレットに生まれ変わらせるプロジェクトです。株式会社シードは本プロジェクトを通じて、資源の無駄を省く循環型のシステムであるサーキュラエコノミーの実現を目指しています。
注目したいのは、同社の空ケースは純度の高いプラスチックを使っているため、物流パレット製造時には強化剤として活用される点。物流パレットが経年劣化している場合には再度パレットを溶かしてリサイクルができることも強みになっているので、多くの製造プロセスが環境に配慮されたものであることが伺えるのです。
プロジェクト開始の背景
同プロジェクトは、兼ねてからサステナブルな社会の実現に向けての意識が高い、同社代表取締役社長・浦壁氏の「お客様が使用したコンタクトレンズケースをリサイクルするのはどうか?」という発想をもとに会社全体で動き始めました。
また、同プロジェクト開始のもう一つのきっかけは、2019年に廃プラスチック問題が社会的に重要視されたことを起因としています。コンタクトレンズ業界はその特性上プラスチックを多く使い、そのうえ高度管理医療機器であることから清潔に保つ必要があるため、製造過程でのプラスチックの再利用ができません。製品の開発から販売まで長いもので10年ほどかかるため、廃プラスチック問題に配慮した新規製品を作るにはかなり時間がかかってしまいます。そこで、廃プラスチックを減らす努力をしようと考えたことが始まりだそうです。
BLUE SEED PROJECTの活動状況
コンタクトレンズの回収状況は、2024年3月初旬現在で約8.3トン(空ケースは1個1g)。地域のお祭りやコンタクトレンズユーザーと直接交流できるイベントへの参加を積極的に行い、効果的に認知活動を進めていることもプロジェクトの強みではないでしょうか。
環境のための取り組みはユーザーからの回収だけではなく、製造工程においても実施されています。工場の製造工程で排出したプラスチック混合物はほぼ100%リサイクルできているとのことです。
こうした環境への徹底的な配慮も同社が持つ強みになっています。
広がるサステナブルの輪
同プロジェクトを通して、眼科やコンタクトレンズ販売店、また関係取引先で、サステナブル意識が高まっていると感じることも多いといいます。特に関係取引先ではSDGs活動で何をしたら良いか分からない中、自社内での取り組みとして企業同士の輪が広がっている現状があります。
またコンタクトレンズユーザーから、「空ケースをそもそも回収していることを知らなかった」という声も寄せられることがあるそうです。空ケースを集めて回収場所に持っていくだけで、プロジェクトに参加して環境問題解決に貢献できるのであれば自分も参加しよう、という声がユーザーから上がることもあるほどなので、今後認知拡大とともに回収量が増えていくことが期待されています。
廃プラスチックといえば「海洋問題」が指摘されることが多いですが、同社はプロジェクト開始前から海洋ごみ問題意識が高かったこともあり、プロジェクトによって得た収益は、一般社団法人JEANへ全額寄付しています。一般社団法人JEANは海洋ごみ問題解決に向けて活動している団体で、サステナブルな社会の実現を目標掲げ積極的に同社が取り組んでいることが伺えます。
さらには2023年7月6日(木)~7月13日(木)に同社企業公式X(旧Twitter)において実施した「あなたのRTで海を守ろう~シードと一緒にシー(sea)ドを応援~」キャンペーンでは、1RT(リツイート)に対して10円を寄付するといった取り組みも行っています。
プロジェクトに賛同している空ケースの回収拠点は、全国の眼科・コンタクトレンズ販売店をはじめ、一般企業や学校等の教育機関様にまで拡大しています。
2023年5月には、同社の工場が埼玉県にあること、彩の国埼玉環境大賞を受賞したことをきっかけに、埼玉県三芳町と同プロジェクトに関する協定を締結し、連携がスタートしました。行政との連携は初めてでしたが、三芳町はごみの削減と資源循環の促進に積極的に取り組まれている環境に対する感度が高い町だったので、すぐに合意に至りました。
回収拠点が増えることで本プロジェクトに気軽に参加できる環境がより整い、回収量も増えていくことが想定されるため、同社は今後も多くの行政や一般企業、教育機関と連携していきたいという展望を持っています。
近い未来、同プロジェクトが一層認知されていけば、コンタクトレンズ業界により新しい風を呼び起こすものになるのではないでしょうか。
同社企業公式Xアカウント(@seed_koho)でも随時プロジェクトの取り組み状況や実績がポストされています。海洋ごみやその他環境問題に対して課題感を持っている企業担当者の方はぜひチェックしてみてください。