エコロジカルフットプリントとは|測定の意義と日本の数値を解説します
引用元: Adobe
Contents
エコロジカルフットプリントとは、簡単に言えば、人間が自然をどれだけ使用したかを測定する指標です。
似た言葉として、カーボンフットプリントという言葉を聞いたことがある人は多いかもしれません。
本記事では、エコロジカルフットプリントの概念、測定方法、意義、カーボンフットプリントとの違い、そして、日本の数値などを取り上げ解説していきます。
エコロジカルフットプリントとは
ここでは、エコロジカルフットプリントについて関連する、カーボンフットプリントとの違いやアースオーバーシュートデーとの関係について触れながら解説していきます。
概念
エコロジカルフットプリントは、Global Footprint Networkが提唱している、自然の需要と供給を測定する指標のことをいいます。
ここでの「需要」とは、人間活動や商品の生産などのために使用した自然資源を指します。一方で、「供給」とは、耕作地や放牧地、漁場などでの自然環境に貢献する形での生産性を指し、特に、これらの場所で、作物や魚等が収穫されず放置された場合や、温室効果ガスを吸収する役割を果たした場合に「供給」とみなされます。
言い換えれば、エコロジカルフットプリントは1年間で、ある集団が消費する全ての資源を生産し、その集団から発生する廃棄物を吸収するために必要な生態学的資本を測定する指標です。
詳細情報:Ecological Footprint©|Global Footprint Network
エコロジカルフットプリントとカーボンフットプリントの違い
エコロジカルフットプリントとカーボンフットプリントはどちらも環境への影響を測定する指標ですが、僅かに異なるものです。2つの指標の違いを簡単に説明すると、カーボンフットプリントはエコロジカルフットプリントの一部を構成しています。カーボンフットプリントとは、エコロジカルフットプリントの中でも、人間の活動やそれに関係するものによって生じる温室効果ガスの合計を測定する指標であり、CO2排出量によって計測されています。
カーボンフットプリントの詳しい解説は、以下の記事で説明しています。
関連記事:カーボンフットプリントとは|数値を使った日本企業の取り組み事例と個人でも測定できるアプリをご紹介
アースオーバーシュートデーとの関係
エコロジカルフットプリントの指標の主な使用用途は、アースオーバーシュートデーの計測です。アースオーバーシュートデーとは、地球が生成した1年分の資源を人類が使い果たしてしまった日のことを言います。この日付は、毎年発表されるのですが、その計算には、エコロジカルフットプリントが使用されています。
アースオーバーシュートデーの詳しい解説や計算方法は、以下の記事で説明しています。
関連記事:アースオーバーシュートデーとは|2023年は8月2日
エコロジカルフットプリントはなぜ重要なのか
エコロジカルフットプリントは、持続可能な地球環境を創造するために必要な、重要な指標です。
エコロジカルフットプリントとバイオキャパシティを比較すると、人間が地球に与えている負荷が視覚的に理解できるようになります。
この指標を使用することで、個人単位や国家単位で、持続可能な地球環境を実現するための具体的な目標や計画を立てることができます。
エコロジカルフットプリントの測定方法
“エコロジカルフットプリント=人口×1人当たりの消費×生産・廃棄効率”
エコロジカルフットプリントは、上記の方法で計算されています。
この計算式から分かるように、エコロジカルフットプリントは、人口、1人当たりの消費量、そして資源効率に依存する関数です。
ちなみに、バイオキャパシティ(生物生産力)は、生物生産性のある領域の広さとその生産効率によって決定されます。
バイオキャパシティとエコロジカルフットプリントの差がオーバーシュートと呼ばれ、国や地域の生態系への負債を示します。
このオーバーシュートや国の生態系への負債は、この「面積」・「生物の生産効率」・「人口」・「消費」・「資源効率」の5つの要因で決定されています。
引用元: Japan Ecological Footprint Report 2012
日本のエコロジカルフットプリントの数値
Global Footprint Networkが発表したエコロジカルフットプリント量の合計のデータを見ると、中国、アメリカ、インド、ロシア、ブラジルに次いで、日本は世界で6番目にエコロジカルフットプリント量が多いという結果が出ています。
また、日本のバイオキャパシティに対するエコロジカルフットプリントのデータを見てみると、超過率が570%であり、ワースト22位であることが示されています。
日本は、国土は狭いですが、バイオキャパシティは世界で24番目に多い国です。
それにもかかわらず、日本の人間による生産・消費量は非常に超過しています。
この超過は、日本の持続可能な環境に対する課題であり、重要な問題として取り組むことが求められるでしょう。
エコロジカルフットプリント値を下げるためにできること
わたしたち個人単位でできることも実は沢山あります。
まずは日々の自分の消費行動を見直してみることから始めてみましょう。
地球環境の現状について調べてみる、無駄な消費はせず、エシカル消費に切り替えてみる、無理のない範囲でオーガニックに挑戦してみる、ひとりひとりの小さなサステナブルな行動が大きな波となり、持続可能な社会に貢献できる可能性があります。
また、企業が未来の地球環境のためにSDGsやCSRの活動を率先しておこなうことは、企業が果たす責任として今や当たり前のこととされており、企業に対する重要な評価基準となっています。
現在、利益や成果だけではなく、そのフローの中でどれだけ社会に貢献できているのか、地球環境を守るアクションをおこなえているかは消費者へのアピールになるだけでなく、社員の帰属意識の向上や新たな人材の確保につながる重要な視点といえます。
earth-ismでは企業のCSRやサステナビリティに関する活動を紹介しています。
詳細:CSR/SUSTAINABILITY|earth-ism
企業の方向け|エコロジカルフットプリント測定アプリ
ここで、企業の方におすすめするソフトウェアを紹介します。
Use EcoOnline’s Environmental Reporting Softwareでは、会社のエコロジカルフットプリントとカーボンフットプリントを追跡計算することができます。
カスタマイズ可能なクラウドベースのプラットホームになっており、エコロジカルフットプリントとカーボンフットプリントを特定し、削減するための方法を提案してくれます。
詳細情報:Use EcoOnline’s Environmental Reporting Software
まとめ
実際に指標によって得られたデータを見てみると、人類が想像以上に環境資源を過剰利用していることがわかります。
1973年をピークに現在まで常にエコロジカルフットプリントの数値は高い水準にあり続けています。
現状の問題点に気づいたら、その問題解決のために行動を起こしていく必要があります。
次世代に美しく持続可能な地球を残していくためにも、わたしたち一人ひとりが日々の生活を見直していきましょう。