日本最大の湖・琵琶湖の環境を守る取り組みを解説します

日本最大の湖・琵琶湖の環境を守る取り組みを解説します
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日本最大の湖・琵琶湖。

滋賀県のアイデンティティとも言える琵琶湖には1700種以上の動植物が生息し、60種を超える固有種の魚や貝などが生息しています。一方で、ブラックバスやブルーギルといった外来種の魚により、その生態系が破壊されていることが問題にもなっています。

最近では、温暖化の影響で、琵琶湖の深呼吸といわれる湖面の上層と深層の水が入れ替わる「全層循環」が行われず、酸素不足による固有種への影響が心配されました。

今回は、そんな琵琶湖の環境を守る取り組みについて解説をしていきたいと思います。

琵琶湖の環境を守る取り組み

琵琶湖の風景

今回ご説明する琵琶湖の環境への取り組みは下記の2つです。

  • 「ヨシ」と呼ばれる植物の再生
  • 自治体と県民の努力による水質改善

それぞれ詳しくご説明していきます。

環境保全に必須!琵琶湖に生えるヨシとは?

琵琶湖の生き物たちに快適な住環境を提供しているのが、琵琶湖に植生するヨシです。

琵琶湖にはたくさんの種類の生物が生息しています。

琵琶湖の中で種類が多いのは湖底にすむ底生生物です。その数は700種と琵琶湖全体の生物種の3分の1以上となります。

また、固有種のみでみれば、その種類は全体の固有種の3分の2も占めます。

琵琶湖のヨシ

湖岸にはヨシ原が広がり、多くの魚が卵を産み付けます。卵からかえってすぐの小魚にとっては隠れ家にもなり、魚の多様性に重要な役割を果たしています。

魚のすみかだけでなく、ヨシ原は、水鳥の生息場所も提供しています。多くの水鳥が巣を作り、卵を産み、子供を育てています。実際に、冬季の琵琶湖には10万羽以上の水鳥が生息していると考えられています。

もう一つ、ヨシ原には重要な役割があります。それが、湖岸の侵食防止や、琵琶湖自体の水質保全です。

ヨシ原があることで水の流れが弱まり、湖岸への影響を弱め、水の汚れを沈めることにつながります。また、ヨシに付着する微生物が汚れを分解していきます。富栄養(海水や川の水にふくまれる栄養分が自然の状態より増えすぎてしまうこと)などの原因となる、窒素やリンなども吸収してくれます。

ヨシ原を再生するための取り組み

この重要なヨシ原ですが、一時期面積が減りました。昭和28年には261ヘクタールあったヨシ原ですが、平成4年には半分以下の128ヘクタールとなっていました。

これを受けて滋賀県では「琵琶湖ヨシ群落保全条例」を制定しました。保全に必要な区域を「ヨシ群落保全区域」に指定し、開発行為を規制しています。さらに、ヨシ原の再生と維持にも力を入れています。

フナやモロコなどの産卵と繁殖の場、そのほかの生態系の保全のために平成8年度から22年度で26.6ヘクタールが再生されました。さらに人工的に護岸した場所を元の護岸に戻し、ヨシ原が生育できる自然環境に戻しています。9年度から22年度で6.2キロの護岸を再生しました。また、17年度からは、ヨシが自然に伸びる力を引き出して、ヨシ原を再生する事業を開始。22年度までに4.8ヘクタールが再生されました。

このような取り組みから、琵琶湖の環境を整え、固有種をはじめとした生物の住みやすい状況へと少しずつ回復させていっています。

自治体と県民の努力による水質改善

昭和40年頃から琵琶湖の水質が著しく悪化してきました。

工場の排水や富栄養化による赤潮の発生などが原因でした。そこで県などが中心になり、様々な水質保全の取り組みが行われました。その中で特異的なものが県民の運動による「琵琶湖再生運動」です。

当時、リンを含んだ洗剤が使用されていましたが、そのリンが富栄養化の原因となっていました。

県民が知恵を出し、汚染の原因となっていたてんぷら油や廃油を原料にした粉せっけんを開発しました。県内に油の回収ポイントを作り、原料となる油を回収していきました。

最終的には県民の7割が粉せっけんを使うようになったと言います。

その後、県では平成12年には「マザーレイク21計画」、23年に「マザーレイク21計画(第2期)」、29年に「琵琶湖保全再生施策に関する計画」、今年から「琵琶湖保全再生施策に関する計画(第2期)」と、現在までの琵琶湖の環境改善につながっています。

その他の対策

直近の「琵琶湖保全再生施策に関する計画(第2期)」では、琵琶湖の呼吸となる「全層循環」が行われなかったことへの対応や、マイクロプラスチックを含むプラスチックゴミ対策が盛り込まれました。

さらに固有種を食べるブルーギル、ブラックバスなどの外来魚、繁殖力の強いオオバナミズキンバイといった水生植物への対策が引き続き入りました。そのほか、森林経営管理法への反映や、外来魚・チャネルキャットフィッシュへの対策も考えられています。

【おまけ】琵琶湖の名産

滋賀県の名産

底生生物の固有種のなかで一番有名なのはセタシジミです。佃煮などで滋賀県民の食卓や、お酒のあての定番となっています。

琵琶湖の魚で一番有名なのは鮎。山椒煮や塩焼き、稚鮎は天ぷらなどでも楽しまれています。

そのほか、スジエビやゴリは佃煮の定番です。そんな魚の中で固有種は、鮒寿司で有名なニゴロブナをはじめ、ビワマス、ホンモロコなどが有名です。ビワマスやホンモロコも、食材として滋賀の郷土料理では欠かせないものとなっています。

また、食用ではないですが、固有種のビワコオオナマズは、日本に住むナマズ科魚類4種の中で最も大きいことで有名です。可愛らしいぬいぐるみが作成されるなど、琵琶湖を代表するキャラクターとして愛されています。

まとめ

琵琶湖

今回は、琵琶湖の環境への取り組みについて解説しました。

琵琶湖の魚介類は、滋賀県の食卓を支えています。

滋賀県に行って、琵琶湖を眺める機会があれば、その裏で行われている様々な環境対策にも思いを馳せてください。

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