ヘアドネーションとは?髪の毛を送る手順と抱える問題についてご紹介
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近年注目されているヘアドネーションという取り組みはご存知でしょうか。
ヘアドネーションは芸能人をはじめとした多くの方が行っている取り組みです。
今回の記事では、ヘアドネーションとは何か、具体的な方法や問題点をまとめております。
ヘアドネーションについて気になる方はご覧ください。
ヘアドネーション とは
髪を切るだけでできるボランティア「ヘアドネーション」。先天性の無毛症や病気、事故で髪の毛を失ってしまった子どもたちの医療用人毛ウィッグとして無償提供するという活動です。
悩みを抱える子どもたちを手助けするツールとして、近年注目を浴びているヘアドネーションプロジェクトについて理解を深めましょう。
髪の毛の送り方
ヘアドネーションプロジェクトに賛同し、髪の毛を送る場合には主に3つの方法があります。
- 賛同美容院でカットする
ヘアドネーション活動に賛同した「賛同美容院」では、ヘアドネーション用にカットした髪の毛の発送代行を行っています。賛同美容院では「ヘアドネーション用にカットしたい」と伝えるだけでOKです。ただ、一部発送代行を行なっていない美容院もありますので、事前に確認しましょう。 - 美容院でカットして自分で送る
行きつけの美容院が賛同美容院でない場合には、カットしてもらった髪の毛を持ち帰って自分で郵送することもできます。ヘアドネーション用のカットは一般のカットと異なり、作業手順も増えるため、事前に対応していただけるかを確認しましょう。 - 自分でカットして送る
ヘアドネーション用に正しくカットされている髪の毛であれば、自分でカットしたものを送ることも可能です。ヘアドネーション用カットは「乾いた状態で切る」「束ねた状態で切る」などその他にもルールがあります。この記事にも記載していますので、ぜひ確認してみてくださいね。
どの方法で送る場合にも発送方法には決まりがあります。以下の約束事を必ず確認してから送りましょう。
- 封筒やレターパックなど、郵送で送る
- 髪の毛をゴムで留めたままの状態で封筒に入れる
- 髪の毛を包む場合にはビニール袋に入れ、ラップやティッシュで包まない
- 複数の人の髪の毛を同時に送る場合には、個別にビニール袋へ入れる
- 名前、住所を書いた髪を同封する(ニックネーム・匿名可)
寄付できる髪の毛
「髪の毛を送りたい」とお考えの方は必見!寄付できる髪の毛には以下の条件がありますのでまずはこちらをチェックしましょう。
- 31cm以上の長さがあること
- 完全に乾いていること
- カラー、パーマ、ブリーチヘアもOK
完全に乾いている31cm以上の髪の毛であれば問題ないということになりますね。年齢制限や国籍、性別、髪質は問いません。癖毛や白髪の方でも寄付が可能です。
31cm以上の長さが必要なのは、頭部全体を覆う「フルウィッグ」を作るために必要な最低限の長さが31cmだからです。ウィッグを作る際は二つ折りにした髪の毛をベースに、生地へ植毛していきます。そのため、31cmであれば半分の約15cmの長さになるということです。15cm以下の髪の毛はツンツンと立ってしまいヘアスタイルの維持ができないため、31cmと決められているのです。
1台のフルウィッグを作るためには、約30人分の髪の毛が使われるそうですよ。
手順
では、実際にどのようにして髪の毛を寄付するのかを見ていきましょう。
- 寄付できる髪の毛のルールを確認する
カットできる髪の毛が31cm以上の長さがあることを確認しましょう。 - 髪の毛をカットする美容院を決める
賛同美容院、行きつけの美容院どちらでも構いません。予約時には必ず「ヘアドネーションがしたい」ということを伝えましょう。 - 美容師さんと寄付する長さを決める
寄付する長さによってウィッグの仕上がりが変わります。また、カット後のご自身のヘアスタイルも考慮しながら相談しましょう。 - 髪の毛をカットする
髪の毛を小さな束に分けてゴムで結び、結び目の1cm上を切るのがヘアドネーション用のカットです。また、濡れている髪の毛はカビや雑菌の原因となるため、髪の毛は必ず完全に乾いた状態で切ります。 - 発送準備をする
ヘアドネーションに賛同しているいくつかの団体ではそれぞれのルールがあります。JHD&Cでは所定の「ドナーシート」への記入(任意)をおすすめしています。 - 発送する
