アップサイクルとは?新しい価値を加え、ゴミを生まれ変わらせる方法
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「アップサイクル」という言葉をご存じでしょうか。
ゴミ削減の取り組みとしてリデュース、リユース、リサイクルの3Rが知られていますが、最近ではアップサイクルという取り組みも注目されています。
しかし、まだ新しい考え方なので「まったく知らない」「聞いたことはあるけど詳しくは知らない」という方も少なくないと思います。
そこで今回は、アップサイクルとはどんなものか、どんなメリットがあるのかご紹介していきます!
アップサイクルとは?
アップサイクルとは、本来であればゴミとして廃棄されるものにデザインやアイデアなどの新しい価値を付加することで、より価値の高い製品に生まれ変わらせることを言います。
初めてアップサイクルという言葉が使われたのは1994年と言われており、3Rと比べるとまだまだ新しい考え方です。近年では、サステイナブルなものづくりとして注目されています。
アップサイクルの例として、下記のようなものが挙げられます。
- 使わない着物からドレスをつくる
- 廃棄されたビニール傘からバッグをつくる
アップサイクルの反対のキーワードに「ダウンサイクル」があります。
ダウンサイクルは使わなくなった製品を従来の価値より下げて再利用することで、以下のようなものがダウンサイクルの例として挙げられます。
- 使い古した洋服やタオルを雑巾にする
- 新聞紙から再生紙をつくる
リサイクル、リユース、リメイクと何が違う?
私たちが良く見聞きする言葉にリサイクル、リユース、リメイクがありますが、これらとアップサイクルは何が違うのか解説していきます。
リサイクル
リサイクルもアップサイクルと同様に再生利用するという意味では同じです。違いは、リサイクルは製品を原材料の状態に戻してから新しい製品を生み出します。
一方、アップサイクルは原材料に戻すことなく、製品の良さをそのまま活かして生まれ変わらせます。
リユース
リユースとは「再使用」することです。着られなくなった洋服を友達や家族にあげる、ビール瓶を洗浄して再び使うなどはリユースと言えます。
製品そのままの状態で使う点がアップサイクルと異なります。
リメイク
ファッションや映画業界でもよく使われるリメイクは、既存の製品に手を加えて新しく作り直すことを指します。
リメイクの中で製品の価値を上げるものをアップサイクル、下がるものをダウンサイクルと呼びます。
アップサイクルにはどんなメリットがあるの?
アップサイクルとその他の取り組みの違いについてご紹介しましたが、アップサイクルにはどんなメリットがあるのでしょうか。
エネルギーの消費を抑えられる
アップサイクルは製品の良さを活かして、新しいものを作り出します。リサイクルのように製品を分解して原材料に戻す必要がないので、エネルギー消費を抑えられます。
モノの使用寿命を延ばすことができる
リユースを行なっても製品の消耗度合は変わることがないため、製品の使用期間はそれほど延びないと言われています。
一方、アップサイクルは新しい価値を加えてより良い製品にするため、使用寿命が長くなります。
アップサイクル製品をご紹介
日本ではまだ認知度の低いアップサイクルですが、さまざまな業界でアップサイクル製品が生まれています。
今回ご紹介したアイテムはどれも廃棄されるはずだったものに、新しい価値が加えられています。そのため環境のためだけではなく、商品としても私たちを満足させてくれますね。
海洋プラスチックから生まれたアクセサリー
石川県で活動する「カエルデザイン」は、海洋プラスチックや廃棄花をアップサイクルし、アクセサリーを作成しています。
障がいを持つ人たちの協力も得て回収したプラスチックごみと、廃棄される花を組み合わせたアクセサリーは、デザインという新しい価値が追加されていておしゃれ。
落ち着いた雰囲気のものから、ビビットな色合いのものまであるので、仕事用にもプライベート用にもお気に入りのものが見つかりそうです。
造船古材を活用した家具
造船の街として知られる愛媛県今治市では、「瀬戸内造船家具」で造船時に使われる足場板を活用した家具作りのプロジェクトが行なわれています。
新品では味わえない古材ならではの風合いを楽しめる家具が特徴で、足場になっていた木材だけあって、厚みがあり丈夫なので長く愛用できます。
使われなくなった学校の備品を使ったインテリア製品
学校で使われていた備品をアップサイクルし、新しくも懐かしいインテリア製品を生み出しているのが家具ブランド「tumugu upcycle furniture」です。
学校机をローテーブルに、トランペットを照明に、洗い場にあった蛇口をウォールハンガーにと、遊び心のある製品は、家にひとつあるとおうち時間が楽しくなりそうです。
ダストティーとカカオハスクをブレンドしたカカオティー
京都の食品ブランド「SIZEN TO OZEN」のカカオティーは、製茶時に選別された粉末状の細かな茶葉“ダストティー”と、チョコレートバーが製造される際に廃棄されるカカオ豆の皮“カカオハスク”をブレンド茶です。
やさしい口あたりと、カカオの香りでほっと一息つくことができます。
まとめ
今回はアップサイクルとはどんなものか、事例と合わせてご紹介しました。
限りある資源を最大限活用する方法として、幅広い業界で注目されているアップサイクル。
わたしたち消費者も商品がどのような想いで作られたのか、どのように作られたのかを知ることで愛着がわくのではないでしょうか。
長く愛用できるアップサイクルアイテム、日常にぜひ取り入れてみてください。