生産量世界一の植物油・パーム油が抱える問題点と私たちに出来ること

生産量世界一の植物油・パーム油が抱える問題点を紹介します
SOCIETY

ポテトチップスやチョコレート、アイスクリームなど、普段わたしたちが手にしている身近な食品に含まれている「パーム油」

実は、パーム油が大きな環境・社会問題を引き起こしていることをご存じでしょうか。

今回はパーム油の問題点について紹介していきます。

環境破壊や社会問題になっているパーム油とは

果実と油

パーム油とは「アブラヤシ」という植物の果実からとれる油です。

アプラヤシは東南アジアを中心とした熱帯の国々で生産されています。

世界で一番生産されているパーム油。日本では菜種油に次いで消費されている油で、「スーパーに並ぶパック入り商品の半分以上に含まれる」とも言われています。

パーム油は以下のような身近な食品に含まれています。

  • パン
  • ポテトチップス
  • チョコレート
  • カップ麺
  • マーガリン

さまざま食品に含まれているパーム油ですが、「見かけたことがない」という人もいるのではないでしょうか。

それもそのはずで、食品の原材料表示では「パーム油」ではなく、以下のような名称で表記されています。

  • 植物油
  • 植物油脂
  • ショートニング
  • マーガリン

ショートニングはクリーム状の食用油のことで、パンやお菓子などに使われています。

食品以外にも洗剤やシャンプー、化粧品にも含まれているほか、近年ではバイオマス燃料としても利用され始めました。

日本で年間70万トンのパーム油が消費され、そのうち8割が食品加工用、残りの2割が非食用として使われています。

化粧品や洗剤では、以下の表示がされている場合、パーム油を使用している製品の可能性があります。

  • 界面活性剤
  • グリセリン
  • オレイン酸
  • 脂肪酸

パーム油が選ばれる理由

野菜と油

大豆や菜種など数多くある植物油の中で、パーム油が選ばれるのには理由があります。

さまざまな用途に利用できる

先に紹介したとおり、パーム油はさまざまな製品に利用することができます。

食品としては、口の中でとろけるような食感を出すためや、酸化・加熱に強い特性を活かしてカップ麺やポテトチップスなどの揚げ油として利用されています。

食品以外では洗剤やシャンプー、化粧品、歯磨き粉など幅広い商品に活用されています。

生産性が高く安価

パーム油の元になるアブラヤシの果実は季節を問わず収穫することができ、さらに一度育てば20年以上も果実を実らせます。

収穫量も他の植物油より多く、大豆油や菜種油と比較すると同じ面積当たりで8~10倍の量を生産できると言います。そのため価格も安く抑えることができます。

パーム油はどうして問題なの?

アブラヤシ

メリットの多いパーム油の何が問題になっているのでしょうか。

大規模な森林破壊

パーム油の生産地であるインドネシアやマレーシアでは、アブラヤシを栽培する農園(プランテーション)をつくるため、広範囲な熱帯林が次々と伐採されました。

1990年から2010年までの20年間に約360万ヘクタールの熱帯林が、プランテーションになったといわれています。そのため、熱帯林に生息する野生生物たちの住みかが奪われました。

火災と地球温暖化

手早く熱帯林を整地してプランテーションにするために、熱帯林を焼き払ってしまうことも問題のひとつです。

熱帯林だけでなく付近にある泥炭地が焼き払われると、泥炭中に含まれる大量の二酸化炭素が大気中に放出されます。泥炭地の野火は大規模な森林火災につながり、何週間、何ヶ月も燃え続け、地球温暖化を増進させてしまいます。

地域住民との紛争

プランテーションをつくるには広い土地が必要になってくるため、土地の権利をめぐって地域住民との紛争が多数発生しています。

労働環境の悪さ

プランテーションでは安価な賃金での労働を強いられる、農薬による健康被害が出る、子どもたちが学校に行けないなど、労働者の人権侵害が問題となっています。

パーム油は使わないほうがいい?

草と油

「それならパーム油が使用されている商品を購入しなければいい」と思うかもしれませんが、そうとも限りません。

生産性の高いパーム油の代わりに菜種や大豆などの植物油を使用すると、アブラヤシよりもさらに広大な土地が必要になります。そのため、パーム油よりも大規模な森林破壊につながる可能性があるのです。

私たちに出来ること

油を調べてる人

それでは私たちに出来ることは何かあるのでしょうか。そのひとつはRSPO認証のついた商品を購入することです。

RSPOとは、「持続可能なパーム油の円卓会議(Roundtable on Sustainable Palm Oil)」の略で、パーム油産業に関わる団体が集まって設立された国際NPOです。

RSPO認証は環境や社会に配慮した生産を行なっている農園だけが付けられるマークで、RSPO認証マークのついた商品を購入することで、熱帯林やそこに住む動物たちの保護に貢献することができます。

近年では、日本でもRSPO認証のついた製品が見られるようになってきたので、商品購入前にパッケージを確認してみましょう。ネット通販でもRSPO認証で検索すれば、対象商品を確認できます。

まとめ

葉っぱと油

今回はパーム油に関わる環境・社会問題について紹介しました。現状ではパーム油を使用した製品をまったく購入しないことは難しく、パーム油を別の油で代替するとさらに大きな環境問題になる可能性があります。

一筋縄ではいかない複雑な問題ですが、まずは問題を知り、興味を持って調べていくことが大切です。

私たちの身の回りにある食品や製品には、何が使われているのか興味を持つことから始めてみませんか。

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