海に優しい日焼け止めを選ぼう。サンゴの白化を加速させないために出来ること
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春になり、あたたかい日が続く時期になると日焼けや紫外線が気になってきますよね。
そろそろ日焼け止めの新調を考えている人も多いと思いますが、日焼け止めに含まれる成分には海に悪い影響を与えるものがあることをご存じでしょうか。
そこで今回は、日焼け止めが環境に与える影響と、海に優しい日焼け止めを紹介します。
サンゴを傷つける?海に優しい日焼け止めが必要な理由とは
サンゴが白くなり、ひどい場合は死滅してしまう「サンゴの白化現象」
数年前から世界中で注目されている問題です。
ニュースでも取り上げられているので知っている人もいるのではないでしょうか。
ですが、知っていてもどこか他人事のように思っている人も少なくないように思います。
確かに、ニュースやインターネット上では海外の話題が多く取り上げられています。しかしながら、私たちにとって遠い国に限った問題ではありません。
実は、サンゴの白化現象は、沖縄のサンゴ礁でも発生したことがある非常に身近な問題なのです。
サンゴの白化の主な原因は、地球温暖化による海水温の上昇。
そして、「日焼け止めに含まれる特定の成分」も原因のひとつです。
日焼け止めの成分でサンゴの白化現象が起こる理由
海水浴やマリンスポーツを楽しむ際、肌につけた日焼け止めの成分がサンゴのいる海域に流れ出てしまうと、サンゴの白化現象が発生してしまう可能性があります。
あるいは、日常生活において使っている日焼け止めが下水を通じて海に流れてしまうことで、白化現象につながってしまします。
サンゴ礁が地球の海において占める割合は約0.2%。
あまり大きな数字には見えませんが、地球上の海洋生物の4分の1は、サンゴ礁域に生息していると言われています。
さらに、サンゴは海水の二酸化炭素濃度を調節する役割を担っています。
そのため、サンゴ礁が減少すると生態系のバランスが崩れるだけでなく、海水中の二酸化炭素吸収力が弱まります。
その結果、大気中の二酸化炭素濃度が増え、地球温暖化の加速にもつながってしまうのです。
サンゴに有害な日焼け止めの使用をやめることは、自然を守るためのアクションと言えます。
海に優しくない日焼け止めの成分とは
日焼け止めに含まれている紫外線防止剤には、下記の2種類があります。
- 紫外線吸収剤
- 紫外線散乱剤
紫外線を吸収し、熱やエネルギーへ化学変化させて放出するのが紫外線吸収剤。
紫外線を反射、散乱させて肌を守るのが紫外線散乱剤です。
その中でサンゴに悪い影響を与えるのは、紫外線吸収剤に含まれる以下のような成分と言われています。
- オキシベンゾン
- オクチノキサート(メトキシケイヒ酸エチルヘキシル)
オクチノキサートは、日本の化粧品成分表では「メトキシケイヒ酸エチルヘキシル」と表示されています。
紫外線吸収剤が含まれていない日焼け止めを選ぶ時は、「リーフセーフ」「ノンケミカル」「紫外線吸収剤フリー」といった表示を目安にするとよいでしょう。
ただし、紫外線吸収剤フリーの日焼け止めは白浮きしやすいというデメリットもあります。
紫外線吸収剤を規制する海外の取り組み
日本にはサンゴに悪い影響を与える成分を規制する法律はありませんが、海外では少しずつ使用を禁止する国、地域が増えてきています。
法規制はないものの、メキシコの観光地では、環境に悪影響を与える日焼け止めの使用を控えるよう呼びかけられています。
これから紹介する国、地域は、ダイビングやマリンスポーツが盛んで、世界中から多くの観光客が訪れる場所です。
大切な観光資源である美しい海やサンゴを守るため、いち早く行動しています。
ハワイ
ハワイではオキシベンゾン、オクチノキサートを含む日焼け止めの販売、流通を禁止する法律が2021年から施行されました。
この法案が可決されたのは2018年。世界で初めて日焼け止めの販売を規制する法案が可決されました。
パラオ
太平洋上の約400の島々で構成されているパラオは、ハワイよりも1年早い2020年に日焼け止めを規制する法律を施行しています。
パラオでは紫外線吸収剤だけではなく、石油由来の防腐剤なども禁止されていて、日焼け止め以外のスキンケア製品も対象となっています。
ボネール島
カリブ海に浮かぶボネール島は、ハワイ同様2021年からオキシベンゾン、オクチノキサートの2種類の紫外線吸収剤が禁止されました。
タイ
タイでは、2021年からサンゴ礁に有害な化学物質を含む日焼け止めの国立公園への持ち込みや使用が禁止されました。
禁止となった物質は、オキシベンゾン、オクチノキサート、4-メチルベンジリデンカンファー、ブチルパラベンの4種で、違反した場合は法律により10万バーツ(日本円で39万円)以下の罰金が科せられるそうです。
紫外線吸収剤フリー!海に優しい日焼け止め3選
市販されている多くの日焼け止めにはオキシベンゾン、オクチノキサートが含まれていますが、なかには紫外線吸収剤フリーのアイテムも販売されています。
ここでは、紫外線吸収剤フリーの日焼け止めオススメ3つを紹介します。
サンゴに優しい日焼け止め
引用元:GLE LLC.
