アースオーバーシュートデーとは|2023年は8月2日
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今年のアースオーバーシュートデーがいつであったかご存じですか。
2023年は、8月2日でした。
アースオーバーシュートデーとは、簡単に言えば、地球が生成した1年分の資源を人類が使い果たしてしまった日のことを言います。
つまり、2023年はまだあと5か月残っているのにもかかわらず、一年分の資源を使い切り、これから5か月は前借のような形で、使い続ける形になります。
人類が地球が持つ資源を過剰に消費することは深刻な問題です。
地球の資源は有限であり、そのスピードで再生できるわけではありません。
このため、環境は損なわれ、再生不能な状態に追い込まれる地域も増えています。
次の世代にも健全な地球を残すために、私たちができることはあるのでしょうか。
アースオーバーシュートデーとは
アースオーバーシュートデーとは、その年に地球が再生できる資源量を人間の需要量が超える日付のことを指します。
その年ごとにアースオーバーシュートデーは異なり、毎年Global Footprint Networkによって計算されます。
アースオーバーシュートデーの概念は、イギリスのシンクタンクであるNew Economics財団のAndrew Simmsによって最初に考案されたと言われています。
アースオーバーシュートデー計算方法
“(地球のバイオキャパシティ / 人間のエコロジカルフットプリント) x 365 = アースオーバーシュートデー”
アースオーバーシュートデーは、上記の方法で計算されています。
地球のバイオキャパシティ(Earth’s Biocapacity)とは、その年に地球が生成することができる資源供給量のことを、人間のエコロジカルフットプリントとは、その年の人間の資源需要量のことを指します。
地球の供給量を人間の需要量で割り、356を掛けた数が、その年のアースオーバーシュートデーとなります。
詳細情報:How the Date of Earth Overshoot Day 2023 Was Calculated
2023年のアースオーバーシュートデーはいつ?
結論からいうと、2023年のアースオーバーシュートデーは、8月2日でした。
これは、スイスのジュネーブで、2023年6月5日に発表されました。
この日付は、まだ今年はあと5か月を残しているのにもかかわらず、人類は今年分の地球の資源を使い切ったことを意味し、残り5か月間は借金のような形で前借で地球に負担を掛けていることを示しています。
去年の日付と比較すると、今年のアースオーバーシュートデーは5日間遅れてきたことになりますが、そのうちの4日間の違いは改善されたデータを新版のアカウントに統合したことによるものとされています。
実際は、1日未満ほどしか遅くなっていない為、この結果は素直に喜べるものではないでしょう。
引用元: EARHT OVERSHOOT DAY
上記のグラフは、公式サイトで発表された1971年から2023年までのアースオーバーシュートデーの傾向を示したものです。
緑で塗られた部分が、地球の資源供給量の中で人類が使用した部分、赤で塗られた部分は、地球の資源供給量を超えて人類が需要している部分を示しています。
このグラフ全体をみると、年々人類は地球の供給量を早めに使い切ってしまっていることが明らかです。
現在人類は、1年間で地球1.7個分の資源を消費してしまっています。
さらに詳細に見ていくと、アースオーバーシュートデーの過去5年間の傾向は、横ばい状態であることが分かります。
ただし、この傾向が景気の減速や各国の脱炭素化の取り組みの成果によるものかどうかを見極めるのは難しいとされています。
2030年までに炭素排出量を2010年比較で43%削減するというIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の目標を達成するには、今後7年間毎年このアースオーバーシュートデーを19日ずつ遅らせる必要があるといわれています。
2023年のカントリーオーバーシュートデーはいつ?
これまで上記で述べてきたのは、地球全体としてのアースオーバーシュートデーについてでした。ここでは、国ごとのカントリーオーバーシュートデーについて述べていきます。
カントリーオーバーシュートデーとは
カントリーオーバーシュートデーとは、全人類がその国の人々と同じように消費した場合にアースオーバーシュートデーとなる日付のことです。
各国のオーバーシュートデーは、毎年1月1日に発表されます。
2023年の各国のオーバーシュートデーは、2022年版のデータを使用して計算されていますが、国連報告のプロセスの都合上、最新データと最新版年度の間には3〜4年のずれが生じていることに注意が必要です。
2023年のカントリーオーバーシュートデー
それでは、各国のカントリーオーバーシュートデーをみていきましょう。
まずは、日本のオーバーシュートデーを見ていきます。
仮に地球に住む全人類が日本の人々と同じように消費した場合、2023年のアースオーバーシュートデーは5月6日に来ると計算されています。
先に説明した2023年アースオーバーシュートデーは8月2日でしたので、日本はかなり資源需要量が多く、地球の資源をかなり消費してしまっていることになります。
他の先進国では、英国が5月19日、アメリカが3月13日、カナダが3月13日、ドイツが5月4日、フランスが5月5日となっています。他にも近隣国の韓国では4月2日、中国では6月2日となっています。
一方で、このカントリーオーバーシュートのデータを見ていると、オーバーシュートデー:noneと表示されている国々もあります。例えば、アフガニスタン、ハイチ、インド、ケニアなどです。
これは、データ不足で計測できずに「なし」となっているのではなく、オーバーシュートデーがその国では来ない為「なし」となっています。
つまり、地球の資源供給量を人類の資源消費量が上回らなかった為、仮に全人類がその国の人々と同じような消費をした場合に、アースオーバーシュートデーはないということを意味しています。
カントリーオーバーシュートデーをみて分かるように、地球環境への負担は、先進諸国などの消費活動が原因であることが多く、グローバルサウスの国々がより深刻な気候変動の影響・被害を受けるという構造があります。
持続可能な社会に向けた消費と環境保全との両立、気候変動によって被害を受けている地域・国への支援など、先進国が責任をもって解決していくべき問題です。
アースオーバーシュートデーが早まっている原因
より便利な社会・ものを求めて、近代化、発展が著しく進められたことによって、地球の生産量以上の消費をおこなうようになりました。
使用された地球環境資源が再生するよりも早く、次のものを使用するようになり、地球環境が再生できない状況に陥りました。
生産量の増加によって、消費スピード、消費量が増え、そして消費したものの廃棄も莫大に増えています。
大量生産、大量消費そして、大量廃棄によってそれぞれのフローで排出するCO2量の増加・使用資源量が増加していることは明らかでしょう。
国同士で、温室効果ガス排出削減の取り決めをおこなっても中々成果が出ず、発展と環境保全との両立の難しさがあります。
一方で、多くの地球資源を消費してきたことが原因の気候変動による海面上昇や異常気象によってより深刻な被害を受けているのは、自然や動物そして、あまり資源を使用してこなかったグローバルサウスの国々です。
人類の行動が原因で起こっている地球温暖化の影響はすでに無視できない深刻な状態になっています。
まとめ
次世代のために持続可能な地球環境を築くために、私たちにできることはあるでしょうか。
アースオーバーシュートデーは、ただの指標ではありますが、この指標を知ることで地球環境について、自分の消費活動や行動について改めて考え直すきっかけとなります。
私たちにまずできることは、「知る」ことです。
現在の社会の現状や地球の状態、人類の行動を知り、自分にできることや被害を受けている人々、動物、自然に対して何ができるかを考えることが重要で、大きな一歩となります。
食べ残しを減らす、公共交通機関を使う、無駄な消費はしない、エシカルやオーガニック商品を長く使用するなど、一人ひとりが小さな行動をおこなえば、それが集まって大きな行動となります。
次世代に美しい地球を引き継ぐために、わたしたち一人ひとりが意識を高め、行動に移していくことが必要です。