封筒やレターパックに入れて各団体へ送ります。ほとんどの団体で、髪の毛が到着したやどうかの個別の問い合わせには応じられないようです。送料は個人の負担となります。
いががでしょうか?難しいと感じていたヘアドネーションも、ルールさえしっかり理解していれば意外に簡単に協力できそうですよね。自分でカットするのはハードルが高いと思いますので、まずは行きつけの美容院がヘアドネーションカットに対応しているかどうかを確認してみるのが良いでしょう。
賛同している団体、美容室
ヘアドネーション活動に賛同している団体や美容院を一部ご紹介します。団体ごとにルールが少し違うため、それぞれの特徴と寄付のルールを確認しましょう。
JHD&C(Japan Hair Donation & Charity/ジャーダック)
2009年9月、日本ではじめて「ヘアドネーション」を専門に行う団体として誕生した特定非営利活動法人。2022年で活動14年目を迎えました。
- デジタル受領証の発行あり
「あなたの髪の毛をJHD&Cが確かに受け取りました」という証明としてダウンロードが可能
デジタル受領証のダウンロードには、送付の際の追跡番号が必要です。追跡番号なしではダウンロードができないため注意しましょう。 - ドナーシートの同封は任意
送付時の髪の毛の状態や年齢を記入するシートで、主に集計用データとして活用されます。同封は任意です。 - 日本髪用部分ウィッグやエクステンションは漆刷毛の原料として寄付可能
一旦加工された髪の毛はウィッグの原料としては受け付けられませんが、伝統工芸用の漆刷毛の原料のアップサイクルとしてなら寄付が可能です。 - 返礼品付きの募金「チャリティファンディング」
チャリティファンディングを通じて募金に協力すると、募金金額に応じた商品が返礼されます。
参考サイト:JHD&C(Japan Hair Donation & Charity/ジャーダック)
NPO法人HERO
世界各国で、経済的・社会的な理由で学校に通えない子どもたちのために教育の機会を提供している団体。2016年からヘアドネーションプロジェクトを推進しています。
- 受領証の発行は郵送にて行なっている
受領証を希望される方は、髪の毛と一緒に返信用封筒に切手を貼って同封することで貰えます。ただしNPO法人HEROの趣旨として「1日でも早く、1人でも多くの子どもたちにウィッグを届けたい」ため感謝状の作成・発送は経費を抑えるために行なっていません。 - 到着した髪の毛はホームページのトピックスに掲載
髪の毛をおくった場合には、お礼と共にお名前(匿名可)を当日中にホームページのトピックスに掲載されます。 - 寄付金の控除が受けられる
「個人が財産を寄付した場合の譲渡所得税の非課税対象」として、寄附金控除を受けることができます。
関連URL:NPO法人HERO
つな髪
医療用ウィッグメーカーである株式会社グルーウィングが立ち上げたプロジェクトです。
- 15cm以上の長さから寄付が可能
つな髪では15cm以上から寄付が可能ですが、2021年8月1日より31cm未満の髪の毛の寄附は長期休止中です。いつか再開する可能性もあるそうなので、興味のある方は公式HPをチェックしてみてください。 - デジタルでのヘアドネーション記念証を受け取り可能
記念証ダウンロードフォームより記入することで、印刷用のPDFデータがダウンロード可能です。
参考サイト:つな髪
根本的な問題について
ヘアドネーション活動はもちろん良いことですし、積極的に参加したいプロジェクトであることは間違いありません。
しかし、ヘアドネーションが広がるほど髪の毛がない人を傷つけてしまう可能性があるということも知っておきたい問題です。
つまり、「髪の毛がない」というマイノリティーとしてウィッグをつけなければ生きづらさを感じているということ。なぜウィッグをつけるのか、それはマジョリティーの目を気にしているからこそです。
ヘアドネーションのドナーはマジョリティー。マジョリティーからの無意識の差別でマイノリティーが生きづらさを抱えることになっていることも、私たちが知っておきたいことです。
まとめ
「ヘアドネーションをしたからいいことをした」で終わらせずに、その本質を知った上で、プロジェクトに参加することがこれからの私たちに求められていることではないでしょうか?
髪を渡す側、受け取る側がそれぞれどんな想いを抱いているか、お互いに理解し合う必要があります。この記事を読んだ時からがスタート。ヘアドネーションへの理解を深めるきっかけにしてみませんか?