その名の通り「サンゴを守りたい」という思いから、沖縄で生まれた日焼け止めです。
ミツロウやホホバオイルをはじめとする天然由来成分で作られていて、ラベンダーやユーカリなど4種類の精油をブレンドした香りはリラックス効果が期待できます。
リニューアルしたパッケージはプラスチックフリーのアルミ缶です。
商品詳細:サンゴに優しい日焼け止め
All good ティントサンスクリーンバター
引用元:ALL GOOD
紫外線吸収剤の他にマイクロビーズやグルテンも不使用の日焼け止め。
成分はヤシ油、ミツロウなど自然由来のものが中心です。
ココアのような色付きタイプのため、白浮きしにくくなっています。こちらもパッケージはアルミでプラスチックを使用していません。
リトルハンズハワイ サンスクリーン
ハワイでハンドメイドされている天然成分100%の日焼け止めです。
防腐剤など化学的な成分が含まれていないので、生後6か月の赤ちゃんも敏感肌の方も安心して使うことができます。
日焼け止めには珍しいスティックタイプで、伸びがいいのも特徴です。
いつでもさっと塗りなおせるので、外出先で日焼け止めを塗り直すのが面倒になってしまう人にもおすすめです。
商品詳細:リトルハンズハワイ サンスクリーン
番外編|海に優しい肌の守り方
本記事では海に優しい日焼け止めについて紹介してきました。
ここでは番外編として、日焼け止め以外で海と肌の両方を守る方法をご紹介します。
UPF効果のある衣服を着る
日焼け止めを選ぶ際に、SPFという言葉を耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。
UPFは衣類版のSPFのようなもので、日光の有害な紫外線が生地を通過する分数量を示します。
評価は以下の通り3段階に分かれ、UPF50+が最高値です。
- UPF40~50+ :UVカット率95%以上
- UPF25~39 :UVカット率90%以上
- UPF15~24 :UVカット率85%以上
UPF効果のある衣服であれば、全身に日焼け止めを塗らなくても着るだけで紫外線を防ぐことができます。
日傘をさす
日傘には、直射日光を避け、体感温度を下げる効果があります。
猛暑日が続くことが多い近年の夏、長時間直射日光を浴びるのは危険です。
物理的に日差しを遮ることで、肌と命も守りましょう。
最近は晴雨兼用の傘が多く販売されています。
お気に入りの傘を見つけ、利用することで、使い捨てビニール傘の消費を減らすことにもつながりますね。
関連記事:使い捨てビニール傘の廃棄問題|傘のアップサイクルとサスティナブル傘
まとめ
今回は海に優しい日焼け止めを紹介しました。
オキシベンゾン、オクチノキサートといった紫外線吸収剤を使用していない商品を選ぶことは、サンゴを守ることにつながっていきます。
それは、海の生態系を守ること、私たちの豊かな生活を守ることに直結しています。
私たちの肌を守ることだけでなく、豊かな生態系、ひいては地球を守ることも私たちがこの地球上で生きていくうえで非常に重要です。
今使っている日焼け止めにどんな成分が含まれているか一度チェックしてみましょう。そして、今後使用する日焼け止めをより環境に優しいものに変えてみませんか。